トルコリラ円見通し 12月3日深夜安値から下げ渋りだが反騰に勢い付かず
【概況】
トルコリラ円はトルコリラの対ドルでの下落一服と12月2日へのドル円上昇を背景として11月27日深夜安値18.87円から12月2日午後高値19.08円まで上昇してきたが、ドル/トルコリラが小動きに留まる中でドル円が12月2日夜から急落した動きと同調して12月3日深夜安値18.83円まで下落した。ドル円は12月4日夕刻へ安値を切り下げてから戻しに入り、トルコリラ円は4日夕刻に3日深夜安値と同値まで下げたところから戻しに入った。しかしドル円もトルコリラ円も戻りは鈍く、トルコリラ円は5日早朝高値18.93円の後は伸びずにジリ安となっている。
【ドル指数の下落とドル円の下落基調が圧迫】
メジャー通貨に対する加重平均であるドル指数(ドルインデックス)は11月29日高値からの反落が12月5日も続き、日足は5営業日続落、11月28日からは6営業日連続の陰線で下げている。米経済指標が弱含みとなり米中通商協議における早期合意期待が後退する中でドルが売られていること、英ポンドが総選挙での与党勝利観測から大幅上昇していることとそれに同調したユーロ高も続いていることがドル安要因であり、ドル円の下落もリスク回避的な円の買い戻しとともにドル指数でのドルの弱さを反映している。
一方で、ドル/トルコリラは11月21日から11月27日まではドル高リラ安での推移だったが、11月28日からはドル安リラ高へ揺れ返しとなり、11月29日から12月5日まではほぼ横ばいで動意の薄い状況が続いている。このためトルコリラ円の動静はドル円の動きになびきやすい状況にある。
12月6日には米労働省の雇用統計の発表があり、非農業部門就業者増減では市場予想が18.0万人増で10月の12.8万人増を上回ると見込まれているが、12月4日に先行して発表されたADP民間部門の雇用報告では6.7万人増に止まって予想の14.0万人増や10月の12.1万人増を大幅に下回っているので、労働省統計が予想を大幅に下回る場合はドル売り圧力が強まりドル円の下落とともにトルコリラ円も一段安しかねないと注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
12月4日深夜安値からはやや戻して新たな安値更新を回避しているので、現状は引き続き10月末からの18.80円前後を支持線とし、19円台を維持しきれない持ち合いの範囲内にある。持ち合いの中心値である18.95円を上抜き返せば持ち合い上限を再び試す上昇も想定されるが、18.95円以下での推移が続く場合は持ち合い下限試し、あるいは下放れへ進む可能性が高まるところと注意される。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月2日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12月4日深夜にかけての間への下落を想定していたが、12月5日未明に18.93円まで戻したために5日午前時点では、3日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は12月5日午後から9日にかけての間とし、18.87円割れからは弱気転換注意として3日深夜安値試しとした。
12月5日未明高値からは新たな高値更新へ進めずにいるため既にサイクルトップをつけた可能性があるが、3日深夜安値割れ回避の内は上昇余地ありとみる。ただし18.90円以下での推移中は下向きとし、底割れからは弱気サイクル入りとして12月6日夜から10日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12月5日未明への上昇で遅行スパンが好転したが、その後の伸び悩みで実線と交錯して6日午前時点では悪化状態にある。また先行スパンへ潜り込んでから5日夜には再び転落している。12月5日未明高値と12月3日深夜安値の範囲での推移のため、12月5日未明高値超えからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とし、12月3日深夜安値割れからは一段安入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12月3日深夜安値と4日夕安値がほぼ同値だったところで指数のボトムが切り上がる強気逆行となって上昇に転じたが、その後は60ポイント台には届かない状況が続いている。60ポイント超えからは上昇に勢いも付くとみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月3日深夜安値18.83円を下値支持線、12月5日未明高値18.93円を上値抵抗線とみる。
(2)12月3日深夜安値割れ回避の内は上昇余地ありとし、5日未明高値超えからは18.95円から18.97円にかけてのゾーンを試すとみる。18.95円以上は反落注意とするが、18.85円以上での推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)18.90円以下での推移中は下向きとし、12月3日深夜安値割れからは18.80円、さらに11月15日未明安値18.77円試しへ向かう流れとみる。18.80円以下は反発注意だが、3日深夜安値を割り込んだ後も18.87円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。
【最近のトルコ・シリア情勢推移】
11月13日 トランプ米大統領とエルドアン大統領がワシントンで首脳会談
11月23日 トルコ国防相、米国がF35売らないなら別の道を選択
11月23日 第14回シリア保証国会議を12月10-11日に開催
11月25日 トルコがロシア製S400ミサイルシステムの試験開始
11月26日 シリア北部ラスアルアイン付近で自動車爆弾による大規模テロ事件発生
12月03日 NATO首脳会議、英独仏とトルコの首脳会談
米トランプ大統領、トルコのロシア製ミサイル調達への制裁検討中と発言
12月04日 米トランプ大統領とエルドアン大統領会談、特に動き無し
【当面の主な経済指標等の予定】
12月11日
16:00 10月経常収支 (9月 24.8億ドル)
12月12日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)
12月13日
16:00 10月鉱工業生産 前年同月比 (9月 3.4%)
12月16日
16:00 9月失業率 (8月 14.0%)
16:00 10月小売売上高 前月比 (9月 0.6%)
16:00 10月小売売上高 前年比 (9月 2.7%)
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