トルコリラ円見通し ドル円上昇に同調して23日深夜安値以降の戻り高値を切り上げる
〇トルコリラ円昨晩はドル円の上昇で、15.72まで上昇
〇ドルトルコは当局監視もあり横ばい推移だが、週末の雇用統計きっかけに大きく動く可能性には注意
〇トルコの6月経済信頼感指数は73.5前月、事前予想を上回る
〇トルコの感染者数は連日千人超だが安定推移
〇トルコ円15.65以上での推移中は上昇余地あり、15.65割れから下げ再開を警戒
【概況】
トルコリラ円は6月23日夜にドル円が106.06円まで急落したところで15.47円まで下落して6月12日安値を割り込んだが、その後はドル円の揺れ返しの上昇により反発に転じ、25日夜には15.67円まで上昇した。26日夜はドル円の下落に合わせて15.56円まで小反落したものの26日深夜には15.64円まで戻し、15.62円で先週を終えた。
週明け6月29日の日中は手掛かりに乏しく小動きだったが、深夜にかけてドル円が108円に迫る上昇となり、トルコリラ円も29日深夜高値で15.72円をつけて6月23日深夜以降の高値を更新した。
トルコ金融当局による規制の影響で対ドルでのトルコリラがここ2週間程は横ばいに止まっているためドル円の動きとトルコリラ円の動きはほぼ同調しており、ドル円次第の様相となっている。
【ドル円は6月23日深夜から上昇チャンネルを形成】
ドル円は6月23日夜に106.06円まで下げて6月12日安値106.55円を割り込んで一段安へ進みかけたが、25日夜への反騰で107.44円まで上昇して23日夜の急落前高値である23日午後高値107.22円を上抜いた。6月26日夜に106.78円まで小反落したものの週明け29日の日中は107円台序盤でしっかりし、29日夜は欧米株高によるリスク選好感が強まる中で上昇に入り、29日深夜には107.88円まで高値を切り上げた。6月26日夜安値へ安値を切り上げ、25日夜高値を超えて一段高しているが、高値ラインと安値ラインがほぼ平行となる上昇チャンネルを形成している。
6月5日から6月23日への下げ幅に対する半値戻しが107.95円であり現状はその手前まで戻したところにあるが、7月2日の米雇用統計等重要指標の発表が相次ぐ中で高値切り上げへ進めば半値戻しを超えて3分の2戻し108.58円前後へ向かう可能性もあるところだ。逆に重要指標発表を弱気反応したり感染拡大による経済活動再停止の動きが強まる場合は上昇チャンネルから転落してリスク回避的な下落へ進む可能性もあるところだ。
【対ドルでのトルコリラは持ち合いのまま】
対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで下落してからの切り返しで6月3日に6.68リラまで戻したが、その後はドル高リラ安へ転じて6月18日に6.86リラまで下落した。6月18日以降は新たな安値更新を回避しているものの6.85リラを挟んでほぼ横ばいの動きに止まっている。トルコ金融当局による外国大手銀行への取引規制等により売買規模が縮小して値動きも鈍くなっている印象だが、この傾向はまだ続いている。新興国通貨安が大規模に発生する場合、あるいはその逆に新興国通貨が全面高へ進む場合にはトルコリラも持ち合いから放れて大きく動き出巣のではないかと思われるが、7月2日の米雇用統計等がそのきっかけにもなりえるところとして注目しておきたい。
6月29日に発表されたトルコの6月経済信頼感指数は73.5となり、5月の61.7から上昇して市場予想の71も上回った。同指数は感染拡大による経済活動停止の影響で3月の91.8から4月には51.3まで急降下したが、その後は感染爆発が抑え込まれたことで持ち直しに入っている。ただし、各国で見られるように経済活動再開から感染が再び増加知るケースや、経済活動再開に入っても元の水準にまで復興しきれない状況のところも多いため、今後の復調ペースがどの程度となるのか注視してゆきたいところだ。
6月29日のイスタンブール100株価指数は前日から1%強の上昇で26日から2連騰している。
【トルコの感染増加数 千人超えが続くも安定】
新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、6月30日朝の集権時点では世界の感染者数は1040万人を超えて死者も50.7万人に達した。米国はNY州の感染が抑えられているものの米国全体では1日の増加数が4万人前後の規模が続いており、29日も前日から4万3559人増で268万人に達した。世界2位のブラジルは137万人に達し、ロシア(64.1万人)、インド(56.7万人)といずれも増加が続いている。ブラジル以外の南米での感染爆発拡大も深刻であり、ペルーが28.2万人で世界7位、チリが27.5万人で8位、メキシコが21.6万人で11位となっている。
トルコの新型コロナウイルス感染者数は6月29日時点で19万8613人で前日から1374人増、死者5115人で前日から18人増えた。5月30日から6月11日までは日々の感染増加数が千人を切っていたが、6月1日からの経済活動再開により6月12日以降は千人を超える状況が続いている。ただ6月15日に1562人増となって以降はそれ以下の水準で抑えられている。
6月1日からトルコは経済活動再開に入り、7月からは海外からの観光客受け入れも始まる。第二波への懸念は継続していると思われるが今のところは落ち着いた状況と言えそうだ。
エルドアン大統領は6月29日の演説で、「内外の共通の考えは、トルコはウイルス収束後に再形成されて世界のスター国の一つとなるというものだ」とし、「死者と感染者の数をゼロにすることが目標だ」と述べて対策と復興への自信を示した。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月23日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日午後から30日にかけての間への上昇を想定したが、25日夜多アkねから26日夜へいったん反落してから一段高に入っているため、25日夜高値を直近のサイクルトップ、26日夜安値を同サイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしていると考える。高値形成期は6月30日夜から7月2日夜にかけての間と想定されるので、15.65円以上での推移中は一段高余地ありとし、15.65円割れからは弱気転換注意として26日夜安値試しとする。
60分足の一目均衡表では6月29日夜の一段高で遅行スパンは好転し先行スパンを上抜いているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒して安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意する。
60分足の相対力指数は29日夜の上昇で70ポイント台中盤へ上昇した。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がるか横ばい程度に留まる場合は弱気逆行として下げ再開を警戒し、50ポイント割れからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.65円を下値支持線、15.75円を上値抵抗線とする。
(2)15.65円以上での推移中は上昇余地ありとして15.75円前後試しを想定する。15.75円以上は反落警戒とするが、7月1日朝へ続伸中の場合は15.80円試しへ上値目処を引き上げる。また15.65円以上での推移が続く内は1日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)15.65円割れからは下げ再開を警戒して15.60円前後への下落を想定する。15.65円以下での推移が続く場合は弱気サイクル入りの可能性が高まるとみて26日夜安値15.56円前後を目指す流れと考える。
【当面の主な経済指標等の予定】
6月30日
16:00 5月貿易収支 (4月 −45.6億ドル、予想 -18.0億ドル)
7月01日
16:00 6月イスタンブール製造業PMI (5月 40.9、予想 48.9)
7月02日
20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨公開
7月03日
16:00 6月消費者物価上昇率 前年比 (5月 11.39%、予想 12.25%)
16:00 6月消費者物価上昇率 前月比 (5月 1.36%、予想 0.80%)
16:00 6月生産者物価上昇率 前年比 (5月 5.53%、予想 6.39%)
16:00 6月消費者物価上昇率 前月比 (5月 1.54%、予想 0.90%)
7月10日
16:00 4月失業率 (3月 13.2%、予想 15.6%)
注:ポイント要約は編集部
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