ユーロドルは底堅いものの今週はもみあい(週報5月第1週)

先週のユーロは、多少の上下は挟みながらも一貫してユーロ買いが続く一週間となりました。

ユーロドルは底堅いものの今週はもみあい(週報5月第1週)

ユーロドルは底堅いものの今週はもみあい

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、多少の上下は挟みながらも一貫してユーロ買いが続く一週間となりました。水曜まではドル円と同様に全般的なドル売りの流れの中でユーロドルもじり高の展開を辿りましたが、木曜のECB理事会後の会見で緊急プログラムの延長と金利引き下げの予定が示されたことを好感し、その後ロンドンフィキシングにおいて月末実需の大口のユーロ買いが出たことから、ストップオーダーも巻き込みながら上昇、金曜もユーロ買いの流れを継続し、4月1日以来の1.10の大台乗せを見せました。

4月のユーロドルは、材料的には感染者拡大が続く中で後半に入り徐々に増加のペースが鈍り、それを受け5月中には制限緩和が実施されるという流れの中で、実体経済の弱さが仇となって3月下旬からの高値安値ともに切り下げる下降ウェッジの中での動きを続けていました。しかし、先週は目先の安値からの反発を見て、月末には実需の買いが入ったことで、それまでの下降トレンドを上抜けし、ユーロが上昇トレンドに転換した可能性を示したと言えます。

今週は欧州主要国の製造業・サービス業PMIの改定値、英中銀MPCあたりが主要な材料となりますが、速報値からの修正は予想されていませんので、よほど異なった発表でもない限り大きな影響はないでしょう。また木曜の英中銀MPC結果発表は通常の日本時間20時ではなく、今回は15時に前倒しで発表されます。先週は、日銀のみ追加緩和、FRBとECBは現状維持ときましたが、英中銀も政策金利を既に0.1%まで下げていますので、今回は金利の変更は無いでしょう。なお、15:30からの英中銀総裁会見には注意しておきたいところです。

また、週半ば以降には米国の雇用関連の数字が連日発表されますが、ある程度悪い数字が出ることは織り込み済みですし、前回よりは多少は良くなるという予想です。ただ、先週半ば以降は、米国の株価指数を中心に実体経済の悪さが上値を抑える動きとなっていますので、数字が予想よりも悪い場合には米国株安が欧州にも波及する可能性は考えておく必要があるでしょう。ドル円の週報でも振れましたが、1〜3月期の企業減益について日本の78%に次いで欧州も71%と大きく、4〜6月期も日欧の減益率が大きいと予想されています。

こうした実体経済の回復に時間がかかりそうな動きは株価の重石になることはイメージしやすいのですが、為替市場ではリスクオフの動きからおそらくは円高要因と見られやすく、またその場合にはユーロ円も下げ圧力がかかりやすいことから、ユーロドルも上値が重くなってくる可能性を考えています。ただ、先週のユーロの上昇の勢いを見ると下値も限定的となってきそうですから、ユーロドルは横方向の動きが最も可能性が高いシナリオではないかと見ています。

テクニカルにも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

ユーロドル日足

ユーロドル日足

青いラインによる下降ウェッジを上抜けたことは既に書いた通りですが、3月安値と4月安値を結んだサポートにはまだ距離があり、抜けた下降ウェッジの上側のラインが位置する1.08台前半が現状ではサポートとなってきます。また月末実需で大きく上げる前の高値圏1.08台後半も最初に下げ止まりやすい水準と言えます。いっぽうで、上値については3月高値と安値の半値戻しが1.1065となっていて、同水準がレジスタンス兼ターゲットと見てよいのですが、引き続き1.10台乗せには売りオーダーが残っていそうです。

今週は1.0880レベルをサポートに先週高値の若干下となる1.1010レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週のコラム

今週は英中銀MPCもありますのでポンドドルの日足チャートを見てみましょう。

ユーロドル日足 2枚目の画像

ポンド円は緩やかなヘッド&ショルダーからいかにも下げそうな形状をしていましたが、月末にユーロドルとともにポンドドルも上げたことでポンド円もポンドドルも横ばいのもみあい継続となっています。ポンドドルについてはチャート内に示したウェッジ型のもみあいパターンを継続中ですが、どちらかに抜けてくるまで方向性は出にくいと言えます。

今週のMPCがきっかけになるとも思えませんが、ポンドドルとしては上下ともかなり限定的な値動きを続けていますので、そろそろどちらかに抜けるかもしれません。短期的には抜けた方向に若干動きを加速させやすいと言えそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

5月4日(月)
**:** 東京市場、中国市場休場
16:50 フランス4月製造業PMI
16:55 ドイツ4月製造業PMI
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI

5月5日(火)
**:** 東京市場、中国市場休場
17:30 英国4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月PPI

5月6日(水)
**:** 東京市場休場
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
17:30 英国4月建設業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
**:** 英中銀MPC(〜7日)

5月7日(木)
**:** シンガポール市場休場
15:00 英中銀MPC結果発表(時間変更)
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
15:45 フランス3月貿易収支
15:45 フランス3月鉱工業生産
18:00 英中銀総裁会見

5月8日(金)
**:** LDN市場、フランス市場休場
15:00 ドイツ3月貿易収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月27日(月)
ユーロドルは、金曜引け間際のユーロの強さを継続し金曜高値を上抜けたあたりから一段のユーロ買いが目立ちました。欧州市場では感染者が拡大はしているものの一部で規制緩和の動きも出始めていることもあって短期筋のユーロ買い戻しの動きも出ていた様子でした。その後は米金利上昇によるドル買いも見られたことでユーロ売りとなり東京前場の水準に押して引けました。

4月28日(火)
ユーロドルは、東京は動かず欧州市場に入りドル売りの動きが先行する中、前日高値を上抜けるとストップも巻き込みながら1.0889レベルの高値をつけました。その後、実需のユーロ売りに押されて日計り組のストップも重なり1.08台前半に押して引けました。

4月29日(水)
ユーロドルは、改めて買いが目立つ動きを終日続けることとなりました。アジア時間は押しも入らず上昇を続けていましたが、その後前日高値を超えられず、NY後場までは上下しながらもみあい。引けにかけては再びユーロに対ドル、対円で買いが入りましたが、ユーロドルは前日高値を超えられないまま引けました。

4月30日(木)
ユーロドルはECB理事会を前に全く動きが見られないまま結果待ちとなりましたが、発表直後は現状維持と弱い経済見通しに反応してユーロがやや下げる動きを見せました。しかし、ラガルド総裁の会見では新型コロナウイルスに対応した緊急プログラムを延長する可能性、金利をマイナス1%まで下げる可能性に言及したことから一転ユーロ買い。しかも月末特殊要因で大口のユーロ買いが出たことも重なって、ユーロドルはストップオーダーも巻き込み1.0973レベルまで上昇後、若干押しての引けとなりました。

5月1日(金)
ユーロドルは、基本的にドル円と同様にドル売りが先行し、NY前場にはストップも巻き込んで1.1019レベルの高値をつけました。久しぶりの1.10の大台超えで実需を中心にユーロ売りも見られ、対ドル、対円で売りが入ったことから引けにかけては1.09台後半へと押しての週末クローズとなりました。

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