ユーロ週報 ユーロは対円、対ドルとも上値の重たい流れ(週報1月第4週)

ユーロ買いの材料がゼロというわけでは無いものの、どちらかというと今週もユーロ売り材料の方が目立つ週となりそうです。

ユーロ週報 ユーロは対円、対ドルとも上値の重たい流れ(週報1月第4週)

ユーロは対円、対ドルとも上値の重たい流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週前半は1.10台後半を中心としたもみあいが続き、ドル円を中心としてドル売り・ユーロ買いの動きとユーロ円でのユーロ売り・円買いの動きが相殺した動きとなったと考えられます。週後半はユーロが下げる動きが目立ち、きっかけはECB理事会後のラガルド総裁会見でリスクは下向きと発言されたことによるものでした。週末にかけてはユーロ円の売りに加えて、ポンドが下げる動きもユーロの上値を抑える結果となりました。

最近のユーロはドルの動きと円の動きが相殺する動きも目立つのですが、中期的な展開としてはユーロ安トレンドが続く中で、リスクオフによるユーロ円の下げがユーロドルの上値を着実に抑えている動きと言えます。また今週はいよいよ31日に英国がEUから離脱することとなりますので、離脱後の移行期間(年末まで)における英国とEUあるいは諸外国との協議に対する不透明感がポンドの上値を抑え、その動きがユーロの上値も重くするという金曜のような動きが続きやすそうです。

リスクオフのベースとなっている新型コロナウイルスの拡散懸念はドル円、ユーロ円の上値を抑えやすくなります。2002〜3年の冬に流行ったSARSとの比較についてはドル円週報に書きましたので、結論だけ述べると今回の感染拡大はそう簡単には収束せず、今後の中国と世界的な景気減速に影を落とすでしょう。このことは中期的なリスクオフ要因となりますので要注意です。

いっぽう短期的には早朝にイラクの米国大使館にロケット弾が着弾したとのヘッドラインが入り、急速なリスクオフ相場となり株式市場は先週末から更に大幅安の展開となりました。こちらは、今後の米国の対応次第ではありますが、トランプ大統領が政治的に利用するには何が良いのかと考える結果次第です。最悪のケースで対立激化、報復ということになると、更なるリスクオフ要因が膨らむこととなります。

そして、欧州内のイベントでは英国の離脱以外に今週はフランスとユーロ圏のGDP速報値が発表され注目材料となりますが、それ以上に気になるのが英中銀MPCです。ここ数回のMPCの動きは徐々にハト派になってきていますが、前回12月MPCでは利下げに票を投じた委員が2人、残り7人のうちもう1人は今回のMPCで利下げに票を投じる可能性が高く、そうしたこともポンドの上値を抑え、ユーロ売りに繋がる可能性があります。

ユーロ買いの材料がゼロというわけでは無いものの、どちらかというと今週もユーロ売り材料の方が目立つ週となりそうです。

次にテクニカルです。日足チャートをご覧ください。

ユーロは対円、対ドルとも上値の重たい流れ

先週までとの明確な違いは、ピンクのサポートラインを明確に下抜けたことです。また金曜の安値は昨年10月安値と12月高値の61.8%押しとなる1.1017、また12月高値からの逆N波動による100%エクスパンションの1.1019と重なったことで、いったん下げ止まりやすい水準と言えます。しかし、サポートラインを下抜けていることから、ここからはこれまでのサポートラインがレジスタンスとなり1.1080レベルの上値が重たくなってくると言えるでしょう。

また下値のターゲットとしては、昨年10月安値と12月高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.0956(赤のターゲット)、あるいは手前で12月高値からの逆N波動による127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションの1.0978(青のターゲット)が考えられますので、1.09台後半を目途に考えることとなります。

今週も上値の重たい地合いを継続しやすいと見て、1.0965レベルをサポートに1.1080レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週の予定

今週はユーロ円の日足チャートをご覧ください。

ユーロは対円、対ドルとも上値の重たい流れ 2枚目の画像

最近のリスクオフによる円買いの動きからユーロ円も昨年9月安値からのサポートライン(ピンクの細線)を下回って引けることとなりました。今朝の安値は9月安値と1月高値の38.2%押し120.20を達成しましたので、いったん落ち着きやすい水準ではありますが、金融市場を取り囲む材料を見ていると、ここで反発するよりも若干のもみあいを挟んで一段安を考える方がよさそうです。

そうなるとこれまでの上昇ウェッジの上側のラインと平行に引いたサポート(ピンクの太線)を想定したくなると同時に、昨年9月安値と1月高値の半値押しが119.37で来週にはこのサポートラインとぶつかることとなります。今週から来週にかけて119円台前半の水準を試しやすい流れにあると考えています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月27日(月)
**:** 中国市場休場(〜30日、2月2日まで延長予定)
18:00 ドイツ1月ifo企業景況感

1月28日(火)
(特になし)

1月29日(水)
16:00 ドイツ2月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ12月輸入物価指数
16:45 フランス1月消費者信頼感
28:00 FOMC結果発表
28:30 パウエルFRB議長会見
**:** 英中銀MPC(〜30日)



1月30日(木)
17:55 ドイツ1月失業率
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感
19:00 ユーロ圏12月失業率
21:00 英中銀MPC結果発表、四半期インフレ報告
21:30 英中銀総裁会見
22:00 ドイツ1月CPI速報値

1月31日(金)
09:01 英国1月GFK消費者信頼感
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値
16:00 ドイツ12月小売売上高
16:45 フランス1月CPI速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値
**:** 英国EUから離脱

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月20日(月)
ユーロドルは、ポンドの下げとともにじり安の動きが続き、金曜安値を下回るとNY時間には一時1.1077レベルの安値をつけました。引けにかけてはポンドとともに買い戻しが入り、欧州市場スタートの水準へと戻しましたが、値幅は26pipsに留まりました。


1月21日(火)
ユーロドルは東京市場では小動きでしたが、欧州市場序盤に発表された強い経済指標をきっかけにユーロ買いの動きとなり、NY市場朝方には1.1118レベルまでじり高。その後、米国でのコロナウイルス報告がドル円、ユーロ円の下げとなりユーロドルはユーロ円に引っ張られて1.1081まで下げての安値引けとなりました。


1月22日(水)
ユーロドルは1.1090レベルを中心としてNY市場まで上下の値幅を少しずつ拡大しつつも方向感がはっきりしない状態が続きました。NYの昼前には1.1070レベルと前日安値を下回る動きとなっていましたが、引けにかけては株安の動きがドル売りとなったことでユーロドルにも買い戻しが見られる動きとなりました。


1月23日(木)
ユーロドルはECB理事会を前に小動き、理事会後の総裁会見で緩やかなインフレ上昇と発言しユーロが上昇したものの、リスクは下向きとの発言で週間安値を更新、ユーロ円の売りも重なって1.1035レベルまで下値を拡大後にやや戻して引けました。


1月24日(金)
ユーロドルは欧州市場まではもみあいとなっていましたが、欧州市場序盤にポンドが上下する動きに引っ張られてユーロドルも買われた直後に売られる動き。前日安値を下回ると週末前のストップも出てじり安が続き、NY市場ではユーロ円の売りも手伝って1.1020レベルの安値をつけ安値圏でNY市場を引けました。


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