ドル円見通し ユーロ高ドル安が一服するも円高止まらずに105円を割り込む(7/29)

ドル円は7月28日深夜安値で104.93円まで続落した。深夜以降は105円を挟んだ横ばいにとどまっているが、104円台は3月13日以来4か月半ぶりとなる。

ドル円見通し ユーロ高ドル安が一服するも円高止まらずに105円を割り込む(7/29)

ユーロ高ドル安が一服するも円高止まらずに105円を割り込む

〇ドル円7/28深夜104.93まで続落、104円台は3/13以来4か月半ぶり 
〇ユーロドル、7/27深夜に1.1780ドルまで上昇後やや調整気味にジリ安でドル全面安に多少のブレーキ
〇米FRB中小・中堅企業に対する緊急資金支援制度を今年12月末まで3か月延長すると発表
〇104.93を割り込む場合は104円台前半への下落を想定、104円以下は反騰注意
〇105.35超えを強気転換注意とし28日午後高値105.68試し、105.50以上は反落注意

【概況】

ドル円は7月28日深夜安値で104.93円まで続落した。深夜以降は105円を挟んだ横ばいにとどまっているが、104円台は3月13日以来4か月半ぶりとなる。
7月1日の戻り高値108.16円から失速し、7月10日から23日までは106.60円台を下値支持線とした持ち合いで推移していたが、ドル全面安が加速する中で24日に持ち合いを下放れし、先週末は105.65円まで続落していた。週明けの27日は深夜に105.10円まで下げてからやや戻したものの、28日午後に105.68円の戻り高値を付けた後は失速し、深夜に105円を割り込むところまで一段安した。

7月からのドル全面安をけん引してきたユーロは7月27日深夜に1.1780ドルまで上昇した後はやや調整気味にジリ安であり、ドル全面安には多少のブレーキとなった。英ポンドは28日深夜へ一段高、豪ドルの7月22日夜高値の後は新たな高値更新へ進めずにいるものの高値圏を維持するなどドル安基調は継続しているが、ユーロがやや下げたことでメジャー通貨の加重平均であるドル指数は28日に前日比0.11ポイント高となり、直前までの7日間の続落に対して下げ一服となっている。しかしドル円は5月6日安値105.98円と6月23日安値106.06円によるダブル底ラインを割り込んで一段安に入ってきたために下げ止まらないようだ。

7月28日のNYダウは前日比205.49ドル安、ナスダック総合株価指数も同134.18ポイント安と下落した。米国経済指標が予想を下回り、感染拡大に歯止めがかからない状況の中で先行き不透明感も再認識されていることと、コロナショック対策での追加経済政策をめぐって与野党の協議が難航しているとの報道が嫌気されたようだ。株安と米経済指標が冴えなかったことはドル円にとっては円高ドル安要因となった。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが発表した5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前年比3.7%上昇となったが市場予想の4.0%上昇を下回った。前月比も0.0%で市場予想の0.3%上昇を下回った。

米調査会社コンファレンス・ボードが発表した7月の消費者景気信頼感指数は92.6となり前月の98.3から低下、市場予想の94.5を下回った。現況指数は前月の86.7から94.2へ改善したが、先行きへの期待指数は前月の106.1から91.5へ低下した。同社は「ミシガン州、フロリダ州、テキサス州、カリフォルニア州で期待指数の大幅な低下が見られるのは明らかに新型コロナの感染再拡大によるものだ」「消費者は経済や労働市場の短期見通しに対する楽観的な見方を弱めている」として不況長期化への懸念を示した。

【7月30日未明にFOMC声明、議長会見】

米FRBによる連邦公開市場委員会=FOMCが7月28日から始まった。日本時間30日03時に金融政策の発表、その後に議長会見がある。
米FRBは7月28日に中小・中堅企業に対する「メインストリート融資制度」等の緊急資金支援制度について、期限を当初の9月末から今年12月末まで3か月間延長すると発表した。コロナショックによる先行きの不透明感が強まる中で企業や金融市場への資金供給を続ける姿勢を示した。緊急融資は今年3月に一時的な措置として打ち出されたもので、他の州や地方政府発行の債券買い入れについては当初から12月末までの期限で、大手企業のコマーシャルペーパー(CP)買い入れは2021年3月までとなっている。
今回のFOMC声明及び議長会見でも米国全土での感染拡大が収まらず、失業者の歴史的急増状態が続いていることを踏まえて長期的な金融緩和を継続し、必要に応じて拡大してゆく積極姿勢を示せば、ドル資金需給ひっ迫が解消されている現状においてはドル安を助長する要因になりやすいと思う。

【ダブル底を割り込んでの一段安により円高ドル安継続感強まる】

ドル円は5月6日と6月23日の両安値をダブル底としていたが、7月24日の下落でダブル底ラインを割り込んで一段安に入った。7月1日の戻り高値106.16円から7月28日深夜安値104.93円までの下げ幅は3.23円、6月5日高値109.84円からの下げ幅は4.91円に拡大している。
3月24日高値から5月6日安値までの下げ幅は5.73円だったが、今回の下落も同レベルなら104.11円前後が下値目途となるが、さらに続落するようなら6月5日への戻り幅の倍返しで102.12円前後、あるいは3月9日安値101.23円まで下値目途が順次切り下がってゆく可能性もあると懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月23日未明高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしたが、22日未明安値から4日目となる27日深夜安値で直近のサイクルボトムを付け、28日深夜に一段安となったために既に底割れにより新たな弱気サイクルに入っていると思われる。新たなボトム形成期は30日夜から8月3日深夜にかけての間と想定する。ただし、7月28日午後高値105.68円を上抜き返す場合は28日深夜安値ないしは直前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りと改めて29日の日中から30日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月21日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。新たな安値更新を回避して反発すれば遅行スパンは好転しやすいが、その際は先行スパンの上下限が戻り抵抗帯となりやすいのではないかと思われる。遅行スパンが好転できないか、一時的に好転してもその後に再び悪化するところからは下げ再開と考える。

60分足の相対力指数は7月25日未明安値から27日深夜安値、さらに28日深夜安値へと一段安が続いている中で指数のボトムが切り上がる強気逆行型となっているのだが戻りは鈍い。27日深夜安値にかけての強気逆行で28日午後へ戻したがすでに新たな下落期に入っている印象もある。このため50ポイントを超えないかわずかに超えても維持できないうちは30ポイント割れからの一段安警戒とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月28日深夜安値104.93円を下値支持線、105.35円を上値抵抗線とする。
(2)105.35円以下での推移中は一段安警戒とし、104.93円を割り込む場合は104円台前半への下落を想定する。急落商状の場合は104円割れを目指すと考える。104円以下は反騰注意とするが、105円以下での推移なら30日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)105.35円超えを強気転換注意として28日午後高値105.68円試しとするが、105.50円以上は反落注意とする。

【当面の主な予定】

7/29(水)
10:30 (豪) 4-6月期消費者物価 前期比 (前期 0.3%、予想 -2.0%)
10:30 (豪) 4-6月期消費者物価 前年同期比 (前期 2.2%、予想 -0.4%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 44.3%、予想 15.0%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -10.4%、予想 2.2%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

7/30(木)
07:45 (NZ) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 35.6%)
08:50 (日) 6月 小売業販売額 前年同月比 (5月 -12.3%、予想 -6.0%)
08:50 (日) 6月 百貨店・スーパー販売額(既存店) 前年同月比 (5月 -16.7%、予想 -5.5%)
10:30 (豪) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 -16.4%、予想 -2.0%)
10:30 (豪) 4-6月期輸入物価指数 前期比 (前期 -1.0%、予想 -2.5%)
15:00 (独) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -2.2%、予想 -9.0%)
15:00 (独) 4-6月期GDP速報値・季節調整済 前年同期比 (前期 -2.3%、予想 -11.4%)
15:00 (独) 4-6月期GDP速報値・季節調整前 前年同期比 (前期 -1.9%、予想 -10.9%)
16:55 (独) 7月 失業者数 前月比 (6月 6.90万人、予想 4.50万人)
16:55 (独) 7月 失業率 (6月 6.4%、予想 6.5%)

18:00 (欧) 7月 経済信頼感 (6月 75.7、予想 81.0)
18:00 (欧) 7月 消費者信頼感確定値 (速報 -15.0)
18:00 (欧) 6月 失業率 (5月 7.4%、予想 7.7%)
20:00 (メ) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -1.2%、予想 -17.3%)
20:00 (メ) 4-6月期GDP速報値 前年同期比 (前期 -1.4%、予想 -19.5%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数速報値 前月比 (6月 0.6%、予想 -0.3%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 0.9%、予想 0.1%)

21:30 (米) 4-6月期GDP速報値 前期比年率 (前期 -5.0%、予想 -35.0%)
21:30 (米) 4-6月期GDP個人消費速報値 前期比年率 (前期 -6.8%、予想 -35.0%)
21:30 (米) 4-6月期コアPCE速報値 前期比年率 (前期 1.7%、予想 -0.9%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 141.6万件、予想 140.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1619.7万人)

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る