トルコリラ円見通し 3月25日からの下げ一服で16円割れから戻す(20/4/3)

目先は戻り高値を試しつつも戻り一巡からの下落再開にも注意が要るところと思われる。

トルコリラ円見通し 3月25日からの下げ一服で16円割れから戻す(20/4/3)

【概況】

トルコリラ円はドル円のV字反騰が一巡して再び円高へ転じたことと、対ドルでのリラ安が再燃したことで3月25日高値17.44円から下落に転じてきた。3月31日朝安値16.31円の後はやや下げ渋ったが3月31日深夜からは円高と対ドルでのリラ安が加速したために一段安となり、4月2日早朝には15.89円まで安値を切り下げた。
その後はドル円の下げが一服したこと、ドル/トルコリラが連騰一服で反落したために4月2日深夜に16.20円台へ上昇、やや乱高下しつつ4月3日午前も戻り高値を若干切り上げている。
3月25日からの下落においては3月26日夜への反発時や3月31日夜への反発時の戻り幅を超えて最大となっているため、6日間続いた下落が一服してやや買い戻し優勢の展開となっている印象だ。しかし4月3日には米雇用統計の発表もあり、世界及び米国、日本、トルコの感染拡大状況を踏まえると週を跨いでリスクを持ち越したくないという市場心理も働きやすいため、目先は戻り高値を試しつつも戻り一巡からの下落再開にも注意が要るところと思われる。

【ドル円の下落一服と対ドルでのリラ安一服】

ドル円は3月31日深夜からの反落で4月2日未明には106.91円まで安値を切り下げた。このため4月2日午前時点では3月25日未明高値からの下落が二段下げ型となってさらにドル安円高が進みやすい状況となっていたが、4月2日夜は新たな安値更新を回避して深夜には108円台まで戻している。3月9日からのV字反騰に対する半値押しが106.47円であり、現状は半値押し手前で下げ一服となっている印象だが、金融市場全般の動揺が続いているので方向性は定まらない状況であり、トルコリラ円にとっては4月2日未明安値を割り込む円高が発生する場合は大きな売り圧力となりかねないと注意する。

ドル/トルコリラは3月23日深夜高値6.6185リラから反落していたが、ドル高のぶり返しで3月27日から31日までは3連騰のドル高リラ安となり、3月31日高値では6.625リラをつけて3月23日高値を上抜いた。4月1日高値で6.7140リラ、4月2日も日中高値で6.7165リラまで高値を更新したが、連騰後の反動安で6.5902リラへ反落してドル高リラ安一服となっている。しかし新興国通貨安とドル高基調は暫く継続しやすい状況のままとすれば、連騰後の反落場面は押し目買いされて再びドル高リラ安へと進みかねない状況と思われる。円高と対ドルでのリラ安が重なるとトルコリラ円の下落も厳しくなりかねないと警戒する。

4月2日のイスタンブール100株価指数は前日比0.48%高と上昇したが、4月1日の前日比0.62%安を解消できない程度にとどまった。1月22日天井からの暴落的な下げは3月17日安値からの反発で落ち着いているが、3月27日の戻り高値以降は新たな高値更新へ進めずに上値の重い印象だ。世界連鎖株安が一服していることでトルコ株式市場もやや落ち着いた程度に過ぎないのではないかと思われ、感染拡大と長期不況への懸念が一段と強まると下落再開から一段安へと走りかねない状況と警戒する。

【トルコの感染拡大は3日連続で2千人を超える】

4月3日朝時点の新型コロナウイルスの感染者は世界全体で100万人を超えて死者も5万人を超えた。米国の感染者数は24万人を超え死者は6070人に急増している。欧州の被害もさらに拡大中でスペインとイタリアは感染者が10万人を超えて死者も1万人以上となっている。
トルコは4月3日朝時点で感染者18135人(前日比2456人増)、死者356人(同79人増)となっているが、3月31日から新規感染者は日々2千人を超えている。

トルコ保健省によれば4月2日に1万8757人が検査を受け、2456人に陽性反応が出たという。検査数は4月1日から4千件増えたという。4月2日には82人が回復し、回復者の累計は415人になった。また直近の24時間で死亡した人の82パーセントが60歳を超えていたという。
トルコのターキッシュ・エアラインズは、全国際線運航停止措置を5月1日まで延長すると発表した。
トルコ国内での医療崩壊やパニック。暴動等の報道は今のところ見られず、高い医療水準と治安維持体制が効果を上げていると思われるが、欧米同様に感染拡大ペースが一段と進むと医療崩壊やパニックも発生しかねないだろう。
感染爆発状況のなかでシリア情勢等は落ち着いている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月25日夕刻高値からの下落が続いてきたが、3月31日午前安値から31日夜高値へいったん戻してから底割れしたために、4月1日午前時点では3月31日午前安値を直近のサイクルボトム、31日夜高値を同サイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は4月3日朝から7日午前にかけての間と想定した。4月2日早朝へ一段安していたため、2日午前時点では引き続きボトム形成中としたが、その後は新たな安値更新を回避して深夜に16.20円超えまで反騰したため、4月2日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は4月3日夜から7日夜にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるので16.05円割れを弱気転換注意、2日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の底形成期となる4月7日朝から9日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月2日深夜の反騰で遅行スパンが好転し、3日午前の続伸で先行スパンから上抜けてきた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、再び先行スパンから転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月2日未明に20ポイント割れまで低下したがその後は切り返して2日深夜の上昇で50ポイントを超えてきた。50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、16.05円、次いで4月2日朝安値15.89円を下値支持線、16.40円を上値抵抗線とする。
(2)16.10円を上回るか一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとして16.40円台前半を試すとみる。16.40円以上は反落注意とするが、16.10円以上で週を終える場合は週明けも高値試しを続けやすいとみる。週明け朝へ続伸の場合は16.60円前後まで上値目処を引き上げる。
(3)16.05円割れからは下げ再開を警戒して4月2日朝安値15.89円試しを想定する。底割れ回避で16.10円を超える場合は上昇再開とするが、底割れからは15.60円前後を目指す下落期入りと考える。また16円以下で週を終える場合は週明けも安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月03日
16:00 3月消費者物価指数 前年比 (2月 12.37%)
16:30 3月消費者物価指数 前月比 (2月 0.35%)
16:00 3月生産者物価指数 前年比 (2月 9.26%)
4月10日
16:00 1月失業率 (12月 13.7%)
4月13日
16:00 2月経常収支 (1月 −18.0億ドル)
16:00 2月鉱工業生産 前年比 (1月 7.9%)
16:00 2月小売売上高 前年比 (1月 9.6%)
16:00 2月小売売上高 前月比 (1月 -0.8%

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