ドル円、堅調な株価指数と良好な米経済指標を受けて約3週間ぶり高値圏へ
〇ドル円米指標の好調と株高に107.89まで急伸
〇ユーロドルは独CPIの伸び加速、株高によるドル売りで1.12879まで上昇
〇その後は米指標好調、独議会のECB債券購入支持報道に1.12台前半に反落
〇ドル円テクニカルな持ち直しの動きをファンダメンタルズの弱さが阻むシナリオが想定される
〇本日の予想レンジ:107.00ー108.00
海外時間の為替概況
29日(月)の外国為替市場でドル円は急伸。@株高・原油高を背景としたリスク選好ムード(リスク選好の円売り)や、A米5月住宅販売保留指数(結果44.3%、予想19.7%、※過去最大の伸び率を記録)及び、B米6月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲6.1、予想▲29.5)の良好な結果(ドル買い)、C対ユーロでのドル買い圧力(一部通信社による「ドイツ議会はECBの債券購入プログラム支持の動議を計画している」との報道)、D直近高値(6/16)107.64を上抜けたことに伴う短期筋のロスカットが支援材料となり、米国時間午後にかけて、約3週間ぶり高値となる107.89まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、107.66近辺で推移しております。
29日(月)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@株高・原油高を背景としたリスク選好ムード(クロス円上昇→ユーロドル連れ高)や、Aドイツ6月消費者物価指数(結果0.9%、予想0.6%)の伸び率加速(ユーロ買い)、B対英ポンドでのユーロ買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方には、一時1.1289まで上昇しました。しかし、心理的節目1.1300をバックに伸び悩むと、C米5月住宅販売保留指数(結果44.3%、予想19.7%、※過去最大の伸び率を記録)や、D米6月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲6.1、予想▲29.5)の良好な結果(ドル買い)、E一部通信社による「ドイツ議会はECBの債券購入プログラム支持の動議を計画している」との報道(ユーロ売り)が重石となり、米国時間午後にかけては、1.1220まで値を崩す場面も見られました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.1236近辺での推移となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、6/23に記録した約1カ月半ぶり安値106.07をボトムに反発に転じると、昨日は約3週間ぶり高値となる107.89まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上下限を上抜けするなど、テクニカル的にみて、「下値の堅さ」を印象付けるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交が強まる恐れあり)、D朝鮮半島や中東、中印、香港、メキシコを巡る地政学的リスク、E新型コロナの第2波リスク(世界的な新型コロナ感染拡大リスク。世界保健機関は昨日、「パンデミックは加速しており終息には程遠い」と発言)、F日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、G全米各地で続く人種差別抗議デモなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に持ち直しの動きが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。昨日は米ダウ平均株価の反発を受けたリスク選好の「円売り」と、良好な米経済指標を受けた「ドル買い」が重なったことで、一時3週間ぶり高値圏へとドル高・円安が進行しましたが、ここから先は、重要イベント(日銀短観や米ISM製造業景況指数、米雇用統計)を前にしたポジション調整に注意が必要でしょう(一巡後の反落リスクに要警戒)。欧米株や米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスクを巡るヘッドライン、米中主要経済指標の結果(中国6月製造業PMIや、米6月シカゴ購買部協会景気指数、米6月コンファレンスボード消費者信頼感指数、パウエルFRB議長発言など)、月末ロンドンフィキシングに絡む特殊フローを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:107.00ー108.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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