新興国ショックと実質金利のマイナス幅拡大でリラ安基調継続か
今週のレビュー(3/16−3/20)
今週のトルコリラ円相場は、新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムード(株安・債券安・新興国通貨安のトリプル安)や、米FRBによる100bpの緊急利下げを受けたドル安・円高を背景に、週明け早々に、約1年6ヵ月ぶり安値となる16.40円まで急落しました。しかし、トランプ米政権による相次ぐ景気対策を背景にドル円が急伸すると(3/16安値105.14→3/20高値111.50)、連れてトルコリラ円も反発し、週後半にかけては、一時17.02円まで値を戻す場面も見られました。もっとも、心理的節目17.00円付近では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、16.96円付近で推移しております。一方、対ドル相場は週を通して値を崩し、週後半にかけて、約1年6ヵ月ぶり安値となる6.565までリラ安が進みました。尚、トルコ中銀(TCMB)は3/17に緊急会合を開催し(当初予定の3/19から前倒し)、7会合連続となる追加利下げ(10.75%→9.75%)に踏み切っております。
来週の見通し(3/23−3/27)
トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、今週初には、約1年6ヶ月ぶり安値となる16.40円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(週末にかけて持ち直すも一目均衡表転換線付近がレジスタンスに)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア北西部イドリブ県)を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムードなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。トルコ中銀(TCMB)による7会合連続利下げ(※直近7会合で計14.25%の利下げ幅)を受けて実質金利(名目金利-インフレ率)のマイナス幅拡大(投資妙味の減退を通じた「トルコ離れ」)が重石となっている他、新型コロナウィルスの感染拡大を通じた新興国ショック(株安・新興国通貨安・債券安のトリプル安)の流れも続くと見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):16.30ー17.20
トルコリラ円日足
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