トルコリラ円見通し ドル高リラ安と円高、2018年8月の通貨危機安値へ徐々に迫る(20/4/2)

トルコリラ円の15円台というのは2018年にトルコ通貨危機が発生した時の同年8月安値15.52円以来である。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安と円高、2018年8月の通貨危機安値へ徐々に迫る(20/4/2)

【概況】

トルコリラ円は3月9日安値16.26円から3月25日夕高値17.44円まで戻していたが、ドル円のV字反騰が一巡して再び円高へ転じたことと、対ドルでのリラ安再燃したことの両面か売られている。3月31日朝安値16.31円の後は下げ一服で3月31日夜高値16.54円まで戻したが、31日深夜からは円高と対ドルでのリラ安が加速したために31日午前安値を割り込んで一段安に入り、4月1日夜も続落して4月2日早朝には15.89円まで安値を切り下げている。
トルコリラ円の15円台というのは2018年にトルコ通貨危機が発生した時の同年8月安値15.52円以来である。

【ドル高リラ安が一段と加速】

ドル円は3月30日午前安値107.13円の後は下げ一服となり31日夜には108.72円まで戻していたが、31日深夜の反落で30日午前安値に迫り、4月1日夜には30日午前安値を割り込み、4月2日未明には106.91円まで安値を切り下げた。このため3月25日未明高値からの下落は30日午前までを一段目とし、31日夜高値からはニ段目に下げに入ったため、先安観=円高の加速が警戒されるところだ。

ドル/トルコリラは3月23日深夜に6.6185リラの高値を付けた後はドル買い一巡でいったん反落していたが、ドル資金需給のひっ迫感と新興国通貨売りの流れは継続し、3月27日から31日までは3連騰のドル高リラ安となり、3月31日高値では6.625リラをつけて3月23日高値を上抜いた。4月1日は6.7112リラまで高値を更新し、前日比は1.41%高となった。ここ4日間の上昇角度は3月23日高値への上昇時を超えるような勢いとなっており、ドル買いリラ安が加速している印象だ。
2018年8月の新興国通貨危機でつけた高値は7.2393リラで、当日の終値は6.8834リラだった。また同年8月の月間足としての終値は6.5380リラであり、今年3月の月末値6.6143リラですでに上抜いている。通貨危機に匹敵するようなドル高リラ安が進行していると認識しておく必要がある。

4月1日のイスタンブール100株価指数は前日比0.62%安と下落した。3月31日は1.80%高と反発していたが再び失速している。昨晩はNYダウが前日比973.65ドル安と下げており、欧州株もほぼ全面安だった。米国の感染拡大と経済活動停止が日々深刻化している中では主要国中銀の金融緩和や財政出動では株高へと基調転換することは難しく、新興国への感染拡大の影響も強まる中では世界連鎖株安と同調した新興国株安によりトルコ株式市場も大きく崩れかねないと懸念するところだ。

【トルコの感染者は1万5千人を超える】

4月2日朝時点の新型コロナウイルスの感染者は世界全体で93万人を超えて死者も4万7194人に増えた。米国の感染者数は20万人を超え、欧州の被害もさらに拡大中だ。
トルコは3月11日に国内初の感染者が確認され、3月後半から感染者が急増し始めたが、3月27日朝時点では感染者3629人死者75人だったところ、4月2日朝時点では感染者15679人死者277人に急増している。
3月30日にイスタンブール医師会が医療崩壊を懸念する報告書を公表したが4月1日時点ではまだ他国への支援を行う余裕も見られる。
エルドアン大統領は3月31日にトランプ米大統領と電話会談した。中身は不明だが感染対策での情報交換と思われる。
トルコ国防省は管轄の軍事工場等で国内生産したマスクや防護服、抗菌性液体等の医療支援物資数千個をアンカラから軍用貨物機でスペインに運んでいると発表した。スペインの後にイタリアへも向かうようだ。
国際通貨基金IMFは81カ国が既にIMFへ支援要請していると発表したが、その中にはトルコは含まれていない。総じてトルコは感染爆発への対処で善戦している状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【概況】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月25日夕刻高値でサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしてきたが、3月31日午前か安値から31日夜高値へいったん戻してから底割れしたために、4月1日午前時点では3月31日午前安値を直近のサイクルボトム、31日夜高値を同サイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は4月3日朝から7日午前にかけての間と想定した。4月2日早朝へ一段安しているため引き続きボトム形成中とみる。
4月2日の戻り抵抗は16.10円前後までとしてその後の反落注意とする。強気転換には16.20円を超えて続伸するような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンから転落した状況が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は遅行スパン好転からとするが、その際は先行スパンの下限が戻り抵抗となりやすいと思われる。

60分足の相対力指数は4月2日未明に20ポイント割れまで低下した。その後はやや戻しているが40ポイントに届かない内は一段安警戒とする。4月2日早朝安値を割り込んで一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が発生すれば強気転換の可能性が出てくると思う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、4月2日早朝安値15.89円を下値支持線、16.10円を上値抵抗線とする。
(2)16.10円を下回る内は一段安警戒とし、2日早朝安値を割り込む場合は15.80円前後、さらに下落が加速する場合は2018年8月の通貨危機安値15.52円に迫るとみる。15.70円以下は反発注意だが16円以下での推移なら3日午前にかけても安値を試しやすいとみる。
(3)16.10円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。16.10円超えから続伸の場合は16.20円前後への上昇とその後の反落を想定する。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月01日
16:00 3月イスタンブール製造業PMI (2月 52.4)
4月03日
16:00 3月消費者物価指数 前年比 (2月 12.37%)
16:30 3月消費者物価指数 前月比 (2月 0.35%)
16:00 3月生産者物価指数 前年比 (2月 9.26%)
4月10日
16:00 1月失業率 (12月 13.7%)
4月13日
16:00 2月経常収支 (1月 −18.0億ドル)
16:00 2月鉱工業生産 前年比 (1月 7.9%)
16:00 2月小売売上高 前年比 (1月 9.6%)
16:00 2月小売売上高 前月比 (1月 -0.8%

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