ドル円、資産現金化需要の高まりを背景に節目107円を上抜け急伸
〇ドル円107円台に急反発、リスクセンチメント悪化に株急落、資産のドル現金化需要高まる
〇感染第2波リスクの高まり、米国の対EU、英国への追加輸入関税検討、IMFの成長予測を大幅下方修正で
〇ユーロドル相場は1.1250まで急反落
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも下落リスクが警戒される
〇昨日は欧米株の急落がリスク回避の円買いに波及せず、本日は一巡後の円買いに注意必要
〇ドル円相場の下落(一巡後の反落)をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:106.30ー107.30
海外時間の為替概況
24日(水)の外国為替市場でドル円は急伸。@新型コロナ第2波リスクの高まり(米国の多くの州で感染拡大の報告。ニューヨーク州やコネティカット州、ニュージャージ州などでは感染率の高い州からの訪問者に対して14日間の隔離を要求。米国における1日の感染者数が4月下旬以降で最多を記録)や、A米大統領選挙を巡る不透明感(民主党候補のバイデン元副大統領への支持が50%を突破し、トランプ米大統領の36%を引き離す展開)、B上記Aを背景とした世界的な貿易戦争再開への思惑(トランプ米政権は欧州連合と英国からの輸入品31億ドルに関税を課すことを検討)、C国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しの中で2020年成長予測を大幅下方修正(4月時点のマイナス3.0%からマイナス4.3%へ下方修正)、
D欧米株の急落を背景とした資産現金化需要の高まり(ドル買い)が支援材料となり、米国時間には、一時107.07まで急伸しました(リスク回避の円買いには繋がらず、資産現金化のドル買いに伴うリスクアセット売りが先行)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、107.06近辺で推移しております。
24日(水)のユーロドル相場は急反落。@新型コロナ第2波リスクの高まりや、A世界的な貿易戦争再開リスク、B国際通貨基金(IMF)による2020年成長予測の下方修正、C欧米株の急落を背景とした資産現金化需要の高まり(ドル買い)が重石となり、米国時間には、一時1.1250まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1251近辺で推移しております。尚、欧州時間に発表されたドイツ6月IFO景況感指数(結果86.2、予想85.0、前回79.5)は力強い結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、6/5に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、6/23には一時106.07(約1カ月半ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限および雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(但し、昨日は資産現金化需要の高まりを背景に107.07まで急反発。本日もこうした動きが続くか否かに要注目)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争再開懸念(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による外交リスクが高まる恐れあり)、D朝鮮半島や中東、中印、香港、メキシコを巡る地政学的リスク、E新型コロナの第2波リスク(米国の大半の州で感染拡大)、F日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、G全米各地で続く人種差別抗議デモなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。昨日は欧米株の急落がリスク回避の円買いに波及せず、資産現金化のドル買いが先行しましたが、本日は一巡後の円買いに注意が必要でしょう(クロス円下落→ドル円下落の波及経路)。新型コロナ第2波に関する続報や、欧米株および米長期金利の動向、世界的な貿易戦争に係るヘッドラインを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落(一巡後の反落)をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:106.30ー107.30
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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