『資本流出止まらず、2018年8月のトルコ危機以来の安値圏へ』
今週のレビュー(4/13−4/17)
今週のトルコリラ円相場は、週初16.17円で寄り付いた後、早々に高値16.19円まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、@トルコ国内における新型コロナウィルスの感染者数急増や、A上記@を受けた投資家心理の悪化(トルコ経済の下押し懸念)、Bトルコのソイル内相が「新型肺炎の対応を巡って辞任する」との一部報道、Cトルコ・2月経常収支の赤字幅拡大(結果▲12.3億ドル、予想▲9.9億ドル)、D週末(18日から19日)に実施予定の都市封鎖(ロックダウン)が重石となり、週後半にかけて、約1年8ヶ月ぶり安値となる15.44円(2018年8月に発生したトルコ危機以来)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局、15.46円での越週となっております。
来週の見通し(4/20−4/24)
トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、今週後半(4/16)にかけて、約1年8ヶ月ぶり安値となる15.44円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(2018年8月のトルコ危機時に記録した安値15.31円が射程圏内に)。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感(都市封鎖を通じた景気下押し圧力)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア北西部イドリブ県)を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムード(トルコ国内での感染者数急増リスク)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。新型コロナウィルスの感染拡大に端を発した投資家心理の悪化や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げと、インフレ高止まりが背景)を受けたトルコへの投資妙味の減退(資本流出リスク。今週発表された経常収支においても赤字幅が拡大)、同国における感染者数急増リスク(現在は土日だけに限定している都市封鎖が平日にも適用される恐れ)、リスク回避を通じたトリプル安(株安・通貨安・債券安)の流れは続くと見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は4/22に予定されているトルコ・4月消費者信頼感指数や、トルコ中銀の政策金利発表(市場予想は50bpの追加利下げ)、4/24のトルコ・4月設備稼働率に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):15.20ー15.90
トルコリラ円日足
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