豪州中銀議事要旨(2020年8月18日公表:理事会は8月4日開催分)
(出所:豪州中銀HPから)
今回の議事要旨で一部抜粋したものを和訳しています。豪州は他の先進国と比較し、かなり先行して経済回復とみている市場関係者が多いですが、中銀見通しは非情に慎重姿勢を崩していないようです。また通貨について、現状の豪ドル高水準についての良し悪しに関してコメントはありませんでした。
議事要旨
(国内経済状況)
2020年上半期における豪州経済の景気下降はここ何十年で最も厳しいものとなった。スタッフの予想ではGDPが約7%のマイナス、労働時間が10%の下落を示唆している。ただ、数ヶ月前に予想した数値よりは小さくなっている。これは規制が予想よりも早く解除されたからである。5月には経済回復をもたらした。そして前代未聞の財政・金融政策の支援もまた主要な役割を果たしている。
ベースのシナリオ:GDPは2020年下半期には幾分回復する。それでも2020年は6%のマイナスである。2021年にはGDPが5%拡大し、2022年には4%である。
上振れと下振れの2つの別シナリオ:シナリオはコロナウィルスの今後の展開の違いによるもの。上振れは豪州内のコロナウィルス抑制により、強く・早い回復の進展が見られる。これは、信頼感のより速い回復によってもたらされる。ベースラインシナリオで想定したよりも早いペースで、強い消費や最近の貯蓄が使われることである。
下振れシナリオは世界中で感染の再拡大となり、豪州が周期的なウィルス発生や繰り返しのロックダウンに直面するシナリオである。このシナリオでは、現行の政策を継続しても2020年下半期も更に経済は下落。尚、見通しに関するリスクは下方を示唆している。
企業の聞き取りや最近の調査情報によれば、非鉱山関連の企業投資の弱さは最近の四半期で、より明白となっている。機械設備投資がとりわけ弱くなっている。中銀の支店報告によれば、企業が将来の需要の不確実性が高いことで資金繰り優先を考えているようだ。
また国境は5月想定時よりも長く6ヶ月間封鎖されたままである。労働市場は5月以降回復しているものの、週間雇用データをみると、6月末と7月初にはその勢いを失っている。ベースラインシナリオでは、失業率がパンデミック前の5%から6月には7.4%になったが、2020年末ころには約10%まで上がり、2022年にかけて約7%に下がるとみている。インフレは2021年末に約1%の谷に落ち込み、2022年までに1.5%になると予想している。
(通貨について)
メンバーは幅広い範囲に亘るドル安、そしてその他先進国経済の通貨が年初の水準まで戻ったことについて確認した。ユーロはここ数年間では最も高い水準まで上昇した。これは最近合意した欧州復興基金によるものである。豪州ドルも対米ドルで、年初の水準よりも高いところまで上昇した(ご参考:1月2日は1豪ドル=0.70米ドル付近で取引開始)。豪州ドルは、年初の水準に戻ったのは、商品価格や金利差の様なファンダメンタルズの決定要因に沿ったものである。米中では一段と緊張が高まったにも関わらず、人民元は安定的に推移している。
(金融政策)
理事会は3月19日に発表された以下の各要因を再確認した。
・キャッシュレートを0.25%目標とする
・豪州3年債のイールドを0.25%目標とする
・企業…とりわけ中小企業への信用を下支えするために期間もの資金調達機能を行う
・中銀の為替決済残高に対する付利を0.1%とする
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
下図は豪ドル米ドルの日足チャートです。状況は変わっておらず、ラインB(=0.7000)のサポートと平行に上げたA(=0.7290)の豪ドル高トレンド継続中で、目先は6月末底値から上げたC(=0.7130)に沿って豪ドルの抵抗線狙いになっています。まずは当面D(=0.7250)狙いで、ここで止められると、再度Cとの収斂になりそうです。
(2020年8月18日14時00分、1豪ドル=0.7225米ドル)
オーダー/ポジション状況
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