トルコリラ円見通し　持ち合い下放れによる下落継続で18.40円台(19/12/19)

トルコリラ円は10月末以降、高値で19円台を維持できず、18.80円前後が支持線となる持ち合いを1か月続けてきたが、持ち合い中の最安値である11月15日未明安値18.77円を12月7日未明への下落で割り込んで持ち合い下放れに入った。12月10日夜安値18.64円から下げ渋り、12月12日夜に米中通商協議が第１段階合意報道から円安と同調して12月13日夜高値18.95円まで一旦反騰したのだが、米中合意での関税引き下げ等が市場の期待を下回ったとして13日夜から再び下落に転じた。
ドル円は12月13日夜の下落から早々に出直り、12月13日高値を上抜けないものの高値圏を維持して三角持合いの様相だったが、その間にドル/トルコリラではドル高リラ安が進んだため、トルコリラ円は円安の支えがないままドル高に押されて17日夜には18.60円を割り込み、18日夕刻には18.50円も割り込んだ。

ドル/トルコリラは12月13日から17日まで3連騰のドル高リラ安で、日足は3日連続陽線の赤三兵となり上昇が加速したが、18日も4日連続の陽線となり高値では5.9313リラをつけて10月15日高値5.9414リラに迫った。前日比の上昇率で見れば12月13日から0.29％高、0.72％高、0.62％高、18日が0.67％高とドル高リラ安が加速した。

【リラの弱さが目立つ】

ドル高リラ安の背景にはトルコの利下げ継続感と米連銀の利下げ打ち止めの長期化との対比があり、米国とトルコの外交的対立への懸念が再び強まりかねないとの懸念があるが、17日からは全般的なドル高がドル/トルコリラをさらに押し上げてきている。
12月15日まではメジャー通貨の加重平均であるドル指数は11月29日からの下落基調が続いてドル安感が強まっていたためにドル/トルコリラでのドル高リラ安が他通貨と比較して目立っていた。米連銀が利下げを中断して当面は様子見の姿勢を示したことや米中通商協議が第１段階合意に至って市場全般が安堵する中で、新興国通貨への投機マネーの物色においてトルコリラが取り残されて売られているという側面もあると思われる。
ブラジルレアルは11月後半まで対ドルで急落していたがその後は巻き返しでレアル高へ進んでおり、アジア通貨や南アランド等も対ドルで上昇している。トルコリラがそれらと比較して弱いというのは、トルコ中銀とエルドアン大統領による政策金利とインフレ率を一桁まで落とすとしている姿勢が影響しているとも言える。

【持ち合い下放れが売りを誘う】

トルコリラ円は10月末からの持ち合いから転落した。12月13日の戻り高値当日から日足は4日連続陰線で円高リラ安となっている。持ち合い放れによる安値更新は、テクニカル的な先安感から売りを誘ってさらに連鎖的な下落を巻き起こしやすくなる。
持ち合い下放れにより、日足のボリンジャーバンドは収縮から一転して膨張に転じて下降トレンド発生を示唆しており、テクニカルな売りを誘いやすくなっている。
概ね4か月周期で高値・安値をつけてきた日足のサイクルにおいても、10月31日未明高値と12月2日高値によるダブルトップでピークをつけて下落期に入っている印象だ。このサイクルの前回の底は8月26日安値であり、そこから4か月目となる12月末へ向けてサイクルボトムを形成し始めているのだろうと思われる。やや短ければクリスマス前に底打ちの可能性もあるが、やや長引けば年明けまで下落基調を継続する可能性があり、また持ち合い下放れとサイクル的な下落が重なっている中では売りの連鎖反応で下げが勢い付く可能性も警戒される。

前回の4か月サイクルボトム形成期では、7月31日高値19.68円から8月26日安値17.86円まで10％近い下落となっているため、同様の下落率で推移すると18円台を維持できるかどうかを試すところまで下値目処が切り下がる可能性も考えておく必要があるかもしれない。

60分足の一目均衡表では12月16日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパン好転からはいったん強気サイクル入りとみて先行スパン下限試し、あるいは先行スパン帯の下部へ潜り込む上昇を想定する。
60分足の相対力指数は12月18日夕刻から19日朝への安値切り下がりに対して指数のボトムが切り上がり気味となっているため強気逆行から上昇に転じる可能性がある。50ポイントを超えない内はさらに一段安余地ありとみるが、50ポイントを超えてくる場合は上昇再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
（１）当初、12月19日未明安値18.44円を下値支持線、18.50円を上値抵抗線とする。
（２）18.50円以下での推移中は一段安警戒とし、安値更新からは18.30円台後半への下落を想定する。18.38円以下は反発注意だが、18.50円以下での推移なら20日も安値を試しやすいとみる。
（３）18.50円超えを強気転換注意とし、18.55円超えからは強気サイクル入りとみて18.60円前後への上昇を想定する。18.60円以上は反落注意とするが、18.55円を超えた後も18.50円以上での推移なら20日も戻り高値を試す余地ありとみる。

12月20日
　16：00　12月消費者信頼感指数　（11月　59.9）
　19：30　11月自動車生産　前年比　（10月　0.7％）
　23：30　トルコ中央政府債務残　（10月　126.1億トルコリラ）　
12月26日
　16：00　12月景況感　（11月　102.00）
　16：00　12月設備稼働率　（11月　77.2％）
12月30日
　16：00　12月経済信頼感　（11月　91.3）
12月31日
　16：00　11月貿易収支（10月　-18.1億ドル）