リスクは依然下向きか。ジャクソンホールがメインイベント
〇ドル円週明け106.67まで上昇するも米中協議延期、日米指標不冴え、米長期金利低下で105.11まで下落
〇その後は米中協議開催への思惑、FOMC要旨でのYCCへの消極姿勢でやや持ち直し105.81で越週
〇ユーロドルは18日にかけ1.1966まで急伸するも1.1755に反落1.1795レベルで越週
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも「下落リスク」が警戒される
〇8/27ー8/28に予定されるジャクソンホールでの経済シンポジウムの内容注視
〇来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー107.00、(EURUSD):1.1600−1.1900
今週のレビュー(8/17−8/21)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初106.63で寄り付いた後、早々に週間高値106.67まで上昇しました。しかし、8/13に記録した直近高値107.06をバックに伸び悩むと、@先週末土曜日(8/15)に予定されていた米中通商協議が延期されたことに伴う失望感(ドル売り要因)や、A本邦第2四半期GDP速報値(結果▲27.8%、予想▲27.0%)の冴えない結果(円買い要因)、B米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果3.7、予想15.0)の急低下(ドル売り要因)、C米中対立激化懸念(ドル売り・円買い要因)、D米長期金利の低下(ドル売り要因)、E米追加財政政策への期待感の後退(ドル売り要因)が重石となり、週央にかけては、7/31以来、約3週間ぶり安値となる105.11まで下落しました(この間、ドルインデックスは2018年5月以来、約2年3ヵ月ぶり安値圏へ急低下)。
もっとも、心理的節目105.00をバックに下げ渋ると、F上記@で延期されていた米中協議(第1段階通商合意の履行状況を検証するための協議)が数日以内に開催されるとの一部報道や、G米追加緩和観測の後退(FOMC議事要旨にてイールドカーブコントロールの導入に消極的な見解→米長期金利上昇→ドル高)が支援材料となり、週末にかけて幾分持ち直す展開に。結局105.81前後での越週となっております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1840で寄り付いた後、@先週末土曜日(8/15)に予定されていた米中通商協議が延期されたことに伴う失望感(ドル売り要因)や、A米中対立激化懸念(ドル売り要因)、B米追加財政期待の後退(ドル売り要因)、C米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数の冴えない結果(ドル売り要因)、D上記@からCを背景とした米長期金利の低下(ドル売り要因)が支援材料となり、翌8/18にかけて、2018年5月以来、約2年3ヵ月ぶり高値となる1.1966まで急伸しました。
しかし、心理的節目1.2000を前に伸び悩むと(戻り売り圧力が強まると)、E上記@で延期されていた米中通商協議が数日以内に再開するとの一部報道(ドル買い要因)や、F米追加緩和観測の後退(FOMC議事要旨にてイールドカーブコントロールの導入に消極的な見解→米長期金利上昇→ドル高)、G心理的節目1.2000トライ失敗に伴う見切り売り、Hユーロ圏8月製造業PMI速報値(結果51.7、予想52.9)及び、同サービス業PMI速報値(結果50.1、予想54.5)の冴えない結果(ユーロ売り要因)、IバルニエEU主席交渉官による「ブレグジットを巡る通商交渉で合意する可能性は乏しい」との悲観的な発言(ユーロ売り要因)が重石となり、週末にかけては、約2週間ぶり安値となる1.1755まで反落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局1.1795前後での越週となっております。
来週の見通し(8/24−8/28)
<ドル円相場>
ドル円は、8/13に記録した約3週間ぶり高値107.06をトップに反落に転じると、8/19には、一時105.11(7/31以来の安値)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(FOMC議事要旨後に反発に転じるも、一目均衡表転換線に続伸を阻まれる形で結局反落。目先は強い売りシグナルを示唆する三役逆転の再点灯に要注意)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(来週8/27に予定されているカンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム=ジャクソンホールに注目)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数が再び100万件の大台突破)、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(米政治の先行き不透明感)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナウイルスの感染拡大懸念、G日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。欧米株や商品市況の動向や、新型コロナウイルス及び米中対立激化に関するヘッドライン、米主要経済指標の結果(米8月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米7月新築住宅販売件数、米7月耐久財受注、米第2四半期GDP、米7月PCEデフレータ)、カンザスシティ連銀の経済シンポジウム(ジャクソンホール)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米中対立激化や新型コロナ第2波に絡む不確実性がドル円の重石。また、8/27ー8/28に予定されるジャクソンホールではフォワードガイダンスの強化を示すなど、総じてハト派的な内容に着地する恐れあり。リスク回避的な円買いと、米長期金利低下に伴うドル売りの影響から、来週はダウンサイドリスクに注意が必要)。
来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー107.00
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、8/18に記録した約2年3ヵ月ぶり高値1.1966をトップに反落に転じると、週末にかけて、約2週間ぶり安値となる1.1755まで反落しました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(但し、強い買いシグナルを示唆する三役好転やパーフェクトオーダーは継続中)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(今週発表されたユーロ圏の製造業及びサービス業PMI速報値は共に冴えない結果)や、A米中対立激化懸念(米中による報復措置の応酬→世界経済の不安定化リスク)、B世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交がユーロ圏に波及する恐れ)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナ第2波リスク(ユーロ圏における新型コロナ感染者数の拡大懸念)、EECBによる追加緩和観測、FIMM通貨先物で投機筋のユーロロングが過去最高水準に積まれていること(上値余地は限定的)、G英国とEUにおける自由貿易協定(FTA)の交渉難航リスクなど、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスク及び米中対立激化を巡るヘッドライン、欧米の主要経済イベント(ドイツ8月Ifo景況指数や、ドイツ7月小売売上高、ユーロ圏8月欧州委員会景況指数、ジャクソンホール)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(EU復興基金合意に伴う楽観ムードは賞味期限切れ。過去最高水準に積まれたユーロロングの解消リスクに要警戒)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1600−1.1900
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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