ドル円夏枯れ続くなか、「米中対立」の行方を注視(週報8月第3週)

先週のドル/円相場は、ドルが小高い。7月22日以来となる一時107円台を回復する局面も観測されていた。

ドル円夏枯れ続くなか、「米中対立」の行方を注視(週報8月第3週)

夏枯れ続くなか、「米中対立」の行方を注視

〇先週のドル円、一時107円台を回復するも維持できず106.60円前後で越週
〇新型コロナの抗ウイルス薬「レムデシビル」がコロナ治療薬として新薬承認申請へ
〇米中貿易問題の6ヵ月検証延期、香港、台湾、ウイグルなど対立多方面へ広がる
〇米経済対策を巡る共和党と民主党の対立を市場がどう捉えるのか注目
〇今週発表の米経済指標やFOMC議事録要旨に注目
〇今週のドル円予想レンジ105.30-107.80

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小高い。7月22日以来となる一時107円台を回復する局面も観測されていた。

先週末には、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で新型コロナウイルスの感染者が世界全体で1970万人に達したことが明らかに。うち500万人以上、4分の1強が米国に集中しているとの指摘も聞かれ、一部で話題となっていた。
そうした状況を踏まえ、取引が開始されたドル/円は前週末のNYクローズと大差のない105.85-90円で寄り付いたのち、しばらくは低位揉み合い。106円±30銭程度のレンジをたどるも、上抜けすると、そのまま一気に107円台と上伸した。しかし107円台、ドルの高値を維持できず、週末にかけてはやや値を崩すと、週末NYは106.60円前後で取引を終え、越週している。
なお、円は対ドル以外でも弱含み推移。実際、ユーロ/円やスイス/円は大きく上昇し、年初来高値を更新する局面も観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米中の対立」と「新型コロナ感染とワクチン開発」について。
前者は、「香港警察、中国に批判的な香港紙創業者を国安法違反容疑で逮捕」とのニュースが聞かれ、これをめぐり米中が再びやり合うことに。また、今回「米厚生長官が台湾を訪問し総統と会談した」ことが、両国の新たな対立要因として浮上していた感も否めない。さらに、米台要人会談と絡めたものとして、「台湾が米国とF16戦闘機の購入契約締結」とのニュースも伝えられており、中国の怒りがさらに高まるとの指摘も聞かれていた。そのほか、前週からの引き継ぎ事案である「米国による中国動画共有アプリTikTok排除」は、禁止対象をさらに拡大。同様の中国発SNSであるウィーチャットを禁止する旨も取り沙汰されていたようだ。

対して後者は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計結果で、新型コロナの世界感染者は先週ついに2000万人を超えたと発表された。6月下旬に1000万人を上回ってから、約1ヵ月半で倍増した計算で、感染がさらに加速している感を否めない。ただ、先週は米製薬会社のギリアドが、抗ウイルス薬「レムデシビル」がコロナ治療薬として新薬承認申請されたことを明らかにしたほか、信頼感はいまひとつながら、プーチン露大統領が「国内で開発された新型コロナウイルス感染症ワクチンを世界で初めて認可した」と発表したことが、様々な物議を醸すとともに話題となっていた。

<< 今週の見通し >>

新型コロナについては、止まらぬ感染拡大が引き続きドルなどの弱材料となっている反面、前進の兆しがうかがえるワクチン開発が逆の買い材料として寄与。双方の綱引き商状を呈している。基本的な構図は今週も継続か。その一方、「米中の対立」は「香港」や「台湾」、「ウイグル」、「南シナ海」だけでなく、「日本の尖閣諸島」や「TikTokをめぐる動き」など多方面に広がってきたうえ、先週末15日には「対立」の基本要因であった「米中貿易問題」についての「合意の6ヵ月検証」が延期されたことが明らかとなり、不透明感の増大を警戒する声も少なくない。続報などにしっかりと注意を払いたい。

材料的に見た場合、「多方面にわたる米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、先でも取り上げた「米中対立」と「新型コロナの第2波」だろう。また、米議会が休会になるなど各国とも夏休みファクターが観測されるなか、「米中」のような対外的な対立はもちろん、新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加の米経済対策をめぐる共和党と民主党の対立のような国内での不協和も取り敢えず棚上げされる公算が大きい。それを市場がどう捉えるのか注目されている。

テクニカルに見た場合、ドルは先週107円台を一時回復。上値に関しては、依然として重そうとの指摘も聞かれるが、少なくとも下値不安が大きく後退していることは間違いない。
問題はここからで、106-108円といったようなかつて推移していたレンジを新たに形成するのか、それとも108円を超えていくようなドル一段高をたどるのか、正念場の一週間となりそうだ。

今週は、8月のNY連銀製造業景況指数や同フィラデルフィア連銀景況指数といった米経済指標が発表されるほか、7月28-29日開催分のFOMC議事録要旨が公開される予定となっている。前者はもちろん、後者の議事録要旨についても注目だ。一段の緩和的な政策手段などが示されるようだと、ドル売り要因となりかねないのかもしれない。
そのほか、OPECプラス会合や、11月の大統領選に向け、副大統領候補が決定した米民主党全国大会の行方などにも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.30-107.80円。ドル高・円安については、先週高値も近い移動平均の90日線が位置する107.10円レベルの攻防にまずは注目。抜ければ108円台回復、同200日線(108.10-15円)などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週上抜けたのちサポートとして寄与している感のある同21日線106.10-20円が引き続きドルの下支えとなるかを注視。しっかり割り込めば、直近安値である先週安値105.30円がターゲットに。

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