トルコリラ週報:『事実上の金融引き締めで反発するも戻りは鈍い。通貨防衛の副作用に警戒』(8/22朝)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、8/18には史上最安値となる14.24円まで急落しました。

トルコリラ週報:『事実上の金融引き締めで反発するも戻りは鈍い。通貨防衛の副作用に警戒』(8/22朝)

今週のレビュー(8/17−8/21)

〇トルコリラ円史上最安値14.24まで下落後更新後、中銀資金供給半減で14.70まで反発、14.41で越週
〇トルコ中銀は3回連続で政策金利据え置き
〇トルコリラ円、テクニカル、ファンダメンタルズとも「下落リスク」が警戒される
〇通貨防衛策の長期化は難しく、一巡後の副作用=再反落に要警戒
〇来週の予想レンジ14.00ー14.70

今週のトルコリラ円相場は、週初14.45円で寄り付いた後、@米中対立激化(トランプ米政権はTikTokやWeChatの禁止措置に加えて中国ファーウェイへの禁輸措置を発表)を背景としたリスク回避ムードの高まりや、Aトルコ国内における新型コロナウイルスの感染拡大懸念、Bトルコ経済の先行き不透明感、Cロシアや欧米諸国との関係悪化懸念が重石となり、翌8/18にかけて、史上最安値となる14.24円まで下落しました。しかし、Cトルコ中銀が翌日物貸出金利を通じた資金供給量の上限を半減させる措置を明らかにすると(調達金利上昇→事実上の金融引き締め)、Dトルコリラのショートカバーが誘発され、週末にかけては、一時14.70円まで反発する場面も見られました。もっとも、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドが続伸を阻むと、引けにかけては再び反落。結局14.41円前後での越週となっております。尚、トルコ中銀は8/20に開催された金融政策決定会合にて3会合連続となる政策金利の据え置き(8.25%)を決定しております(通貨防衛を目的とした利上げには踏み込まず→直後はトルコリラ売りで反応)。

来週の見通し(8/24−8/28)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、8/18には史上最安値となる14.24円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転やパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状となっております(週末にかけて一時的に上昇するも14.70円近辺では戻り売り圧力が根強い状態)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感(景気低迷にも係わらず通貨防衛を目的に事実上の金融引き締めに動かざるを得ない状況)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、E米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、F新型コロナ第2波懸念(トルコ国内の感染者数拡大)など、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(投資妙味の減退→国内から国外への資本流出活発化)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(今週はトルコ中銀による資金供給量の上限半減措置を受けてショートカバーが誘発されるも戻りは総じて鈍い印象。通貨防衛策の長期化は難しく、一巡後の副作用=再反落に要警戒)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):14.00ー14.70

今週のレビュー(8/17−8/21)

トルコ円日足

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