『TCMBは6会合連続利下げ。実質マイナス金利と地政学的リスクが重石』
今週のレビュー(2/17−2/21)
今週のトルコリラ円相場は、週初18.14円で寄り付いた後、@新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したリスク回避ムードや、Aシリアを巡る地政学的リスクの高まり(ロシア・トルコ協議にて、「トルコがロシアのシリア・イドリブに関する提案を拒否した」との一部報道)が重石となり、翌2/18に、約1ヶ月半ぶり安値18.06円まで下落しました。しかし、ボリンジャーバンド下限や、心理的節目18.00円を前に下げ渋ると、B対主要通貨で円売りが加速したこと(※ドル円は2/18安値109.66から2/20に112.21まで急伸)や、Cロシア・トルコ協議が難航しつつも前進に向けて継続していることなどが支援材料となり、週後半にかけては、高値18.43円(※1/24以来、約1ヶ月ぶり高値)まで反発しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、18.29円近辺で推移しております。
尚、トルコ中銀は2/19、予想通り政策金利を50bp引き下げることを決定しました(11.25%→10.75%)。利下げは6会合連続。但し、昨年7月の緩和サイクル開始以降で利下げ幅が最も小幅だったことから、市場では「緩和サイクル終了→利下げ打ち止め」と受け止められ、直後はややトルコリラが買い戻される展開となりました。
来週の見通し(2/24−2/28)
トルコリラの対円相場は、2/18に記録した約1ヶ月半ぶり安値18.06円をボトムに反発に転じると、週後半にかけて、約1ヶ月ぶり高値18.43円まで反発しました。この間、一目均衡表転換線や、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的に見て、やや下値の堅さが意識されるチャート形状となっております(心理的節目18.00円をバックに押し目買い圧力が根強い)。
但し、ファンダメンルズ的に見ると、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを通じた実質金利のマイナス転(※政策金利の引き下げとインフレ率の上昇を受けてトルコの実質金利は大きくマイナス転)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア・イドリブ)を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムードなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。トルコ中銀による6会合連続利下げ(※直近6会合で計13.25%もの利下げ幅)を受けて、実質金利(名目金利?インフレ率)は既にマイナスに転じており、機関投資家による投資妙味の減退を受けた「トルコ離れ(トルコSell)」が警戒されます。また、今週のトルコリラ円の反発はドル円におけるショートカバーが引き金だったこともあり、持続性には疑問が残ります(ロスカットの流れは既に一服)。トルコ経済指標(貿易収支やGDP)や、新型コロナウィルスに絡む続報、シリアを巡るヘッドラインを睨みながらも、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(ドル円が反落に転じれば、トルコリラ円も連れ安となり、昨年8月以来となる安値17.88円を試すシナリオも想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):18.00ー18.50
トルコリラ円日足
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