ドル円見通し 新型コロナウイルス感染拡大での株安に圧されて安値圏に留まる(20/1/28)

目先の安値を出し切って続報待ちとなり、109円を挟んだ揉み合いでの推移となっている。

ドル円見通し 新型コロナウイルス感染拡大での株安に圧されて安値圏に留まる(20/1/28)

【概況】

新型コロナウイルスの感染拡大が経済活動の停滞と景気減速懸念を強めて金融市場全般がリスク回避へ動く中、ドル円は1月23日深夜に109.26円まで下落し、27日朝には108.73円まで一段安となった。27日早朝は中国の感染死者数が80人を超えたことからダウ先物が大幅下落で開始し、日経平均も一時500円を超える大幅下落で世界的な株安連鎖が見られる中での急落商状だったが、その後は目先の安値を出し切って続報待ちとなり、109円を挟んだ揉み合いでの推移となっている。

1月27日夜のNYダウは寄り付きから売られて下げ幅は一時500ドルを超える下げ幅となり前日比453.93ドル安で終了。ナスダック総合指数も175.60ポイント安と大幅下落した。米10年債利回りは株安債券高により前日比0.07%低下の1.61%となり年初来安値を更新している。
米商務省が発表した昨年12月の米新築住宅販売件数は年換算で前月比0.4%減の69万4000戸と市場予想の73万戸を下回った。市場の反応は限定的なものだった。


【感染拡大のピークは春か?】

新型コロナウイルスによる死者は26日時点で56人だったが週明けには80人を超え、27日には北京で初めての死者が発生して82人へ拡大した。マカオ、カナダ、カンボジアへ感染は拡大した。
香港メディアの報道によると、香港大の梁卓偉・医学院長の1月25日時点の試算では武漢市の感染者が2万5000人を超え、潜伏期の感染者も含めると約4万4000人に上る可能性があるという。同学院長は今後は重慶や北京、上海、広州などで急増して4月から5月頃にピークを迎えて6月頃から減少すると見ており、試算結果を世界保健機関(WHO)に報告するとした。

1月27日朝はコモディティーの下落も目立った。安全資産買いされているゴールドは一段高しているが、白金はパラジウムが下落、原油やゴムが大幅下落、穀物相場も下落した。経済活動の停滞、物流・貿易の萎縮による需要低下懸念、景気減速懸念が背景だ。

NYダウの下げ幅も前日比453.93ドル安と大きく、今のところは日足で52日移動平均を割り込んでいないものの、同線を割り込んで続落に入る場合は昨年7月からの下落時や4月からの下落時、さらに2018年10月天井からの下落時等に匹敵する動きとなる事も懸念される。
仮に香港大の医学院長が示した試算に近いような展開になる場合、3月、4月へとリスク回避感が現状よりも強まる可能性もあると警戒するところか。

【2019年4月天井時との類似性】

ドル円は1月27日朝安値で108.73円まで下げたが、1月8日安値から1月17日高値までの上昇幅2.63円に対する半値押しラインが108.86円であり、既に半値押しを割り込んだ状況にはいっている。1月27日朝安値からは下げ渋っているものの、安値を更新する場合は3分の2押しの108.52円、さらに1月8日安値107.65円へと下値目処が切り下がってゆく可能性がある。

12月2日高値から1月8日安値までは2.07円の円高ドル安だったが、そこからのV字反騰で12月2日高値を上抜いて8月26日以降の高値を更新したものの反落している現状は、昨年4月天井からの下落開始時に近い印象がある。

週間見通しでも指摘したが、昨年3月5日から3月25日までは2.40円の円高ドル安となり、V字反騰で3月5日高値を超えたが、4月24日からの反落により8月26日底への下落期に転じた。その時のV字反騰幅は2.67円、3月5日高値から4月24日高値までの間隔は日足37本だった。今回は2.07円の円高ドル安からV字反騰し、1月17日高値まで2.63円の上昇であり、12月2日高値から1月17日高値までの間隔は日足35本であり、4月天井形成時に近い動きだったが、既にV字反騰幅の半値を削ったこと、26日移動平均及び52日移動平均を割り込んだことは昨年5月の下落序盤に近い姿だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月15日深夜安値から4日目となる1月22日未明安値でいったんボトムをつけたが、既に底割れしたことで弱気サイクル入りとなった。1月22日未明安値から3日目となる1月27日朝安値の後は下げ渋りを丸1日続けて小持ち合いとなっているので、27日朝安値を直近のサイクルボトムと仮定する。トップ形成期は27日から29日の日中にかけての間と想定されるので既に27日夕刻の持ち合い中高値でサイクルトップをつけた可能性もある。
このため、1月27日朝安値割れ回避の内は上昇余地ありとするが、27日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りと仮定して30日朝から2月3日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では27日朝からの下げ渋りにより遅行スパンが実線と交錯しているが、先行スパンからは転落したままとなっている。上昇再開には先行スパンを上抜き返す必要があるとみて、先行スパンから転落中は27日朝安値割れからの一段安警戒とし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は40ポイントを挟んだ揉み合いのため、50ポイント超えからは戻りを試しにかかるとみるが、50ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、30ポイント割れからは20ポイント前後を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月27日朝安値108.73円を下値支持線、27日夕高値109.13円を上値抵抗線とする。
(2)109.13円以下での推移中は下向きとし、27日朝安値割れからは108円台前半への下落を想定する。108.50円前後はいったん買い戻しも入りやすいところとみるが、108.50円割れから戻せずに続落の場合は108.25円から108.00円にかけてのゾーンへ向かうとみる。また109円以下での推移なら29日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)109.13円超えからは上向きとするが、109.20円を超えずに108.90円を割り込むところからは下げ再開とみる。109.20円超えからは60分足の先行スパンを上抜いてくるため109.35円から109.50円手前へ向けて戻りを試す可能性があるとみるが、109.50円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。本格的な出直り上昇には新型コロナウイルスの感染拡大に対する収束感が必要と思う。

【当面の主な予定】

1/28(火)
休 場 中国、香港(旧正月)
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)
22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 -2.0%、予想 1.2%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 0.0%、予想 0.4%)
23:00 (米) 11月 ケース・シラー米住宅価格指数 (10月 218.43)
23:00 (米) 11月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (10月 2.2%、予想 2.5%)
24:00 (米) 1月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (12月 126.5、予想 128.0)
24:00 (米) 1月 リッチモンド連銀製造業指数 (12月 -5、予想 -3)

1/29(水)
休場 中国(旧正月)
EU欧州議会、英国のEU離脱案を採決
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)
09:30 (豪) 10-12月期消費者物価 前期比 (前期 0.5%、予想 0.5%)
09:30 (豪) 10-12月期消費者物価 前年同期比 (前期 1.7%、予想 1.7%)
14:00 (日) 1月 消費者態度指数・一般世帯 (12月 39.1)
16:00 (独) 2月 GFK消費者信頼感調査 (1月 9.6、予想 9.7)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 1.2%、予想 0.7%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前年同月比 (11月 5.6%)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 1.50-1.75%、予想 1.50-1.75%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

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