ドル円、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて大幅続落。リスク回避ムード再燃
海外時間の為替概況
1日(水)の外国為替市場でドル円は上昇後に急反落。@市場予想を上回る日銀短観や、A良好な中国・財新製造業PMI(結果50.1、予想45.0)を背景に、アジア時間朝方には、一時107.93まで上昇する場面も見られましたが、B日経平均株価が前日比▲851円の急落を見せると、Cリスク回避の円買い(クロス円売り→ドル円連れ安の流れ)や、D米FRB(連邦準備理事会)による金融緩和を背景としたドル売り圧力、Eサウジアラビアが石油生産を日量120万バレル以上に増産するとの一部報道、F欧米株の下落、
G新型コロナウィルスの感染拡大を受けた投資家心理の悪化、H本邦における東京ロックダウン(都市封鎖)懸念の高まり(本邦における先行き不透明感の高まり)が重石となり、米国時間にかけては、一時107.00まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、107.16近辺で推移しております。尚、昨日発表された米経済指標(ADP雇用統計、ISM製造業景況指数など)は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は殆ど見られませんでした。
昨日のユーロドル相場は終始軟調な展開。@欧州圏(特にスペインやフランス)における新型コロナウィルスの感染拡大(対ユーロでの円買い・ドル買い)や、AECBによる追加緩和観測の高まり、B欧州株(特にドイツDAX)の急落、Cドイツ政府によるロックダウン(都市封鎖)を今月19日まで延長するとの発表が重石となり、米国時間には、一時1.0903まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.0945近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。しかし、資産現金化需要に伴うドル高や、米大型経済対策を背景としたリスク選好ムードに下支えされると、3/24には一時111.72まで反発する場面も見られました(僅か1ヶ月で10円下がって・10円戻す壮大な往って来い相場)。もっとも、足元では再び107円丁度近辺まで反落するなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(一目均衡表雲下限や転換線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドの下方ブレイクを実現)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、無制限量的緩和を決定した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化、H東京ロックダウン懸念の高まり(本邦における先行き不透明感)など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「続落リスク」が警戒されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)、米経済指標の大幅悪化(ドル売り要因)、本邦における先行き不透明感の高まり(円高要因)が重石になると見られ、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン(日米欧に加えて新興国での感染拡大懸念)や、原油価格の動向(サウジアラビアによる増産報道)、米国経済指標の結果(特に日本時間21:30に予定されている新規失業保険申請件数)、東京ロックダウン(都市封鎖)を巡る続報、世界的な株価の動向を睨みながらも、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(リスク回避ムード→クロス円売り→ドル円売りの波及経路に要注意)。
本日の予想レンジ:106.00ー108.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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