ユーロ週報「ユーロドルは横ばいの動きへ」(4月第2週)

先週のユーロは、全般的なドル安地合いの中で週初から上下しながらもユーロ高の地合いとなっていましたが、上昇の勢いにはかなり濃淡がありました。

ユーロ週報「ユーロドルは横ばいの動きへ」(4月第2週)

ユーロドルは横ばいの動きへ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、全般的なドル安地合いの中で週初から上下しながらもユーロ高の地合いとなっていましたが、上昇の勢いにはかなり濃淡がありユーロ高の動きが目立ったのは火曜と木曜、それ以外の日はほぼ横ばいの動きとなっていました。先週の概況にある通りですが、火曜はストップも含めたテクニカルな買い、木曜はFRBによるジャンク債購入に反応したドル売りの動きでした。

また先々週は感染者増大の影響からユーロの下げが大きかった動きに対して、先週はその買い戻しが出ていた面も大きいのですが、ここからユーロが素直に上昇するかとなると、そこまで楽観的になれない面もあります。現在、感染者数は米国が圧倒的に多く約53万人ですが、欧州でも感染者が多い上位4か国(スペイン、イタリア、ドイツ、フランス)を合わせるとこちらも約53万人で米国を上回っています。

米国では感染者拡大による人と物の移動制限から多くの業種が苦境に陥っていますが、単純に感染者数から考えると欧州の方が更に多く、コロナウイルス発生前の経済状況を考えても欧州は米国以上に悪影響が出るであろうということも間違いないところです。そうなると株式市場では米国株以上に欧州株は弱く、為替市場ではドルも弱いがユーロも弱いという状況は今後も続きやすいと考えられます。

今週は本日までイースター休暇で欧州市場が休場となり、また経済指標はイベントも今週は非常に少なく、材料面では目立ったものがありません。為替に関してはドルの動き(週報に書いた通りでドル安地合いを想定)に、欧州の弱さが重なってきて基本的にはここ2週間のユーロ安からユーロ高地合いに転じた動きが横ばいのもみあいになりやすい週という見方をしてよさそうです。

ユーロドルは横ばいの動きへ

ファンダメンタルでは上記の通りで中立なイメージなのですが、テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートを見てみましょう。

中期的なレンジは3月に上下とも見てしまった感が強いのですが、短期的には3月27日高値1.1147と4月6日安値1.0768の間での動きを考えることとなります。この間の前半(先々週)の下げに対して先週の高値は1.0953と半値戻しの1.0958とほぼ一致しています。ここからドル安の流れがある場合には、61.8%戻しが1.1002と1.10の大台と重なりますので、上方向のターゲットについては大台でいいでしょう。

いっぽう下方向は4月安値がひとつの目途となりますが、ここに来て動きも落ち着いてきていることを考えると1.08水準では下げ止まりやすいと考えてよさそうです。今週は1.0810レベルをサポートに1.1010レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週のコラム

先週は欧州における新型コロナウイルスの感染者数上位4か国とDAXの動きを取り上げましたが、欧州ではドイツを除いて死者数の割合が多い状態です。昨日時点の主要国の感染者数と死者数を比較すると以下のようになっています。

ユーロドルは横ばいの動きへ 2枚目の画像

(数字は厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について」から)

米国の致死率は、既に終息に近い中国と同程度ですからこの割合が基準になりそうですが、欧州ではドイツを除いて軒並み10%を超えています。おそらくドイツは日本と同様に医療崩壊を招いていないということなのだと思いますが、こうした数字にも欧州内の格差が表れているような気がしてなりません。

おそらく5月にはある程度感染者数も収まってくると思うのですが、その先の回復ということを考えた場合、ドイツ以外のユーロ圏は困難な道のりが待ち受けているように思えてきます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

4月13日(月)
**:** 欧州市場休場(イースター)

4月14日(火)
(特になし)

4月15日(水)
15:45 フランス3月CPI

4月16日(木)
08:01 英国3月小売売上高
15:00 ドイツ3月CPI・PPI
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
**:** G20(〜17日)

4月17日(金)
18:00 ユーロ圏3月CPI
18:00 ユーロ圏2月建設支出

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月6日(月)
ユーロドルは東京市場では動意薄となっていましたが、欧州市場に入る頃にドル円でのドル高の動きに沿ってユーロドルも水準を切り下げました。その後も上値の重たい流れが続きNY前場には1.0768レベルと前日安値をわずかに下回った後、引けにかけては若干戻して引けました。

4月7日(火)
ユーロドルは東京市場前場こそドル円に足並みを揃えてのドル買いとなりましたが、欧州市場序盤からは欧州株も強い動きとなったこと、前日高値を上抜けてからテクニカルな買いも加わったことからユーロドルはユーロ高の動きとなりました。その後ストップも巻き込みながらNY前場には1.0926レベルまで上伸後、引けにかけては利食いも入ってもみあいのまま引けました。

4月8日(水)
ユーロドルは東京市場ではドル買いから上値の重たい動きとなっていましたが、欧州市場に入りコロナ対策に関してユーロ圏の財務省会合で合意が得られなかったとのニュースから売りが強まりました。しかし、直後にはイースター休暇前に決まるとの話も出て買い戻しが入り、その後は引けまでもみあいの状態が続いてのクローズとなりました。

4月9日(木)
ユーロドルはNY市場までは動かず、NY市場にはいりFRBによるジャンク債購入のニュースから資金市場の一段の需給緩和思惑からドル売りの動きとなりました。ユーロドルは1.0952レベルの高値をつけやや押してのひけとなりましたが、欧州勢がイースターで金曜から4連休となることもあり、基本的には動きにくい地合いとなっていました。

4月10日(金)
ユーロドルは終日ほとんど動きが見られず、東京前場にわずかに水準を上げて以降は、狭いレンジの中で動意のないまま引けました。コロナウイルスによる荒れ相場も最近では落ち着いてきましたが、一日のレンジが33pipsに留まり2月19日以来の静かな一日となりました。

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