ユーロ週報「上下とも動きにくいものの下値余地が大きそう」(2月第1週)

ユーロドルにおいても最大の注目材料は新型コロナウイルスとなり、リスクオフでユーロ円の下げかと思いきやドル売りとなったことでユーロドルは上昇しました。

ユーロ週報「上下とも動きにくいものの下値余地が大きそう」(2月第1週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、金曜NY市場まではほとんど動きが見られず、週前半は1.10台前半を緩やかに下落、その後金曜NYまでは緩やかに買い戻されと、そこまでの値幅は1.0992〜1.1040とわずか48pipsのレンジでまったく方向感が見られない流れが続きました。そして金曜のNY市場ではダウの大幅安がドル売りの動きとなったことでユーロドルはそれまでのレンジを上抜け1.1096レベルまで上昇することとなりました。

先週はイベント的には英中銀のMPCで利下げに賛成する委員が増えるかどうか、また1月末に英国がEUから離脱する動きに関して英国あるいはEUから材料となるコメントが見られるかどうかといったところが欧州の材料となっていましたが、英中銀は前回から変わらず、また英国の離脱も週末前には特に発言も見られずということから、ユーロドルにおいても最大の注目材料は新型コロナウイルスとなり、リスクオフでユーロ円の下げかと思いきや金曜の大きな動きはドル売りとなったことでユーロドルは上昇しました。

今後も当面は感染拡大懸念が株式市場の上値を抑えやすいのですが、円買いの動きに追随するのか、ドル売りの動きに追随するのかは実際に見てみないと何とも言えない状況となっています。しかし、1月末ということからユーロには実需のユーロ買いが入ったとも言われていますので、そうした要因が無ければユーロ円の動きには改めて注意ということになりそうです。

今週のイベントとしては、欧州各国のPMI改定値、ECB総裁と副総裁の講演がありますが、PMI改定値は揃って同方向に大幅改定でも無ければ動きにくいですし、ECBも現時点では昨年秋の緩和策を見守る段階でサプライズは無さそうです。ひとつ気になるのは週末に出たジョンソン英首相の発言です。いよいよ本日から英国とEUの間で様々な交渉が始まりますが、それに先立ち望む内容を得られなければ交渉を打ち切ると表明すると述べました。

週明けのポンドはこの発言を受けて売りが先行しています。これまで同様に強気の対応で少しでもEU側から有利な条件を引き出そうという作戦であることは明白ですが、移行期間を延長せず、交渉も難航ということになると結果として合意無き離脱と変わらなくなるという懸念が改めて持ち上がる可能性があります。これは本日だけでなく、移行期間の協議中に繰り返される懸念であると思います。

そして、ポンド売りの動きが出やすくなれば当然ユーロの上値を抑える要因となりますので、リスクオフのユーロ円売りとも併せて、材料的には戻り売りが出やすいという見方をしています。

テクニカルな観点から日足チャートを見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロは、12月末の高値からの下降トレンドを継続していますが、先々週にサポートライン(ピンク)を下抜けたことで一段と下値を試しやすい地合いでした。しかし、金曜に大きく買い戻されたことで、昨年末からの下げに対してどのような状況となるのかを見ると、12月末高値からのレジスタンスにはわずかに届かない水準であると同時に、抜けたサポートもレジスタンスとなってきそうです。

つまり、金曜高値を更に上値追いするような動きは現状では難しいのではないかという見方が出来ます。しかし、下値も1.10の大台以下ではまだまだユーロ買いオーダーもある様子で下値も限定的な動きとなりそうで、11月のような大台割れは買いといった感じになりそうな印象です。また値幅的にも依然として大きな動きは期待しにくいため、今週は1.1010レベルをサポートに1.1110レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足チャートをご覧ください。

今週のコラム

先週と同じラインを残してありますが、1月後半の下げに比べて先週は驚くほど狭い値幅での取引となりました。昨年9月安値と1月高値の38.2%押し120.20水準から動けないでいる状況です。大台120円というのも心理的にサポートしていることはありそうです。

しかし、新型コロナウイルスの影響はまだまだ続くと見ていますし、株安がドル円だけでなくユーロ円でも下げに繋がる傾向があらためて出てくる可能性を考えると、ピンクの太線で示した水準(来週になると半値押しの119.37と重なる)を時間的には来週末あたりまでに試しに行くという見方を示しておきます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月3日(月)
17:50 フランス1月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ1月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI改定値
18:15 デギンドスECB副総裁講演
18:30 英国1月製造業PMI改定値


2月4日(火)
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月PPI

2月5日(水)
17:10 デギンドスECB副総裁講演
17:50 フランス1月サービス業PMI改定値
17:55 ドイツ1月サービス業PMI改定値
18:00 ユーロ圏1月サービス業PMI改定値
18:30 英国1月サービス業PMI改定値
19:00 ユーロ圏12月小売売上高


2月6日(木)
16:00 ドイツ12月製造業新規受注
17:00 ラガルドECB総裁講演
23:00 フランス中銀総裁講演


2月7日(金)
16:00 ドイツ12月貿易収支、鉱工業生産
16:45 フランス12月貿易収支、鉱工業生産
22:30 米国1月雇用統計


2月8日(土)
 **:** アイルランド総選挙

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月27日(月)
ユーロドルは、イラクの米国大使館へロケット弾が着弾したとの早朝のリスクオフの動きでユーロ円は水準を下げたもののユーロドルは小動きに留まり、NY市場まで1.1025を中心に方向感がはっきりしない展開が続きました。NY市場ではダウ同様に欧州株も新型コロナウイルス懸念により大幅安となったことからユーロにも売りが入り一時1.1010レベルの安値をつけましたが値幅は伴いませんでした。


1月28日(火)
ユーロドルは、欧州市場前は全く動きが出ませんでしたが、ドル円でのドル売りが徐々に収まる動きとともにドルの買い戻しがユーロドルの売りとなりました。しかし、NY市場では株高の動きがユーロ円の買いにも繋がったことでユーロドルは東京前場水準に戻しての引けとなりました。

1月29日(水)
ユーロドルは、東京市場ではドル円とともにユーロ円がじり安となった動きからじり安の動きとなりました。その後はドル円、ユーロ円とともにじり高の流れとなりましたが、ユーロドルは動きが鈍く、FOMC直後に一時的な上下は見られたもののユーロドルの一日のレンジは36pipsに留まりました。


1月30日(木)
ユーロドルは東京市場ではもみあい、欧州市場に入り英中銀MPCの発表を前にポンドが下押し後に買い戻される動きに沿ってユーロも小幅に追随する動きとなりました。MPCでは大方の予想通りに現状維持、委員の利下げ票も前回と同じ2名だったことからポンドに買い戻しが入り、ユーロドルも買いが続く流れでの引けとなりました。

1月31日(金)
ドル円は東京前場ではNY市場での引けに向けての買い戻しが株価とともに目立つ流れでしたが、後場以降は徐々に上値が重くなりNYの朝方には東京早朝の水準へと押していました。NY市場では新型コロナウイルスの感染拡大に加え旧正月後も中国便の運休や中国内の企業活動再開の遅れが嫌気されダウが大幅安、それに連れてドル円も108.31レベルまで水準を下げ、安値圏でもみあいのまま週末クローズとなりました。
いっぽうユーロドルはNY市場まではやや上値が重たい展開ではあったものの小動きが続く様子見相場となっていました。NY市場ではドル円がダウの下げとともに円高となり、ユーロもドルの動きに反応したことからユーロ買い、1.1096レベルまで上伸しほぼ高値引けとなりました。ユーロ円はドル円とユーロドルのドルの動きが同程度であったことから、終日狭い値幅の中でのレンジ相場でした。

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