トルコリラ円見通し ドル円と同調して6月23日夜以降の高値を更新(20/7/1)

トルコリラは、トルコ金融当局による取引規制の影響により対ドルでここ2週間程は横ばいに止まっていたが、6月23日深夜からのドル高円安の流れに沿って上昇している。

トルコリラ円見通し ドル円と同調して6月23日夜以降の高値を更新(20/7/1)

ドル円と同調して6月23日夜以降の高値を更新

〇トルコリラ円、ドル円の上昇につれ本日午前に15.77まで上値切り上げ
〇今週は金曜米休場で雇用統計は明日木曜公表、変則的かつブレやすく、乱高下に注意
〇トルコの5月貿易収支で輸出は前年同月比-31.2%と前月からは改善したものの落ち込み続く
〇トルコの新規感染者数は横ばい、7/1からギリシャとの国境封鎖が解除される
〇15.67以上での推移中は上昇余地あり15.77超えからは15.80台序盤試しを想定
〇15.67割れからは下げ再開15.60台前半への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は6月23日夜にドル円が106.06円まで急落したところで15.47円まで下落して6月12日安値を割り込んだが、その後はドル円が反騰入りしたことで上昇に転じ、6月25日夜には15.67円をつけて23日に急落する前の高値を上抜いた。週末の26日夜へ小反落したものの週明けはドル円の上昇継続となり、6月29日深夜にドル円が108円に迫る中でトルコリラ円も15.72円まで高値を切り上げた。
6月30日は午前高値15.73円まで上昇してから夜に15.67円まで小反落したが深夜から一段高に入り、7月1日午前には15.77円まで高値を切り上げている。
トルコ金融当局による取引規制の影響で対ドルでのトルコリラはここ2週間程は横ばいに止まっており、6月30日も小動きにとどまった。このためトルコリラ円はドル円の動きとほぼ同調しており、6月23日深夜からのドル高円安の流れに沿って上昇している。

【ドル円は5月6日と6月23日の両安値をダブルボトムとして戻す】

ドル円は6月23日夜の下落で106.06円の安値をつけて6月12日安値106.55円を割り込んだが、5月6日安値105.98円割れを回避して戻しに入っている。米国での感染拡大が深刻化しているものの、それ以上に復興期待への楽観が勝って株高基調が続いているため、ドル円もリスクオン優先で上昇してきている。7月1日午前には108円台に乗せているが、6月5日高値109.84円から6月23日安値までの下げ幅3.78円に対する半値戻しが107.95円であり既にクリアしている。半値戻しをこえたことで5月6日と6月23日の両安値をダブルボトムとして戻りを試す流れが続いており、3分の2戻しとなる108.58円超えを目指す可能性も出てきている印象だ。

ただし、7月2日には米雇用統計の発表もあり、1日はその前哨戦となるADPの民間部門雇用報告もある。7月4日の米独立記念日の振り替えで7月3日が米国休場となるために3連休前の雇用統計に対する市場反応が、連休後のリスクも踏まえた動きとなり上下に大きくぶれやすく、ドル円の変動とともにトルコリラ円も大きく動きやすいところと注意したい。また連騰が続いてきているので、米雇用統計前にポジション調整の売りも入りやすいところと注意したい。

【対ドルでのトルコリラは持ち合い継続、5月の輸出は大幅な落ち込み】

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値をつけてから6月3日に6.68リラまで戻したが、その後はドル高リラ安へ転じて6月18日に6.86リラまで下落した。6月18日以降は新たな安値更新を回避しているものの6.85リラを挟んでほぼ横ばいの動きが続いている。トルコ金融当局による外国大手銀行への取引規制等により売買規模が縮小していることが影響していると思われる。

【対ドルでのトルコリラは持ち合い継続、5月の輸出は大幅な落ち込み】

6月30日にはトルコの5月貿易収支の発表があった。34億2000万ドルの赤字で前月の45億7200万ドルからは赤字幅が縮小した。トルコは慢性的な貿易赤字であるが、重要なのは輸出の伸び率であり、5月の輸出は前年同月比でマイナス31.2%と落ち込んだ。コロナショックにより3月に同マイナス20.6%、4月に同マイナス41.4%となり、5月は4月からはやや改善しているものの依然として大きな落ち込みとなっている。一方で5月の輸入は前年同月比でマイナス16.7%となり、4月のマイナス25.1%に続く大幅な落ち込みとなった。
6月1日からトルコは経済活動を再開し始めており、徐々に景気回復へ向かいつつあると思われるが、輸出依存度の高いトルコとしては早期に輸出が回復するかどうかが重要となってくると思われる。

【トルコの感染増加数 千人超えが続くも安定】

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は続いている。7月1日朝時点の集計では、世界の感染者数は1058万人を超えて死者も51.3万人に達した。米国は6月30日時点で1日の増加数が4万6042人で累計272.7万人に拡大した。世界2位のブラジルは140万人に達し、ロシア(64.7万人)、インド(58.5万人)といずれも増加が続いている。ブラジル以外の南米での感染爆発拡大も深刻であり、ペルーが28.5万人で世界7位、チリが27.9万人で8位、メキシコが22万人で11位となっている。
トルコの新型コロナウイルス感染者数は6月30日時点で19万9906人で前日から1293増、死者5131人で前日から16人増えた。6月初旬は日々の感染増加数が千人を切っていたが6月1日からの経済活動再開により6月12日以降は千人を超える状況が続いている。ただし6月15日に1562人増となって以降はそれ以下の水準で抑えられている。
7月1日からはギリシャとトルコの国境封鎖が解除される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月23日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日午後から30日にかけての間への上昇を想定したが、6月26日夜へいったん下落してから一段高に入ったため、6月30日午前時点では25日夜高値を直近のサイクルトップ、26日夜安値を同サイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとした。またサイクルトップ形成期は6月30日夜から7月2日夜にかけての間と想定されるので、15.65円以上での推移中は一段高余地ありとした。
7月1日午前へ一段高しているのでまだ上昇余地ありとするが、前回サイクルトップから3日を経過しているので反落注意期とし、6月30日夜安値15.67円を割り込む場合はいったん弱気サイクル入りとみて7月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月29日夜の一段高で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒して安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は29日夜の上昇で70ポイント台中盤へ上昇し、その後の一段高では指数のピークが切り下がっているため弱気逆行が発生している可能性がある。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは弱気逆行による下落とみて30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月30日夜安値15.67円を下値支持線、7月1日午前高値15.77円を上値抵抗線とする。
(2)15.67円以上での推移中は上昇余地ありとして15.77円超えからは15.80円台序盤試しを想定する。15.80円以上は反落警戒とするが、30日夜安値割れに至らない内は2日午前にかけても高値試しへ進みやすいとみる。
(3)15.67円割れからは下げ再開とみて15.60円台前半への下落を想定する。15.625円以下は買い戻されやすいとみるが、15.67円以下での推移が続く場合は2日午前にかけても安値試しを続けやすいと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

7月01日
 16:00 6月イスタンブール製造業PMI (5月 40.9、予想 48.9)
7月02日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨公開
7月03日
 16:00 6月消費者物価上昇率 前年比 (5月 11.39%、予想 12.25%)
 16:00 6月消費者物価上昇率 前月比 (5月 1.36%、予想 0.80%)
 16:00 6月生産者物価上昇率 前年比 (5月 5.53%、予想 6.39%)
 16:00 6月生産者物価上昇率 前月比 (5月 1.54%、予想 0.90%)
7月10日
 16:00 4月失業率 (3月 13.2%、予想 15.6%) 

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