ドル円見通し ドル全面高で反騰、23日夜急落の揺れ返し(20/6/25)

24日夜に欧米株安が進む中でドル全面高となりドル円においてもドル高優勢で24日深夜に107円に迫り、25日早朝には107.14円まで続伸した。

ドル円見通し ドル全面高で反騰、23日夜急落の揺れ返し(20/6/25)

ドル円見通し ドル全面高で反騰、23日夜急落の揺れ返し

〇ドル円107円台回復、欧米株安でドル全面高
〇持合い下放れにはいったん待ったがかかった形
〇ドイツでのロックダウンによる第二波懸念、IMFの経済見通し下方修正が重しに
〇ドル円106.50を上回る内は上昇余地あり、107.22超えからは107.63円試しへ
〇106.70割れで弱気転換注意、106.50割れからは下げ再開、23日深夜安値106.06試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は6月23日夜の急落で106.06円まで下げ、その後は急落の反動でやや戻して106.50円を挟んでの揉み合いだったが、24日夜に欧米株安が進む中でドル全面高となりドル円においてもドル高優勢で24日深夜に107円に迫り、25日早朝には107.14円まで続伸した。6月23日夜へ急落する前の高値が23日午後の107.22円であり、ほぼ揺れ返しで急落分を解消した。
6月5日の米5月雇用統計が予想外に改善したことで6月5日深夜にドル高円安のピークとなる109.84円を付け、その後は株安と米10年債利回り低下局面で円高へ回帰して6月12日安値106.55円まで下げた。6月23日の日中までは12日安値割れを回避して107円を挟んだ持ち合いだったが、23日夜に持ち合いから転落する下落となった。しかし23日夜の急落も株高局面で本来なら円安反応となっても良いところでの急落であり、テクニカル主導の売りの連鎖だったとすれば、その後の揺れ返しもまたドル全面高をきっかけとしてテクニカルに揺れ返したともいえる。

持ち合い下放れによる下落継続感には一旦待ったがかかった。しかし下放れを否定して上昇再開へ進むには直前の持ち合い中の高値である6月16日の107.63円を超える上昇が必要であり、そこまで戻せずに106.50円を割り込んでくる場合は下げ再開も疑われ、6月23日深夜安値を割り込む場合は一段安入りの再確認として円高が加速しやすくなると考える。

【感染拡大への悲観が強まる】

米国内で新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることを嫌気してNYダウが大幅下落となり、リスク回避によるドルの買い戻しでドル全面高となる中でドル円においてもドル高が勝る展開となった。
株安の背景は米国での感染拡大、ドイツでのロックダウン等によるコロナ不安と国際通貨基金(IMF)が最新の世界経済見通しにおいて2020年の成長率をマイナス4.9%として4月時点のマイナス3.0%から下方修正したことがきっかけだった。NYダウは前日比710.16ドル安と大幅下落となり、史上最高値を更新してきたナスダック総合指数も24日は9営業日ぶりに反落して前日比222.20ポイント安となり1万の大台を割り込んだ。
株安からの逃避買いで債券が買われて米10年債利回りは前日比0.04%低下の0.68%となった。米10年債利回りが低下すれば通常ならドル円にとってはドル売り円買い材料となるべきところだが、利回り低下によるドル売り圧力を上回るドル買いが進んでいたためにドル円まで上昇したようだ。

米国での新型コロナウイルスの感染拡大はNY州では抑制されているものの全米レベルでは拡大傾向が続いている。NY州とニュージャージー及びコネチカットの3州はウイルス感染率が高い州からの訪問者に対して14日間の自主隔離を義務付けると発表した。ロイター通信のまとめによると、米国では6月21日終了週に新型コロナの新規感染者数が25%急増し、25州で前週から増加、うち10州では50%超拡大した。テキサス、フロリダ、アリゾナなど12州で増加数がこれまでの最多を記録したという。
感染拡大傾向が続く中でもアフターコロナの復興期待を優先してかなり楽観的な上昇を続けてきたのが米ナスダック総合株価指数だが、史上最高値更新まで上昇してきたのは行き過ぎとして修正が入っても不思議ないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・形成サイクルでは、6月12日午前安値から4日半となる6月18日深夜安値106.65円で直近のサイクルボトムをつけてその後は持ち合い推移となっていたが、6月23日夜に12日安値を割り込んで一段安となったため、24日朝時点では底割れによる弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は6月23日深夜から25日深夜にかけての間と想定されるので、早ければ23日深夜安値でボトムをつけた可能性があるとし、106.75円を超えからはいったん強気サイクル入りとした。
6月24日夜の上昇で107円台まで戻しているので23日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日夜から30日にかけての間への上昇を想定する。ただし戻りは短命の可能性もあるので、106.50円割れからは下げ再開の可能性を優先して23日深夜安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして26日夜から30日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では24日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、戻りは短命の可能性もあるので遅行スパン悪化からは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは下げ再開と考える。

60分足の相対力指数は24日夜の上昇で70ポイントまで戻した。50ポイント以上を維持する内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.50円を下値支持線、6月23日午後高値107.22円を上値抵抗線とする。
(2)106.50円を上回る内は上昇余地ありとし、6月23日高値超えからは6月16日高値107.63円試しへ向かうとみる。106.70円以上での推移中は26日にかけても高値試しを続けやすいとみるが、107.22円を超えた後に107円を割り込むところは弱気転換注意とし、106.50円割れからは下げ再開を疑う。
(3)106.70円割れを弱気転換注意とし、106.50円割れからは下げ再開と仮定して23日深夜安値106.06円試しへ向かうとみる。106円台序盤は買い戻されやすいとみるが、株安円高が同調し始めて下げる場合は106円割れへ向かう可能性もあると警戒する。また106.50円以下での推移なら26日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/25(木)
休場、中国、香港
FRB、大手金融機関のストレステスト結果発表
13:30 (日) 4月 全産業活動指数 前月比 (3月 -3.8%、予想 -6.5%)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 -18.9、予想 -12.0)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.25%、予想 8.00%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 -5.0%、予想 -5.0%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値 -6.8%、予想 -6.8%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 1.6%、予想 1.6%)

21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 -17.2%、予想 10.9%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 -7.4%、予想 2.5%)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 150.8万件、予想 133.5万件)
21:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 2054.4万人、予想 2000万人)
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、バーチャル討論会
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 5.50%、予想 5.00%)

6/26(金)
休場、中国
08:30 (日) 6月 東京都消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (5月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 5月 個人所得 前月比 (4月 10.5%、予想 -5.7%)
21:30 (米) 5月 個人消費 前月比 (4月 -13.6%、予想 8.5%)
21:30 (米) 5月 PCEデフレーター 前年同月比 (4月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター 前月比 (4月 -0.4%、予想 0.0%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (4月 1.0%、予想 0.9%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 78.9)

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