ユーロ週報「リスクオフのユーロ円売りがユーロの上値も抑える」(1月第1週)

昨年末あたりからユーロの動きが対ドルからユーロ円の動きに影響を受けるリスクオフ主導の円買いと、それに影響を受けてのユーロ安相場となってきました。

ユーロ週報「リスクオフのユーロ円売りがユーロの上値も抑える」(1月第1週)

今週の週間見通しと予想レンジ

あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

(1)年末年始の振り返り

到達確率チャートにラインマーカーで着色してある部分を見ながら、以下の出来事をご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロドルは、27日東京市場で実需と思われるユーロ買いが入り、クリスマス休暇明けの欧州勢もユーロ買いに動いたことから一段高。NY市場でも週末前のユーロ買いが目立っていました(黄色のラインマーカー)。
週明け30日の東京市場ではドル売りの動きがユーロ買いを継続させる格好となり、あっさりと1.12台乗せ(ピンクのラインマーカー)。31日も取引が薄い中で買いが目立ちNY市場では一時1.1239レベルと8月以来の高値をつけました(グレーのラインマーカー)。
その後年明け以降は一転、ドル円におけるリスクオフの動きがユーロ円にも波及し、ドル円の下げる動きとともにユーロドルも下落、3日には1.1125レベル(水色のラインマーカー)と12月27日東京後場の水準まで下押し後、1.11台半ばを回復しての週末クローズとなりました。

(2)今週の見通し

これまでもよく見られたことですが、上記の通りで昨年末あたりからユーロの動きが対ドルからユーロ円の動きに影響を受けるリスクオフ主導の円買いと、それに影響を受けてのユーロ安相場となってきました。

材料的に欧州材料がある程度一巡したこと、明日から英国議会で離脱の審議が始まるものの与党保守党が単独過半数となっている現状では、議会運営において保守党の意見がそのまま通る可能性が高いことから、特段材料視される状況とはなっていません。しかし、1月末の離脱が決まり、その後の移行期間が12月末で終わることがほぼ決まっていることを考えると、これまで同様に時間切れから結果として合意無き離脱と同じことになってしまうのではないかといった懸念は常に残ります。

ジョンソン首相もEUに対して強気な発言をすることで譲歩させようというこれまでの方針を続けるでしょうから、英国議会あるいはジョンソン首相の発言はどう考えてもポンド売りの方向に動きやすいものが出やすいことになり、ポンド売りがユーロ売りにも波及する可能性があるというのが、最もあり得る流れではないかと考えられます。

それ以外には大きな材料が無いため、米国とイランとの対立がどうなのかが最大の注目材料となります。これまでの中東での動きとしては、英国を中心にNATO軍が米軍に同調してきたことが多いため、今回も最悪の場合には欧州も巻き込んでの中東発のリスクオフ相場へと拡大する可能性があります。その場合は直近の動きを強める方向となります。

テクニカルな観点からチャートも見ておきましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ 2枚目の画像

上下に見えるピンクの太線はそれぞれ2019年高値から引いたレジスタンスラインと2019年安値から引いたサポートラインです。レジスタンスラインは12月末にわずかに上ヒゲで抜けていますが、長期のラインですからこれは誤差と見てよいため、あえて引き直しはしていません。また2019年の6月高値と10月安値の61.8%戻しにあたる1.1209もわずかに上抜けたもののこれも誤差の範囲で、逆に上値の重さを再確認することになったと見てよいでしょう。

現状はテクニカルには、11月末の安値から引いた青のサポートラインとピンクのレジスタンスラインの間での推移と見られますが、材料を考えると青のサポートラインをトライして、より長期のピンクのサポートラインを試しやすい展開にあると考えています。今週は先週後半のユーロ安の動きを継続しやすく、1.1090レベルをサポートに、1.1210レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週のコラム

今週のコラム

今週は久しぶりにポンドドルの日足チャートを見てみましょう。

ポンドのチャートは典型的な噂で買って事実で売るというパターンを見せています。昨年12月の総選挙で保守党が圧勝した出口調査結果発表時が高値で、その後11月終値近辺まで押したところから再上昇となったものの年明けの円高の動きによって、再び下値不安が出てきたというチャートです。

大きくはピンクの太線で示したサポートラインを割り込まない限り、上昇トレンドを完全に否定することは出来ませんが、直近ではピンクの細線で示したサポートとレジスタンスの中での調整局面入りです。英国議会での審議がサプライズでポンド買いという流れよりはジョンソン首相の強気発言がポンド売りの方向につながりやすそうですし、細線のサポートを割り込んでくると、上昇から下降値の転換となる可能性が高まります。

今年もポンドが動きやすい一年となりそうですが、年初はユーロとともに下値に注意といったところです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月6日(月)
17:50 フランス12月サービス業PMI改定値
17:55 ドイツ12月サービス業PMI改定値
18:00 ユーロ圏12月サービス業PMI改定値
18:30 英国12月サービス業PMI改定値
19:00 ユーロ圏11月PPI

1月7日(火)
19:00 ユーロ圏12月CPI速報値
19:00 ユーロ圏11月小売売上高
**:** 英国議会でEU離脱審議開始


1月8日(水)
16:00 ドイツ11月製造業新規受注
16:45 フランス12月消費者信頼感
16:45 フランス11月貿易収支
19:00 ユーロ圏12月消費者信頼感


1月9日(木)
16:00 ドイツ11月貿易収支
19:00 ユーロ圏11月失業率


1月10日(金)
16:45 フランス11月鉱工業生産
18:30 英国11月貿易収支
22:30 米国12月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

年末年始の更新が変則的となっていますので、今週は「年末年始の振り返り」という項目を週間見通しの中で述べさせていただいております。

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