NZ中銀の金融政策結果
本日、NZ中銀はオフィシャルキャッシュレートを現行の0.25%で据え置き(市場の予想通り)ながら、債券購入額を従来の600億NZドルから1000億NZドルに引きあげました。コロナウィルスによる先行き不確実性が高いままであることと、最近のNZドル高に懸念を表し、為替を低く抑えたいと議論しています。
以下はNZ中銀金融政策記者発表要旨です。
(要旨の一部和訳)
金融政策委員会は巨額債券購入プログラム(LSAP:Large Scale Asset Purchase programme)を1000億NZドルまで(期間は2022年6月まで)拡大することで合意した。緩和を達成するために消費者レベルの金利をより低くするためである。(購入する)適格資産は変わらず、オフィシャルキャッシュレート(OCR)は3月16日に発行したガイダンスに基づき0.25%のまま維持される。
追加金融緩和の必要性をできるだけ反映するために、委員会は追加金融政策手段のパッケージはいつでも使えるようにしておくことで合意した。そのような手段の展開はインフレと雇用の先行き見通しに掛かっている。追加手段のパッケージの中には、商業銀行の調達を手助けするためにOCRのマイナスも含まれている。海外資産の購入もオプションとして残っている。
最近数ヶ月、NZは国内でCOVID-19の拡散を阻止した。社会的制限の緩和や経済活動の回復を行っている。最近の経済指標は社会的正常化へより速い回帰や家庭から働きにでる労働者の割合が高くなり、雇用回復が5月の金融政策会合時の予想よりも早くなった。最近の消費もロックダウン時期に起きた繰り延べ需要を反映している。
しかしながら、パンデミックにより引き起こされた厳しい世界の経済混乱はまだ続いている。国内外の経済見通しに関して、著しい変化はウィルス封じ込め如何に掛かっている。このウィルスにより、NZにおいて社会的制限に戻るかの証明については不確実性が非常に高い。その様な不確実性は家計や企業消費意欲を抑えてしまう。現行の健康への不確実性により、我々のベースラインとなる経済シナリオには下方修正リスクが残っている。
国境間の制限により、移民や観光に著しい減少が続いている。そしてそれが産業や地域にでこぼこした活動見通しに繋がっている。NZ輸出の商品価格は堅調である。しかし、これはNZドル高で一部相殺されており、国内輸出業者への見返りが緩やかになっている。
国内経済活動に対する継続的な支援が大きな政府支出で用意され、経済支援や家計収入のサポートになっている。これは政府投資の水準が上がることにより今後も支えられるだろう。しかしながら、雇用維持のために行った賃金補助の終了が告げられたことにより、政策過渡期となるだろう。
金融政策はこの先の重要な経済支援を用意し続ける。その効果は、企業や家計への恩恵となる、商業銀行の貸し出しや借入金利の低下に表れている。顧客への貸し出し金利低下の恩恵を十分にすることで、銀行の長期的利益も残ることになる。
金融政策委員会は必要とあれば追加緩和策を用意するだろう。
(注)NZ中銀金融政策議事要旨は一部を和訳したものであり、詳細は金融政策要旨本文をお読みください。(出所:NZ中銀HP)
NZドル米ドル相場は、金融政策発表前に0.6573〜75米ドル付近で推移していましたが、追加緩和策実施で一時0.6525米ドルまで売られ、現在は0.6543〜45米ドル付近で推移しています。また中銀は前回同様にNZドル高に懸念を表明しており、目先はNZドルの上値が重くなっています。
昨日のシカゴポジション242内で書きました、短期で0.6450〜0.6970米ドルのNZドル高トレンドはまだ維持されているものの、トレンド内の0.6620米ドル、更に0.6580米ドルのサポートも下抜けているので、現状ではライン下限の0.6450米ドルまでの下値余地が広がっています。この途中に0.6520、0.6490〜0.65、0.6470米ドルにサポートがあります。上値は切れた0.6580米ドルが抵抗線になっています。
他国との景況感格差ではNZが強く、一方で中銀のNZドル高懸念もあり、暫く綱引きになりそうです。
(8月12日14:30、1NZドル=0.6543米ドル)
次回のNZの金融政策は2020年9月23日(水曜日)に予定されています。
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