来週はトルコ中銀金融政策決定会合に注目。大幅利下げならリラ急落の恐れも
今週のレビュー(12/2−12/6)
今週のトルコリラ円相場は、週初19.06円で寄り付いた後、@グローバルなリスク選好ムードを背景に、週明け早々に高値19.12円まで上昇しました。しかし、直近高値19.13円(11/21高値)を前に伸び悩むと、A市場予想を下回るトルコ・第3四半期GDP(結果0.90%、予想1.00%)や、B北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(12/3−12/4開催)を前にした警戒感、C米中リスク再燃を受けたリスク回避ムード、Dトルコ・11月消費者物価指数(結果11.00%、予想10.56%)の伸び率鈍化を受けた追加利下げ観測の高まりが重石となり、週末にかけては、10/25以来、約1ヶ月半ぶり安値18.76円まで急落しました。尚、注目されたNATO首脳会議を経て、英独仏トルコ4か国首脳会議の開催(2020年初頭)が決定。トルコ−NATO問題はひとまず先送りされた格好です。
来週の見通し(12/9−12/13)
今週のトルコリラ円相場は週初に高値19.12円を記録するも、その後は終始上値の重い展開となりました。この間、200日移動平均線や、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、同基準線を下抜けするなど、テクニカル的に見て「続落リスク」が意識されるチャート形状となりつつあります(終値ベースで200移動平均線を一度も突破できなかったことで、上値の重さが浮き彫りとなった)。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀の追加利下げ観測、Cエルドアン大統領の求心力低下、D経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Eシリアを巡る地政学的リスク、Fロシアからの武器購入を巡る対米および対NATO同盟国との関係悪化懸念など、潜在的な不安材料は山積みです。
特に上記Bについては、今週発表された消費者物価指数が鈍化傾向を示したことで、来週(12/12)のトルコ中銀・金融政策決定会合で追加利下げが実施される可能性が一段と高まりました(※@7/25に▲425bp利下げで19.75%へ、A9/12に▲325bp利下げで16.50%へ、B10/24に▲250bp利下げで14.00%へ。トルコ中銀は直近3回で1000bpもの利下げを実施)。因みに、最初の2回(7/25と9/12の会合時)は利下げ→リラ買いでの反応でしたが、前回(10/24)は、利下げ→リラ売りでの反応となりましたので、来週の会合で市場予想を上回る大幅な利下げが行われた場合は、純粋に「リラ売り」で反応する可能性が高いと判断できます(事実それを織り込む形で週末にかけてトルコリラは急落)。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「続落リスク」が警戒されます。12/11に発表されるトルコ・10月経常収支や、12/12のトルコ中銀・金融政策決定会合、12/13のトルコ・10月鉱工業生産、12/16のトルコ・9月失業率、同・10月小売売上高を睨みながらも、来週はトルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
トルコリラ円の予想レンジ TRYJPY 18.40ー19.00
トルコリラ円日足
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