欧州中央銀行(ECB)政策金利結果
欧州中央銀行政策金利に関する決定事項は、現行の政策金利は据え置きを決定 (市場の予想通り)、一部で債券購入を拡大、主要金利0.0%、限界貸付金利0.25%、及び中銀への預金金利▼0.5%を全て据え置くことで決定。(市場の予想通り)2020年末まで一時的に資産購入1200億ユーロの追加。従来のプログラム(APP)は継続。そしてこれまでの債券は満期が来たときには再投資し、APPのもとでECBの主要金利上げが始まるまで期間を延長する。
尚、以下はご参考までに、ラガルド総裁記者会見要旨の一部です。内容的にはコロナウィルスによる不確実性拡大で経済は下方リスクが高いと指摘しています。
(ラガルド総裁記者会見要旨)
・前回の1月末会合以降、コロナウィルスの拡散が世界やユーロ圏の経済成長見通しに大きなショックを与え、ボラティリティを上昇させた。
・例え一時的せよ、経済活動に著しいインパクトを与えている。とりわけ、サプライチェーンの分断により生産活動の低下をきたし、国内外の需要低下をもたらすだろう。加えて、不確実性が投資計画や資金繰りにマイナスとなっている。
・理事会はユーロ圏のコロナウィルス拡散による影響に対応して、(世界と)協調し共同政策行動を行うとのコミットメントを支持する。
・我々の使命に沿って、理事会は現状の経済的混乱や高まる不確実性に直面している家計や企業を支えることを決定した。それに沿って、金融政策の包括的パッケージを決定した。現行の金融政策手段に加え、家計・企業への流動性や借入状況を支えることとし、中銀は実体経済へのスムーズな信用供与を与えることで手助けしていくことである。
・第1は、一時的かつ追加的に長期の流動性を高めることを決定した。
・第2に、理事会は、すべてのTLTRO IIIオペレーションに2020年6月から2021年6月までの期間の間により良好な条件を適用することを決定した。
・第3に、追加債券購入1200億ユーロを2020年末まで行うことを決定した。
・加えて、主要なECB金利は据え置きを決定した。また、満期が到来した債券の再投資を継続する意向である。
・最近のデータは弱く、コロナウィルスの拡散によりユーロ圏の経済の見通しは悪化の方向となりそうだが、この経済査定はECBスタッフによる3月のユーロ圏経済見通しに一部反映されている。これらの見通しでは2020年の実質GDPは0.8%、2021年には同1.3%、2022年に1.4%まで上昇すると見ている。ただこれらのベースとなったデータは最近急拡散したコロナウィルスの影響前のものである。
・ユーロ圏を取り巻くリスクは明らかに下方である。これまでの地政学リスク、新興国の保護主義や脆弱性の高まりに加えて新たにコロナウィルスの拡散がある。
・ユーロスタットの速報値によれば、HICPは1月の1.4%から2月には1.2%に下がった。これは原油価格の急下落によるものである。現下のインフレも今後下がっていきそうだ。3月のECBスタッフ見通しでは、HICPは20202年に1.1%、2021年に1.4%、2022年に1.6%である。コロナウィルスの影響で下方圧力が掛かっている。
(通貨供給や質疑応答は略)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
出所:ECB HPから
ユーロドルの相場は、ユーロが大きく下落しました。通常ならECBの金利据え置きは米欧の金利差縮小からユーロ買いですが、協調利下げ行動がなかった事で、欧州株安の連想にユーロ売り材料となりました。
下図は昨日のECB金融政策前と同じ週足のチャートです。D(1.0790)〜C(1.15)の3角保合いはそのままです。この中で、1.1160にあるラインAは昨日のザラ場で下抜けましたが、終値では回復しています。このラインAに絡む線が、昨年10月初底値からのラインF(1.1170)もあり、この両者がユーロを下支えしています。従い目先はユーロ安トレンドながらも、A(1.1160)〜C(1.15)のレンジで推移しています。もし今日の終値が1.1150未満で終わった場合には、ラインEの1.1020〜30がサポートしています。ここはここ2週間のダブルボトム1.1036〜56も支えているので、このサポートラインのトライが来週起こりそうです。逆にラインAを維持できれば上記レンジで戻り高狙いが継続します。相場は乱高下していますが、既にラインAを上抜けたことで、ユーロ高にやや歩があります。
(3月13日13:25、1ユーロ=1.1206ドル、=117円77銭)
オーダー/ポジション状況
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