【概況】
米中通商協議が第1段階合意報道からドル円は12月12日深夜へ急伸して109円台を回復、13日夜には109.70円をつけて12月2日高値109.72円に迫ったが高値更新には至らず、13日深夜には一旦109.20円まで反落した。17日未明に109.67円まで戻すも13日高値に届かず、18日午前には109.38円までジリ安推移となり、18日夜の反発時の高値は109.62円に止まっている。
12月13日夜高値と17日未明高値、18日夜高値はやや右肩下がりでほぼ1直線の抵抗線を形成している。一方で12月13日深夜安値109.20円から18日午前安値109.38円へ安値ラインは切り上がりの下値支持線を形成している。これら抵抗線と支持線により現状はレンジ縮小型の三角持ち合いの様相となっている。
持ち合いの背景は株高によるリスクオン心理で円安ドル高へ進みやすい状況にはあるものの、12月2日高値を超えてさらに一段高へ進むには材料不足であり、株式市場程には楽観しきれないという市場心理を表しているのだろうと思われるが、相場では「持ち合いは持ち合い放れにつけ」が鉄則と言われており、徐々にレンジが縮小する持ち合いは膠着状態のフラストレーションも高まるため、持ち合い放れから大きく動きはじめる前夜情勢として油断できないところと思われる。また、持ち合いから一旦上放れかけてから揺れ返しの下落で下放れするケース、あるいはその逆のケースもあるので、放れたところからトレンドが発生して流れが継続するかどうかの初動が大事になる。
【米中問題とブレクジットのリスク要因はまだ先行き不透明感を残す】
米中通商協議の第1段階合意により、当面は米中対立を煽るような状況は発生しないとして株高が進行してNYダウもナスダックも連日の史上最高値更新となってきた。また12月12日の英国総選挙で与党が圧勝したためにEU離脱の是非を巡る問題はひとまず決着したことで市場も安堵した。米中対立とブレクジットの二つのリスク要因がひとまず落ち着いたことでドル円もリスクオン優勢となって上昇したわけだが、12月2日高値を超えてさらに一段高へ走るまでには至っていない。
英ポンドは総選挙直後の12月13日朝に1.351ドルまで急騰したがその後は反落に転じて17日、18日と続落して急騰直前の水準まで押し返されている。1月末のEU離脱からの移行期間で英国とEUが貿易協定で確り合意に至らなければ離脱による混乱が現実化する可能性が高い。移行期間の延長を求めないジョンソン首相の姿勢がポンド安を招いている。離脱が現実となった段階で様々な動きも出てくるため、相当な混乱も発生するだろうと考えれば、総選挙の与党圧勝による祝勝ムードも続かなくて当然かもしれない。
米中協議もひとまず第1段階の合意に達したが、第2段階以降がスムーズに展開するとも思えない。当面の混乱はないとして株式市場は楽観的だが、徐々に上値も重くなってきている。
NYダウは17日が前日比31.27 ドル高で2日連続終値ベースの史上最高値を更新したが、立ち合い中の最高値は12月16日高値でストップしており18日は27.88ドル安と反落した。ナスダックは5日連続で立ち合い中及び終値ベースでの史上最高値を更新している。米10年債利回りは前日比0.04%上昇で1.92%となり、株高基調による安全資産としての債券売りから利回りが上昇する状況で推移しているが11月7日の1.97%を超えていない。
【米下院の大統領弾劾】
米下院本会議は12月18日にトランプ大統領のウクライナ疑惑に対する弾劾訴追状案の審議を開始した。民主党優勢の下院で訴追案が可決される場合、米上院は年明けに弾劾裁判を開始することになる。トランプ大統領が上院弾劾裁判で有罪となり罷免されるためには上院での3分の2以上の賛成が必要となるので、53人の共和党上院議員から20人以上の造反が必要となるため、有罪となる確率は極めて低いと思われる。因みに米大統領の弾劾は過去2例あり、1998年のクリントン氏、1868年のアンドルー・ジョンソン氏のいずれもが上院で無罪となっている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは12月4日安値108.41円、9日安値108.40円と12日安値108.44円をトリプルボトムとして強気サイクル入りしたが、12月13日夜高値の後は新たな高値更新へ進めずにレンジ縮小型の三角持ち合いを形成しているため、持ち合い上放れなら次の強気サイクル入りへ、下放れなら弱気サイクル入りへと明暗も分かれる。
12月13日高値を上抜く場合は持ち合い後半の18日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとみて19日の日中から20日夜にかけての間への上昇を想定する。また17日未明高値を基準としてトップ形成期が24日未明にかけての間へ延長される可能性もあると注意する。
12月18日午前安値を割り込む場合は持ち合い下放れによる弱気サイクル入りとみる。その場合、13日深夜安値を基準として19日の日中から20日深夜にかけての間を当初の安値形成期とみるが、18日午前安値を基準として安値形成期が24日にかけての間へ延長される可能性もあると注意する。
60分足の一目均衡表では12月13日高値以降の三角持合いのため遅行スパン及び先行スパンが実線と交錯しており方向感に乏しい。このため12月13日高値超えからは持ち合い上放れとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、18日午前安値割れからは持ち合い下放れとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は持ち合い中のため50ポイントを中心に前後10ポイント強のレンジでの推移に止まっている。65ポイント超えからは一段高へ進む可能性を優先し、40ポイント割れから続落の場合は一段安へ進みやすくなるとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月18日午前安値109.38円を下値支持線、13日夜高値109.70円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円以上での推移中は上向きとし、109.70円超えからは持ち合い上放れとして110円試しを想定する。110円到達では売りも出やすいとみるが、リスクオン材料を伴って110円超えから続伸の場合は110.25円前後へ上値目処を引き上げる。また109.70円を超えた後も109.50円以上での推移なら20日の日中も高値を試しやすいとみる。
(3)109.50円割れからは下向きとし、109.38円割れからは持ち合い下放れ開始とみてまず12月13日深夜安値109.20円試しを想定する。109.20円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、リスクオフ材料を伴っての下落なら109.00円割れを試すとみる。また109.38円以下での推移なら20日の日中も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
12/19(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
18:30 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.3%)
18:30 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 3.1%、予想 2.1%)
18:30 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 -0.3%、予想 0.3%)
18:30 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (10月 2.7%、予想 1.9%)
21:00 (英) イングランド銀行 政策金利 (現行 0.75%、予想 0.75%)
22:30 (米) 7-9月期経常収支 (前期 -1282億ドル、予想 -1221億ドル)
22:30 (米) 12月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 (11月 10.4、予想 8.0)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 25.2万件、予想 22.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.7万人、予想 168.1万人)
24:00 (米) 11月 景気先行指数 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.1%)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (10月 546万件、予想 544万件)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数 前月比 (10月 1.9%、予想 -0.2%)
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 7.50%、予想 7.25%)
12/20(金)
08:30 (日) 11月 全国消費者物価指数 前年同月比 (10月 0.2%、予想 0.5%)
08:30 (日) 11月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (10月 0.4%、予想 0.5%)
08:30 (日) 11月 全国消費者物価指数・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (10月 0.7%、予想 0.7%)
09:01 (英) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 -14、予想 -14)
16:00 (独) 1月 GFK消費者信頼感 (11月 9.7、予想 9.8)
18:00 (欧) 10月 経常収支・季調済 (9月 282億ユーロ)
18:00 (欧) 10月 経常収支・季調前 (9月 358億ユーロ)
18:30 (英) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
18:30 (英) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
18:30 (英) 7-9月期 経常収支 (前期 -252億ポンド、予想 -150億ポンド)
22:30 (米) 7-9月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 2.1%、予想 2.1%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費確定値 前期比 (改訂値 2.9%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE確定値 前期比 (改訂値 2.1%)
24:00 (欧) 12月 消費者信頼感 (11月 -7.2、予想 -7.6)
24:00 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.0%、予想 0.3%)
24:00 (米) 11月 個人消費(PCE) 前月比 (10月 0.3%、予想 0.4%)
24:00 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 1.3%)
24:00 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前月比 (10月 0.1%、予想 0.1%)
24:00 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (10月 1.6%、予想 1.5%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 99.2、予想 99.2)
オーダー/ポジション状況
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18日(水)の外国為替市場でドル円は小動き。
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