豪州中銀金融政策記者発表
本日開催の豪州中銀金融政策は従前の予想通り、キャッシュレートを0.25%に据え置きました。記者発表の内容は以下の通りです。
目新しい内容としては、先行き経済の見通しに関し幾つかのシナリオを上げています。今後のウィルス状況とそれに伴う経済の進展結果は経済指標の内容次第ということになります。
(要旨)
今日の会合で、理事会は現状政策の維持を決定した。これにはキャッシュレートの目標や豪州債3年物の利回り目標を0.25%にすることを含んでいる。
世界経済はコロナウィル抑制を求められている多くの国で、厳しい沈滞状況を経験している。例え最悪期が今過ぎ去ったとしても、先行き見通しは非常に不確実である。その回復は緩やかであることが予想され、その(回復の)姿はウィルス抑制如何にかかっている。感染率が幾つかの国で下がってきているが、その他の国では依然として高く上昇している。ここ最近、中国の産業活動に強い回復あるものの、国際貿易は弱いままである。
世界的に金融市場の状況は緩和的である。ボラティリティは下がり、債券・株式共に大きく上昇した。経済の先行きには高水準の不透明感があるにも関わらず、多くの資産価格はしっかり上がった。債券イールドは歴史的に低水準である。
中銀が行った豪州経済下支えの3月中旬のパッケージが予想通り機能した。これは豪州金融システムに高水準の流動性や借入れ金利を歴史的低水準にしたものである。指定預金受け入れ金融機関はTerm Funding Facility(中銀の短期流動性供給)制度からの引き出しを続け、合計で約290億豪ドルを引き出した。この制度は今後も使われることが予想されている。
国債市場は著しい発行増で正常に機能している。3年物豪州債利回りは一貫して目標とする25ベーシスで推移している。しかしながら、イールドはここ数週間25ベーシスよりも少し高く推移した。これにより、明日中銀は流通市場で目標値を維持するために3年物国債を購入する予定である。必要とあれば一段と購入措置が取られるだろう。このイールド目標は完全雇用及びインフレの目標に向けて達成されるまで続ける。
豪州経済は非常に困難な時を過ごしており、1930年代以降で最大のマイナス景気を経験している。(一部和訳略)全般的にこの先行きの不確実性により、中銀は会合で様々なシナリオを考えている。ベースとなるシナリオでは、GDPは2020年に6%まで下落する。その後2021年に5%成長する。このシナリオでは、失業率は2020年終わりに約10%まで上がる。これはビクトリア州での雇用喪失や豪州内での求職数があらゆる地域で上がっているためである。数年で失業率は徐々に低下して約7%を予想している。
理事会は別のシナリオも考えている。近い将来にウィルス抑制の進展がなされたなら、より強い回復が可能である。この進展により自信が回復し、家計や企業が支出に対しての警戒感が減ってくる。他方、もし豪州やその他の国が一段と拡大したロックダウンを経験する様なら、GDPや労働市場の回復は遅れるだろう。これらのシナリオの詳細は8月7日の金融政策声明で用意される。
どのシナリオでもインフレは2%未満である。直近四半期のCPIインフレは▼0.3%だったが、今四半期ではプラスのインフレに戻ってくるだろう。今後の経済回復を見ても今後数年間はインフレが1〜1.5%の間で推移すると予想している。(この項目は簡単に訳し、事項は一部略)
理事会は豪州の雇用・収入・ビジネスをサポートするためには何でもすることを約束した。この行動は借入コストを低く抑え、家計や企業に信用供与を手助けすることである。緩和的なアプローチは必要とあればできる限り長く維持されるだろう。理事会はこの成り行きが完全雇用やインフレが目標とする2〜3%に持続的に入ると確信できるまで、キャッシュレートを上げることはしないつもりである。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
豪ドル米ドル相場は金融政策発表前に0.7120米ドル付近で推移していましたが、発表後は豪ドルが堅調となり0.7140米ドル手前まで小幅高になりました。内容は新味がなく、今後のシナリオを提示したことで、どのシナリオに沿っているのかを確認することになります。
シカゴポジション241はそのまま継続していますので、ご確認ください。
(2020年8月4日15時35分、1豪ドル=0.7136米ドル)
オーダー/ポジション状況
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