ドル円、新型肺炎の感染拡大を受けてリスク回避の円買い進行。一時108.74へ
海外時間の為替概況
27日(月)の外国為替市場でドル円は急落。24日(金)に発表された、@米・1月製造業PMI(結果51.7、予想52.5)が市場予想を下回ったことや、A新型コロナウィルスの感染拡大を受けてグローバルにリスク回避ムードが広がったこと(中国指導部を初め一部の国が渡航制限を開始し、中国経済の低迷及び、春節によるインバウンド効果剥落が意識されたこと→世界的な株安)などが重石となり、週明けのドル円相場は窓を開けてギャップオープン(先週末終値109.28、週明け始値108.94)。Bイラクの米大使館にロケット弾が打ち込まれたとの一部報道も重なる中で、アジア時間朝方には、約3週間ぶり安値となる108.74まで急落しました。
売り一巡後は、本邦勢のドル買い・円売りに下支えされる形で、一時109.14まで持ち直す場面も見られましたが、Cグローバルな株価の下落や、D米・12月新築住宅販売件数(結果69.4万件、予想73.0万件)の冴えない結果が重石となると、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では108.92近辺で推移しております。尚、この間、NYダウ平均株価は約400ドル程度下落、米10年債利回りは1.69%から1.61%へ急低下、恐怖指数と呼ばれるVIX指数は14.5%から一時19.0%付近まで急騰しました。
ユーロドル相場は続落。@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(対主要通貨でのドル買い・円買い)や、Aドイツ・1月Ifo企業景況感指数(結果95.9、予想97.0)の冴えない結果が重石となり、米国時間にかけては、昨年12/2以来、約1ヶ月半ぶり安値となる1.1010まで下げ幅を広げました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では1.1018近辺で推移しております(心理的節目1.1000割れはひとまず幅まれた格好)。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、1/17に記録した高値110.29をトップに反落に転じると、昨日は一時108.74まで急落しました。この間、109.70近辺に控える支持帯(サポート水準)や、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンドや、一目均衡表雲上限及び基準線を下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第1段階合意署名は実現するも、第2段階合意は後ずれする公算大)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスクなど、ドル売り・円買いを想起させる材料がたくさん残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。新型コロナウィルスの感染拡大を受けて春節が延期されるとの報道が一部で出てきており、「春節延期→中国のサプライチェーンの麻痺→対中依存度の高い国々の成長鈍化懸念→グローバルな株安」への想起からリスク回避の円買いが強まる恐れがあります。また、このところ発表される米経済指標にも冴えない数字が目立っており、本日発表される米・12月耐久財受注や、米・1月リッチモンド連銀製造業指数、米・1月コンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を下回る場合には、米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売りの経路も想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:108.30ー109.30
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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