トルコリラ円見通し トルコ中銀の利下げ幅に注目(20/1/16)

1月14日高値の後はドル円もトルコリラ円も急騰一服でややジリ安の展開となった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の利下げ幅に注目(20/1/16)

【概況】

トルコリラ円の年末への一段安と年明けのイラン情勢による1月6日朝及び1月8日朝に18円を割り込む急落及び両安値をダブル底としたその後の反騰で1月14日高値まで急伸する展開はドル円の動きとほぼ同調したものだった。
金融市場全般がイラン情勢に有事リスク拡大懸念を抱き、それがひとまず解消されたことでリスクオン全開へと回帰したことが1月8日安値からの反騰の背景だった。しかし1月14日高値の後はドル円もトルコリラ円も急騰一服でややジリ安の展開となった。
1月15日深夜には米中通商協議の第1段階合意の署名が行われたが、これもひとまず重要イベントをサプライズなく通過したことで材料的には織り込み済となった。署名がなされるまでは若干の波乱警戒心もあったが、無事通過のため署名実施以降はややジリ高の動きとなっている。しかし、14日午前高値を超えて一段高へ走る状況には今のところ至っていない。

【イラン情勢一服、米中第1段階合意通過、次はトルコ利下げ動向】

米中通商協議の第1段階合意により、米国は署名から30日後に昨年9月に発動した制裁関税第4弾の税率を現行の15%から7.5%に引き下げるが、制裁関税の第1弾から第3弾については据え置かれるため、中国製品計3700億ドル相当へ追加関税は課せられたままとなる。これら追加関税の撤廃には第2段階での合意が必要となる。
第2段階での協議が難航すれば根本的な解決は長引き、その間に中国の景気鈍化が顕著となる等、世界的な景気の萎縮が出始めると中国への依存度が高い新興国経済にも悪影響を及ぼしかねない。イラン情勢の様な有事リスク以外でも景気後退リスクが強まる場合にはリスク回避として投機性の強い通貨は売られやすくなる。

そうした中で、トルコ中銀は1月16日の金融政策決定会合で追加利下げを行うだろうと市場は予想している。2018年の通貨危機的なリラ暴落により2018年9月には政策金利=週間レポレートが24%まで引き上げられた。通貨暴落が一巡、景気も持ち直しに入ったとして2019年7月26日に19.75%へ、9月13日に16.50%へ、10月24日には14.00%へ、12月12日には12.00%へ4会合連続で大幅な利下げを断行してきた。いずれも市場の利下げ幅予想を超えるものだった。
エルドアン大統領はインフレ率と政策金利を1桁へ引き下げると宣言してきた。トルコ中銀も政権の影響を大きく受けているため、今回の会合でも5会合連続の利下げが予想されるところだが、米連銀が利下げを中断して様子見に入ってからは新興国・資源輸出国等は利下げ見送りに動いており、トルコ中銀が5会合連続で利下げということになるとかなり目立つことにもなる。

【概況】

概ね4か月周期の底打ちサイクルによるボトム形成と反騰入りという状況にあるため、利下げの影響でトルコリラには多少の売り圧力がかかったとしても、イラン情勢の落ち着きや米中第1段階合意、および世界的な株高基調を以てすれば1月8日以降の反騰基調は維持されると思われるが、利下げ幅によってはトルコリラ上昇へのブレーキとなりかねないと注意したいところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月6日朝安値と8日午前安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしてきたが、14日午前高値まで大幅上昇してから失速気味となったために15日午前時点では1月14日午前高値を直近のサイクルトップとした。またボトム形成期は1月8日午前安値を基準とすれば1月15日午前までの間と想定されるが、15日夕刻以降へ続落の場合は1月13日朝安値を基準として16日朝から20日朝にかけての間へ延長される可能性があるとした。
1月15日夜までジリ安が続いてからやや戻しているため、14日午前高値を上抜けずに15日夜安値を割り込む場合は、1月13日朝安値を基準として16日の日中から20日朝にかけての間への下落余地ありとする。1月14日午前高値超えの場合は15日夜安値ないしは直前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日午前から21日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月8日夜の急騰で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いて両スパンそろっての好転が続いてきたが、15日午前への下落で遅行スパンは悪化し、先行スパンからも転落した。15日夜安値からやや戻しているため遅行スパンは好転しつつあり、先行スパンも上抜きやすい状況にある。14日午前高値を上抜けない内は一段安余地が残るため、15日夜安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、14日午前高値を上抜くところからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は15日夜へのジリ安において指数のボトムが横ばいに止まっているため強気逆行に近い印象がある。このため65ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先して70ポイント台への上昇を想定する。ただし35ポイント割れからは強気逆行型が崩れるので一段安入りとみて20ポイント台中盤への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月15日夜安値18.61円を下値支持線、1月14日午前高値18.77円を上値抵抗線とする。
(2)18.70円以下での推移か、わずかに超えても維持できない内は一段安余地ありとし、18.61円割れからは18.50円前後への下落を想定する。18.50円以下は反騰注意とするが、18.60円以下での推移なら17日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)18.73円超えから続伸の場合は1月14日午前高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして18.80円台中盤試しを想定する。18.85円以上は反落注意とするが、14日高値を上抜いた後も18.70円以上での推移なら17日も高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

1月16日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 12.0%、予想 11.5%)
1月20日
 23:30 12月トルコ中央政府債務
1月23日
 16:00 1月消費者信頼感指数(12月 58.8)
 20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨
1月27日
 16:00 1月製造業景況感 (12月 103.6)
 16:00 1月設備稼働率 (12月 77.0%)

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