トルコリラ週報:『新興国ショックと実質金利のマイナス幅拡大でリラ安基調継続か』(3/21朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。

トルコリラ週報:『新興国ショックと実質金利のマイナス幅拡大でリラ安基調継続か』(3/21朝)

新興国ショックと実質金利のマイナス幅拡大でリラ安基調継続か

今週のレビュー(3/16−3/20)

今週のトルコリラ円相場は、新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムード(株安・債券安・新興国通貨安のトリプル安)や、米FRBによる100bpの緊急利下げを受けたドル安・円高を背景に、週明け早々に、約1年6ヵ月ぶり安値となる16.40円まで急落しました。しかし、トランプ米政権による相次ぐ景気対策を背景にドル円が急伸すると(3/16安値105.14→3/20高値111.50)、連れてトルコリラ円も反発し、週後半にかけては、一時17.02円まで値を戻す場面も見られました。もっとも、心理的節目17.00円付近では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、16.96円付近で推移しております。一方、対ドル相場は週を通して値を崩し、週後半にかけて、約1年6ヵ月ぶり安値となる6.565までリラ安が進みました。尚、トルコ中銀(TCMB)は3/17に緊急会合を開催し(当初予定の3/19から前倒し)、7会合連続となる追加利下げ(10.75%→9.75%)に踏み切っております。

来週の見通し(3/23−3/27)

トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、今週初には、約1年6ヶ月ぶり安値となる16.40円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(週末にかけて持ち直すも一目均衡表転換線付近がレジスタンスに)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア北西部イドリブ県)を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムードなど、不安材料は山積みです。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。トルコ中銀(TCMB)による7会合連続利下げ(※直近7会合で計14.25%の利下げ幅)を受けて実質金利(名目金利-インフレ率)のマイナス幅拡大(投資妙味の減退を通じた「トルコ離れ」)が重石となっている他、新型コロナウィルスの感染拡大を通じた新興国ショック(株安・新興国通貨安・債券安のトリプル安)の流れも続くと見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(TRYJPY):16.30ー17.20

新興国ショックと実質金利のマイナス幅拡大でリラ安基調継続か

トルコリラ円日足

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る