ドル円見通し 3月25日未明高値からの下落は二段下げに発展(20/4/2)

ドル円は3月30日午前に107.13円まで下落した後は31日夜高値108.72円までいったん戻したが、31日深夜からの下落で30日午前安値へ迫った。

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ドル円見通し 3月25日未明高値からの下落は二段下げに発展(20/4/2)

ドル円見通し 3月25日未明高値からの下落は二段下げに発展(4/2)

【概況】

ドル円は3月30日午前に107.13円まで下落した後は31日夜高値108.72円までいったん戻したが、31日深夜からの下落で30日午前安値へ迫った。さらに4月1日夜には30日午前安値を割り込み、4月2日未明には106.91円まで安値を切り下げた。4月2日朝は107円台へ戻しているものの、3月25日未明高値からの下落は3月30日午前までを一段目とし、3月31日夜高値から二段目の下落に入ったという印象だ。
新型コロナウイルスの感染爆発に対するリスク回避で2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円まで10.98円の円高ドル安となった。3月9日からは手元流動性確保でのドル買いが進んでドル資金需給逼迫によりドル全面高となり、ドル円でも円安圧力よりもドル高圧力が勝ってV字反騰となり、3月24日(25日未明)高値までの上昇幅は10.48円となり、全値戻しに近いところまで上昇した。しかし2月20日高値を超えられず、G7によるドル資金供給協調や各国の金融緩和及び財政出動等によりドル買いが一服したために今度は揺れ返しの円高となっている。

新型コロナウイルス感染拡大に対する収束感は見えず、3月の経済指標の悪化が顕著となる中で4月1日のNYダウは前日比973.65ドル安と下落した。3月23日から27日まで戻していたが暴落一服のリバウンドに過ぎず、戻り一巡から下げ再開に入ってきている印象だ。株安感が強まる中で債券買いから米10年債利回りは低下し、リスク回避のドル買いも再燃してドル指数は上昇したが、ドルストレートでのドル高よりもクロス円での円高が勝ってドル円は安値を更新したという事だろう。

【米経済指標悪化目立つ】

WHOのテドロス事務局長は「過去5週間で新規感染者は飛躍的に増加した。死者数もこの1週間で倍増超となった」「今後数日で世界の感染者が計100万人、死者は計5万人に達する見込みだ」と述べて感染拡大がさらに続くと警告した。米国の感染者数は20万人を突破して死者も5099人へ増加した。トランプ米大統領は「地獄の2週間になるかもしれない」と危機感を表明したがNYの医療崩壊的な危機も報じられている。欧州での拡大も続き、中南米、東南アジア、中近東、アフリカと全世界的な拡大が止まらない。日本の感染者数も2000人を超えているが、東京及び全国の新規感染者数が前週のレベルを超えて爆発前夜となり、東京市場におけるリスク回避感及びポジション縮小への圧力も日々増している印象だ。

米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した3月の全米雇用報告では非農業部門民間就業者数は前月比2万7000人減となった。市場予想の15万人減は上回ったものの前月比でマイナスとなるのは2017年9月以来である。また今回の調査は外出規制や経済活動動自粛要請が本格化する前の3月12日までのデータによるものであり、その後の2千人の感染爆発の影響を十分に反映していないものだとADPはコメントしている。
米サプライ管理協会(ISM)が発表した3月の米製造業景況指数は49.1となり前月の50.1から低下した。市場予想の45.0を上回ったが、この統計も感染爆発が一段と深刻化した3月末の状況を反映していないとされる。今後発表されてくる4月統計ではさらに悪化が見込まれる。
4月3日に発表される米労働省雇用統計では、非農業部門民間雇用者数については10万人減少と予想されているが、2月統計では27.3万人増加したところからの減少であり、実質40万人近い雇用喪失という状況だ。

【半値押しに迫る】

3月9日から3月24日への上昇幅は10.48円だが、その3分の1押しが108.22円ですでに割り込んでおり、半値押しの106.47円に迫った状況にある。今のところは半値押し手前で踏みとどまっているので、3月9日からの反騰時のようにドル全面高が再燃すれば半値押し手前からの切り返しで上昇再開となる可能性は残っているだろう。しかしドル高が進んでも円高が勝る場合は半値押しラインを割り込んで3分の2押しの104.72円前後まで目先の下値目処が切り下がり、さらにV字反騰に対する揺れ返しで3月9日安値に再び迫る可能性も出てくるかもしれない。
情勢は流動的であり、株安でリスク回避なら円高という単純な図式では方向性を見極められない状況にある。3月24日からの下落幅に対する半値戻し以上へ切り返せばもう一度高値試しへ、3月9日からの上昇幅の半値押しを割り込んで続落の場合は急落型の下落がさらに続く可能性が高まると切り分けて考えたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月20日からのウェッジ型三角持合いからの転落により弱気サイクル入りしてきたが、30日午前安値で107円割れを回避して持ち直したため、31日午前時点では30日午前安値を直近のサイクルボトムとした。またトップ形成期は3月25日深夜高値を基準として30日夜から4月1日深夜にかけての間とししたが、30日午前安値を割り込むところからは底割れによる弱気サイクル入りとした。
3月31日夜の反落で底割れへの余裕が乏しくなったため、1日朝時点では底割れを条件として31日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして4月2日午前から6日午前にかけての間への下落を想定した。4月1日深夜に30日午前安値を割り込み、その後の反発も鈍いため引き続きボトム形成中とみる。株安動向次第ではさらに急落型となりかねないと注意する。強気転換は31日夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では31日夜の反落で遅行スパンが悪化し、先行スパンから転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。4月2日未明への下落では若干の安値更新に止まったために遅行スパンは好転しやすい位置にあるが、先行スパンを超えない内は一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は3月31日深夜以降は40ポイントを挟んだ横ばい程度の推移となっている。50ポイント台序盤までを戻り抵抗としてまだ一段安余地ありとみて20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面の見通しを示す。
(1)当初、4月2日未明安値106.91円を下値支持線、108.00円を上値抵抗線とする。
(2)108円を下回る内は一段安警戒とし、2日未明安値割れからは106.00円前後への下落を想定する。106円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、株安動向次第では105円台中盤まで目先の下値目処が切り下がる可能性があると注意する。また107.50円以下での推移なら4月3日午前にかけて安値試しを続けやすいとみる。
(3)108円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。108円超えから続伸の場合は31日夜高値試しとするが、強気転換には31日夜高値を上抜く必要があると考える。

【当面の主な発表予定】

4/2(木)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 0.4%、予想 -0.2%)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 -0.5%、予想 -0.7%)
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -453億ドル、予想 -433億ドル、予想 -400億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 前週分 (前週 328.3万件、予想 350万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 前週分 (前週 180.3万人、予想 488.2万人)
23:00 (米) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -0.5%、予想 0.2%)

4/3(金)
09:30 (豪) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.4%)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 26.5、予想 39.5)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI改定値 (2月 34.5、予想 34.3)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI改定値 (2月 28.4、予想 28.2)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI改定値 (2月 35.7、予想 34.8)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.6%、予想 0.1%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 1.7%、予想 1.6%)
21:30 (米) 3月 非農業部門就業者数 前月比 (2月 27.3万人、予想 -10.0万人)
21:30 (米) 3月 失業率 (2月 3.5%、予想 3.8%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前月比 (2月 0.2%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前年同月比 (1月 3.0%)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 39.1、予想 38.5)
22:45 (米) 3月 総合PMI改定値 (速報 40.5)
23:00 (米) 3月ISM非製造業景況指数 (2月 57.3、予想 44.7)

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