レンジ脱却なるか注目、米中対立の行方は!?(週報5月第4週)

先週のドル/円もドルが小高い。週足は2週続けての陽線引けで、週間を通して一度も107円を割り込むことがないなど、ドルは底堅かった。

レンジ脱却なるか注目、米中対立の行方は!?(週報5月第4週)

レンジ脱却なるか注目、米中対立の行方は!?

〇先週ドル円は107円を割り込むことなく底堅く推移
〇週間を通して米中関係とコロナ治療薬が相場の主要材料
〇新型コロナ問題、米中対立激化懸念にも関わらずドル円の反応鈍くレンジ離れの有無に注目
〇106.74-108.09のどちらを抜けるかとタイミングを注視
〇今週の予想レンジドル/円予想レンジ106.20-108.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円もドルが小高い。週足は2週続けての陽線引けで、週間を通して一度も107円を割り込むことがないなど、ドルは底堅かった。

前週末に、新型コロナをめぐり米中対立の激化が取り沙汰されるなか、今度は新たにファーウェイについても対立が表面化している。また、それとは別に、FOXニュースが「トランプ政権、WHOへの一部拠出再開を検討」などと報じ話題となっていた。
そうした状況下、週明けのドル/円は、前週末のNYクローズよりやや円高の107.05円レベルでオープンしたものの、結局同レベルが週間を通したドルの最安値圏。週の半ばにかけて4月23日以来となる108円台を一時回復する局面も観測されていた。しかし、108円台をしっかりと越えられなかったこともあり、その後は徐々に上値も重くなり上げ渋りの様相に。週末にかけては107.30-80円といったレンジ取引をたどるなか、金曜日のNYは107.60円前後で取引を終え、越週している。
なお、それ以外ではユーロやポンドが引き続き荒っぽい。結局プラス圏で大引けたが、ポンド/円は週のザラ場ベースで3月24日以来の安値である129.20円台まで下落する局面も観測されていた。ホールデン英中銀エコノミストから、「マイナス金利も検討」との発言が聞かれたことが材料視されていたという。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米中の対立行動」と「新型コロナ治療薬をめぐる動き」について。

前者は、これまでも「コロナ起源説」などをめぐり米中がバチバチやりあっていたが、先週は別途2つの要因における対立が新たに発覚した。ひとつは、先でも取り上げた「ファーウェイ」をめぐる動きで、米国務長官が「ファーウェイに対する輸出禁止措置の強化を発表した」ことに対し、中国サイドは強い不満を表明したうえで「米のファーウェイ制裁に対抗措置をとる」可能性を示唆するなど対抗意識を示している。もうひとつの対立は、香港あるいは台湾をめぐる動き。台湾の参加が認められなかったWHOを舞台に米中双方のバトルが観測されていたほか、トランプ米大統領が事前に「中国が香港に対し国家安全法を導入すれば、強硬に対応する」と述べ警告したにもかかわらず、中国が全人代で「国家安全規則制定を香港に義務付ける草案」を示しており、メンツを潰された米国の報復が懸念されていた。

対して後者は、米バイオ医薬ベンチャーのモデルナが、新型コロナウイルス向けワクチンの臨床試験で「投与した患者全員に抗体が確認された」と発表したことが市場の話題を一時席巻している。ただ、そののち共同通信が「(別の)治療薬候補アビガンをめぐり、臨床研究で明確な有効性が示されていないことが分かった」と報じ、一転して失望感が広がるなど、幾つかの治療薬候補をめぐり株式相場は乱高下商状。今週も、関連報道をめぐりまだしばらく一喜一憂は続きそうだ。

<< 今週の見通し >>

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、新型コロナウイルスの感染者は世界で500万人を突破するなど、世界全体で見ると依然として感染拡大は止まっていないものの、その中心はというと欧州や米国から南米へと移行した感を否めない。とは言え、経済活動を再開しつつある欧米諸国あるいは日本についても、「第2波」への警戒感は根強いものがあり今週も引き続き注意を払いたいところだ。ただ、新型コロナの問題や米中対立の激化懸念などが指摘されているにもかかわらず、ドル/円相場の反応はきわめて鈍い。今週、まずはレンジ放れの有無が注視されている。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として少なくない。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、感応度が低下しているとはいえ依然「新型コロナウイルス」に関連するニュース。そして起点はコロナ問題にあったが、先でも取り上げたように台湾や香港情勢などにも波及しただけでなく、混迷の度合いを深めている米中対立の問題には注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、過去1ヵ月以上も105.99-108.09円というレンジ取引をたどっているが、期間をさらに絞り2週間程度と考えると、取引レンジは106.74-108.09円とわずか1.3円ほどになる。ともかく、まずは後者から、レンジ放れの方向性とそのタイミングが注視されていることに間違いない。

今週は、5月の消費者信頼感指数や1-3月期のGDP改定値といった米経済指標が発表される予定となっている。4月分のデータ、米経済指標は全般的に冴えないものが多いが、足もと5月分のデータは予想ほど悪くないものが多いだけに、好数字の指標発表が続けばドルの下支えとなる可能性もありそうだ。
また、米財務省による短期債の入札や、FRB議長をはじめとする米通貨当局者による講演が相次ぐことにも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.20-108.50円。ドル高・円安については、直近高値である108.09円をめぐる攻防にまずは注視。上抜けると、移動平均の200日線なども位置する108.30円レベルがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、週初に移動平均の25日線が位置する107.10-20円が最初のサポートか。割り込めば106.74円レベル、過去2週間程度のレンジ下限が意識されそうだ。

注:ポイント要約は編集部

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