引き続き上値の重たい展開となりやすい
〇先週のユーロドル、火曜に年初来高値を上回る1.1966レベルをつけたが1.20の大台は試せず
〇ユーロ円は週初の高値から2円ほど水準を切り下げる
〇シカゴの通貨先物、前週20万枚弱から先週は微減も引き続きユーロ買いでは史上最高水準に留まる
〇今週は欧州関連の材料少なめ、注目すべきは木曜日のパウエルFRB議長講演
〇今週は1.1700レベルをサポートに1.1850レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、火曜には、6日につけた年初来高値を上回り高値1.1966レベルをつけました。前週に6日高値をつけた後の調整の売りが目立ったものの、下げきれずに反転する動きの中でドル建て金が2000ドルの大台乗せとなる動きにも助けられての高値更新に繋がりました。しかし1.20の大台を試せなかったことで、短期筋のポジション調整がその後の下げにつながったと見てよいでしょう。
経済指標も若干の影響は見られましたが、上げは金など他の市場でのドル売りの影響が大きく、その後の下げのきっかけはFOMC議事録でしたが、上述の通り大台1.20をつけられなかったことによるコストの悪いユーロ買いポジションの投げという面も大きかったかと思います。先週のドル買い戻しの動きをドル円と比べるとユーロドルの下げが速かったことでユーロ円は週初の高値から2円ほど水準を切り下げることとなりました。
今週は欧州関連の材料が少なめで、火曜のドイツ4〜6月期GDP改定値と金曜のフランス同改定値を除くと連日何かしらの発表や講演はあるものの方向性が示されるほどのものとも思えません。それよりもオンラインで開催されるジャクソンホール(カンザスシティー連銀が主催する例年8月にワイオミング州で開かれる経済シンポジウム)において講演するパウエルFRB議長講演が最も注目され、内容によっては9月FOMCに向けての思惑から米ドルの動向に影響を与える可能性があります。
先週の議事録発表ではイールドカーブコントロールに否定的といった追加緩和に消極的な内容が長期金利上昇とドル買いのきっかけになりましたが、仮に発言から前回FOMCからの変化(追加緩和の示唆など)が読み取れるようであれば、その時には動かす材料となるでしょう。特に緩和方向の発言は変化となりますので注意しておきたいところです。
ここでも注目すべきことが無いとなると、引き続きポジション調整がどう出てくるかとなります。シカゴの通貨先物では前週の20万枚弱から先週はわずかに買いが減ったものの微減にとどまり引き続きユーロ買いとしては史上最高水準に留まっています。先週下げ(ドル買い)が円に比べて大きかったのも、こうした世界的にユーロ買いが膨らんでいることによるものと見られます。集計日は火曜終値時点なので、その後やや減っている可能性はありますが、先週程度の下げではそれほど減っているとも思えず、常に利食いによるユーロ売りは50pips刻みくらいで出てくると見ていた方がよさそうです。
テクニカルにも見てみましょう。日足チャートです。
2020年安値を起点とした上昇N波動(ピンク)によるフィボナッチ・エクスパンションの100%エクスパンション(1.1954)を達成したこと、7月下旬からここまでのチャートパターンが変形トリプルトップ(水色点線)を形成中にも見えることが気になります。もしネックライン(黄色のラインマーカー)を割り込むことになると、上昇N波動の押しに使った6月安値と先週高値との半値押し1.1560(青のターゲット)を視野に入れる展開となってくる可能性が高いチャートと言えます。
その手前に38.2%押しもありますが、ネックラインに近すぎるため、半値押しよりも低い水準を考慮すればよいチャートと言えます。1.20の大台を見ぬままに調整というのはどうも不完全燃焼気味ではありますが、ここまでの上昇幅から考えるといったんある程度の押しを挟んで、そこから再度高値を取りに行く方が勢いは出やすいと言えます。今週はドル円がもみあい、ユーロドルがやや下という見方で、ユーロドルは1.1700レベルをサポートに1.1850レベルをレジスタンスとする週を見ておくことにします。なお、ネックラインは1.17水準となりますので、ここを割り込んでくる時は上述の通り一段安を見込むこととなります。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートをご覧ください。
ユーロ円は6月下旬以降はピンクの細線で示したほぼ平行の上昇チャンネルの中での推移となっていましたが金曜の下げで下抜け、現状は5月安値からのサポートライン(ピンクの太線)までの押しを視野に入れている段階です。
このサポートラインは月曜時点で124.25レベルと比較的近い水準にあるのですが、ここを下抜けると5月安値と8月高値の38.2%押しとなる122.03をターゲットに一段安となる可能性が出てきますので、ユーロドルの下げが今週も続く場合、ユーロ円の下げにも注意が必要となります。
今週の予定
8月26日(水)
15:45 フランス8月消費者信頼感
20:30 シュナーベルECB理事講演
8月27日(木)
14:45 スイス4〜6月期GDP
15:45 フランス8月企業景況感
**:** ジャクソンホール(〜28日)
22:10 パウエルFRB議長講演(ジャクソンホール)
8月28日(金)
15:00 ドイツ9月GFK消費者信頼感
15:45 フランス4〜6月期GDP改定値
15:45 フランス8月CPI速報値、7月 PPI
18:00 ユーロ圏8月消費者信頼感
22:05 英中銀総裁講演
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
8月17日(月)
ユーロドルは金曜NY市場からの買いが継続してのスタートとなりました。欧州市場序盤にはユーロ円の売りが出て一時的に反落したものの、すぐに買い戻しが入りNY市場前場には1.1881レベルの高値をつけました。その後は利食いによる押しも見られましたが、引けにかけては高値圏に近づいて引けました。
8月18日(火)
ユーロドルは全般的なドル売りの動きからユーロ買いが強まり、NY市場では一時1.1966レベルと年初来高値を更新し2018年5月以来の高値を見ることとなりました。年初来高値を上抜けてからの動きはストップをつけた行って来いに見えましたが、引けにかけては改めてユーロ買いが強まっての引けとなりました。
8月19日(水)
ユーロドルはNY市場までは高値圏でのもみあいを継続していたものの、前日高値をトライしきれませんでした。NY市場に入ってからはFOMC議事録の公表から追加緩和が遠のいたと見ての金利上昇が、ドル買い戻しの動きとなって急速にユーロドルが水準を下げ、1.1830レベルまで水準を切り下げて安値圏での引けとなりました。
8月20日(木)
ユーロドルは方向感がはっきりせず細かい値幅で上下に振れる場面も見られましたが、前日からの調整のドル買い戻しの余波がNY市場朝方まで続きました。NY前場に1.1802レベルの安値をつけましたが、その後はドル円同様にドル売りの流れとなり引けにかけては1.18台半ばを回復しました。
8月21日(金)
ユーロドルは東京市場では底堅かったものの、欧州市場に入り発表された経済指標が予想よりも弱かったことから下落。前日安値を下回るとストップオーダーも出てNY前場には1.1754レベルの安値をつけました。その後は週末前のポジション調整から全般にドルがやや売られての週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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