若干上値が重たいもみあいを続けやすい
〇先週のドル円、19日105.10で8月安値更新後買い戻すも、その後106円台前半でドル売り
〇ドル建て金18日に再び大台2000ドル乗せ
〇今週木曜、トランプ受諾演説、米国GDP改定値、パウエルFRB議長講演、ジャクソンホール
〇今週は105.20レベルをサポートに106.20レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通し
先週のドル円は前週後のドル買い戻しの動きに対する調整の反落の動きが先行し、ユーロドルが年初来高値を更新する動きの中で、ドル円も値幅は伴わなかったものの追随してドル売りが強まり水曜に105.10レベルと8月安値を更新する動きとなりました。しかしユーロドルが反転上昇する動きとドル円単体では105円割れにドル買いオーダーが見られたことから買い戻しが入る週後半となりましたが、106円台前半でのドル売りも出て、上下ともにオーダーに挟まれる一週間となりました。
先週はユーロの動きがリードしていましたが、為替市場以外でもドル建て金が火曜日に再び大台2000ドル乗せを見せるなど、週初は米ドルからの逃避が目立っていました。最近の金融市場では一部の銘柄が牽引しているに過ぎない面はあるものの株式市場は超緩和下で株高の流れを続けていますが、新型コロナの感染増は世界的にはまったく減速していません。
最大の感染者数を出した米国で7月以降感染者が減ってきているのは好材料と取れなくもありませんが、ワクチン接種が広がる前の経済活動の本格的な再開は期待できませんし、米国では9月以降一時的なレイオフが恒久的なレイオフへと変化する懸念も出て来ています。前から書いていることですが、航空業界では補助金が切れた後の解雇予告もあり、現在の悪いながらも落ち着いている労働市場がまた悪化する可能性が残ります。
今週は本日から先週の民主党に続き共和党の全国大会が開催されますが、リードを許しているバイデン候補に対して何か打開策を示してくるのかどうかは一応注意でしょうか。コロナ禍が続く状況ではどちらが政権を取っても大きな違いは無いと考える市場参加者が多そうですが、伝統的には共和党は富裕層やウォールストリートとの関係からリスクオン材料と見られます。しかし、今年は現時点で現職がリードされているという状況からすると中国との対立を煽るような発言で一定数はいる嫌中派を取り込もうとするとリスクオフになりますし、金融市場への影響はかなり不透明と考えざるを得ません。
また今週の経済指標はあまり目立ったものがありませんが、木曜に共和党全国大会でトランプ大統領が受諾演説、米国GDP改定値、パウエルFRB議長講演、ジャクソンホール(今年はオンライン開催)と重要イベントが集中しています。週前半は方向性が出にくくもみあいを続け、木曜にどのイベントがきっかけになるかはわかりませんが、動きが出てくる可能性があるという感じでしょうか。
テクニカルにも見てみましょう。
8月高値は6月高値109.85と7月安値104.19の半値戻し107.02(赤のターゲット)で止められ、その後の押しは7月安値と8月高値107.05の61.8%押し105.28(青のターゲット)とほぼ重なる水準で止まりました。またチャートのパターンとしては7月高値と8月高値を結んだレジスタンスライン(ピンク)と、7月安値と8月安値を結んだサポートライン(ピンク)とに挟まれるもみあいの中での動きとなっていて、どちらかに抜けるまでは方向感が出にくい地合いとなっていることがわかります。仮に抜けたとしても7月安値も8月高値も簡単には抜けられないと思いますが、まずはラインを抜けないと話が始まらないという状態にあります。
今週はこれらのラインに挟まれたトライアングルの下半分でのもみあい、そしてドル円に関してはクロス円の売りも上値を抑えやすい材料と見て、105.20レベルをサポートに106.20レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
8月24日(月)
**:** 米国共和党全国大会(〜27日)
8月25日(火)
15:00 ドイツ4〜6月期GDP改定値
17:00 ドイツ8月ifo企業景況感
22:00 米国6月住宅価格指数
23:00 米国8月消費者信頼感
23:00 米国8月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国7月新築住宅販売件数
28:25 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
8月26日(水)
07:45 NZ7月貿易収支
15:45 フランス8月消費者信頼感
17:00 南ア7月CPI
20:30 シュナーベルECB理事講演
21:30 米国7月耐久財受注
23:30 米国週間原油在庫統計
8月27日(木)
14:45 スイス4〜6月期GDP
15:45 フランス8月企業景況感
18:30 南ア7月PPI
21:30 米国4〜6月期GDP改定値
21:30 米国新規失業保険申請数
22:10 パウエルFRB議長講演
23:00 米国7月住宅販売保留件数
24:15 カナダ中銀総裁講
**:** ジャクソンホール(〜28日)
8月28日(金)
08:30 本邦8月東京区部CPI
15:00 ドイツ9月GFK消費者信頼感
15:45 フランス4〜6月期GDP改定値
15:45 フランス8月CPI速報値、7月 PPI
18:00 ユーロ圏8月消費者信頼感
21:30 米国7月個人所得・消費支出
21:30 カナダ4〜6月期GDP
22:05 英中銀総裁講演
22:45 米国8月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米国8月ミシガン大消費者信頼感
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
8月17日(月)
東京市場のドル円は、動きは鈍かったものの上値が重たい流れが続いていましたが、欧州市場に入り金曜安値を下抜けるとストップオーダーを巻き込みながら一段安。NY市場では金価格の上昇、米金利低下がドル売り材料となる中ファーウェイへの禁輸措置強化も重なって105.94レベルまで下押しし、そのまま安値圏での引けとなりました。
8月18日(火)
ドル円は前日に続いてドル売りの流れが終日続きました。東京朝方に株価の下げとともに106円を割り込むとドル売りばかり目立つじり安の展開となり、NY市場ではユーロドルが年初来高値を更新する動きの中で105.28レベルへと水準を切り下げ安値圏での引けとなりました。
8月19日(水)
ドル円は朝方こそ前日までのドル安の流れを継続しましたが、安値は105.10レベルで止まり105円以下にはドル買いオーダーも並んでいることから仲値以降は反発。後場には実需買いも見られ105.61レベルの高値をつけました。戻り売りも根強く、NY市場前には105.17レベルへまで下げていましたが、東京時間の高値を上抜けたことでストップオーダーも巻き込んで上昇。FOMC議事録ではイールドカーブ・コントロールの導入には否定的なコメントもあり長期金利が上昇、ドルが一段高となり106.15レベルまで買われての高値引けとなりました。
8月20日(木)
ドル円は朝方こそFOMC議事録公表後のドル買い戻しの流れが続きましたが、日経平均が下げたことも重なり106.22を高値に戻り売りが目立つ展開となりました。動きは鈍かったものの東京後場以降もじり安の流れが続き、NY引け間際には105.75レベルまで下押ししての安値引けとなりました。
8月21日(金)
ドル円は前日の流れを継続し東京市場ではドルがじり安、欧州市場序盤には105.44レベルの安値をつけました。しかし、ユーロが欧州市場に入り大幅安となったことを受け反転、ドル買い戻しの動きが強まりNY前場には106.07レベルと日中高値を更新。NYの引けにかけては週末前のポジション調整からやや押して引けました。
ディスクレーマー
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注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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