ドル円見通し 米国株高反映して108円に迫る、6月23日深夜から上昇チャンネル形成(20/6/30)

NYダウが反騰に入ったことでリスク回避感が緩んだことでクロス円全般が円安へ進み、ドル円も深夜に107.88円まで上昇して6月16日高値を上抜いた。

ドル円見通し 米国株高反映して108円に迫る、6月23日深夜から上昇チャンネル形成(20/6/30)

ドル円見通し 米国株高反映して108円に迫る、6月23日深夜から上昇チャンネル形成

〇ドル円NYダウの反騰に107.88まで上昇
〇5月の米中古住宅販売の大幅回復等によるもの
〇感染拡大懸念、米中対立等ネガティブな材料もあり株の戻りは限定的
〇パウエル議長は当初予想より早いペースで景気回復との見通し
〇6/5高値109.85から6/23安値106.07への半値戻しに接近
〇ドル円107.25円を上回る内は上昇余地あり107.88超えからは108円台前半絵の上昇想定
〇107.25割れからは下げ再開

【概況】

ドル円は6月23日深夜に106.06円まで下げて5月6日安値105.98円に迫ったものの底割れを回避して切り返しに入り、25日夜には107.44円まで戻して23日夜に急落する前の持ち合いにおける6月16日高値107.63円に迫った。週末の26日には株安からリスク回避感がぶり返して106.78円までいったんさげたが、26日深夜にはリスク回避のドル買いが優勢となって107.35円まで戻した。
週明けの6月29日は午前高値で107.37円までわずかに戻り高値を切り上げたものの、日経平均が前日比517.04円安と下げる中で上値が抑えられていたが、29日夜に入ると週末に下げていたNYダウが反騰に入ったことでリスク回避感が緩んだことでクロス円全般が円安へ進み、ドル円も深夜に107.88円まで上昇して6月16日高値を上抜いた。しかし、パンデミックの継続、米国での感染拡大と再開されていた経済活動が再び停止に追い込まれる地域が出始めたこともあり、108円には届かずに深夜からはやや失速して終了している。

【復興期待と感染拡大の狭間】

6月29日のNYダウは前日比580.25ドル高と上昇した。週末の26日には前日比730.05ドル安と下落していたため、6月8日の戻り高値からの下落基調継続感が強まっていたが、週明けはやや持ち直しとなった。
6月29日に発表された6月欧州経済信頼感は75.7となり市場予想の80.0には届かなかったものの5月の67.5から改善した。米不動産業者協会(NAR)が発表した5月の中古住宅販売仮契約指数は前月比44.3%上昇となり4月のマイナス21.8%から大幅に改善、市場予想の18.9%上昇も上回った。これらが週末に大幅下落した欧米株を持ち直させてリスク回避感がやや後退したということだが、感染拡大による不透明感は拭えずに週末の下げ幅を解消する程度にとどまった。

米中対立も懸念が続く。中国政府は29日に香港で計画している国家安全法制に干渉する米国市民に対してビザ発給を制限すると発表した。先週末に米国が一部の中国共産党当局者を対象に同様の措置を発表したことへの対抗措置とみられる。香港情勢を巡っては国家安全法が30日にも採決される動きがあり、米国は香港人権法により中国への牽制を強めている。

米FRBが新規発行社債を買い入れるPMCCFの運用を始めたことも金融市場を落ち着かせた。6月30日にパウエル議長が下院で証言に立つが、事前原稿が29日に公表された。その中では「4 〜6月期成長率の落ち込みは記録上で最大になる公算が大きい」としつつも、当初の見込みよりも早いペースで持ち直しの局面に入ったとの認識を示している。今をコロナショック不況の底として年後半の持ち直しを期待させるものだが、その一方では「感染拡大の阻止という新たな試練に直面している」として「第2波」への懸念も強く示した。
米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると世界の感染者数の累計は1000万人を超えて死者数は50万人に達した。米国でもNY州が経済活動再開に入ったが、1日の感染増加数が4万人前後の規模へと拡大しており、経済活動を早期に再開していた南部や西部の州では感染者が急増し、テキサス州やフロリダ州は経済活動の規制に乗り出している。米FRBの年後半持ち直し期待も、あくまでも感染拡大の第2波による経済活動の再規制や新たなロックダウンで深刻化しないことが条件でもある。

【6月5日からの下げ幅に対する半値戻し手前】

6月23日安値106.06円で5月6日安値105.98円割れを回避して戻しに入っている。6月5日から23日への下げ幅は3.78円で、その半値戻しが107.95円にある。現状は半値戻し手前に来ているところだが、半値戻しを超えてさらに続伸に入れば、5月6日安値と6月23日安値をダブル底として反騰を継続する可能性が出てくると思われる。その際は3分の2戻し108.58円前後へ上値目処も切り上がると思われる。
ただし、今週は7月2日に米雇用統計も控えており、重要指標の発表も相次ぐ。最新の集計では米国の6月29日終了時点の感染者数は前日から4万3559人増の268万人に達している。新たな経済活動制限の動きが強まる様だと週明けに戻した株式市場の心理も再び悲観へ揺れ返し、リスク回避での円高へ押し戻される可能性もあるところだ。

6月23日深夜安値以降は25日夜高値107.44円から29日深夜高値107.88円へ高値が切り上がり、底値も26日夜安値106.78円へ切り上がって抵抗線と支持線がほぼ平行となる上昇チャンネルが形成されている。30日夜以降に107.25円を割り込んで続落に入る場合はこの上昇チャンネルから転落となるが、上昇チャンネルを維持する内は戻りを試す可能性も継続すると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・形成サイクルでは、6月23日深夜安値をサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、26日夜にいったん下げてから一段高しているため、25日夜高値を直近のサイクルトップ、26日夜安値をサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入っているとみる。トップ形成期は30日夜から7月2日夜にかけての間と想定するが、107.25円割れからは23日深夜以降の上昇チャンネルから転落するために弱気転換注意とし、26日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして7月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日夜の一段高で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、先行スパンから転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日深夜の上昇で80ポイントに迫ったがその後は60ポイント前後まで下げている。50ポイント以上を維持する内は上昇余地ありとするが、29日深夜高値を超える場合に指数のピークが切り下がる弱気逆行となる場合は戻り一巡から下落再開を警戒し、50ポイント割れからは下げ再開とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.25円を下値支持線、6月29日深夜高値107.88円を上値抵抗線とする。
(2)107.25円を上回る内は上昇余地ありとし、6月29日深夜高値超えからは108円台前半への上昇を想定する。108.20円以上は反落警戒とするが、107.50円以上での推移なら7月1日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)107.25円割れからは下げ再開の可能性を優先して26日夜安値106.78円試しへ向かうとみる。107円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、107.25円以下での推移が続く場合は1日も安値試しへ向かいやすいとみる。

注:ポイント要約は編集部

【当面の主な予定】

6/30(火)
10:00 (中) 6月 国家統計局製造業PMI (5月 50.6、予想 50.5)
14:00 (日) 5月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (4月 -12.9%、予想 -14.4%)
15:00 (英) 1-3月期GDP改定値 前期比 (速報 -2.0%、予想 -2.0%)
15:00 (英) 1-3月期GDP改定値 前年同期比 (速報 -1.6%、予想 -1.6%)
15:00 (英) 1-3月期経常収支 (前期 -56億ポンド、予想 -150億ポンド)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 0.1%、予想 -0.2%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (4月 0.9%、予想 0.8%)

22:00 (米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (3月 3.9%、予想 3.8%)
22:45 (米) 6月 シカゴ購買部景況指数 (5月 32.3、予想 45.0)
23:00 (米) 6月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (5月 86.6、予想 91.1)
24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
25:30 (米) ムニューシン米財務長官とパウエルFRB議長、下院金融委員会公聴会で証言

7/1(水)
休場 香港(香港特別行政区設立記念日)、カナダ(建国記念日)
07:45 (NZ) 5月 住宅建設許可件数 前月比 (4月 -6.5%)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業製造業現況 (前期 -8、予想 -31)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業製造業先行 (前期 -11、予想 -24)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業非製造業現況 (前期 8、予想 -20)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業非製造業先行 (前期 -1、予想 -15)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (前期 1.8%、予想 1.3%)
10:30 (豪) 5月 住宅建設許可件数 前月比 (4月 -1.8%、予想 -3.0%)
10:45 (中) 6月 財新製造業PMI (5月 50.7、予想 50.7)
14:00 (日) 6月 消費者態度指数・一般世帯 (5月 24.0)

16:55 (独) 6月 製造業PMI改定値 (速報 44.6、予想 44.6)
16:55 (独) 6月 失業者 前月比 (5月 +23.80万人、予想 8.00万人)
16:55 (独) 6月 失業率 (5月 6.3%、予想 6.4%)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI改定値 (速報 46.9、予想 46.9))
17:30 (英) 6月 製造業PMI改定値 (速報 50.1、予想 50.2)
21:15 (米) 6月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (5月 -276.0万人、予想 +300.0万人)
22:45 (米) 6月 製造業PMI改定値 (速報 49.6)
23:00 (米) 5月 建設支出 前月比 (4月 -2.9%、予想 1.0%)
23:00 (米) 6月 ISM製造業景況指数 (5月 43.1、予想 49.0)
23:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、オンラインフォーラム開催
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る