来週はトルコの物価指標とNATO首脳会議がメインイベント
今週のレビュー(11/25−11/29)
今週のトルコリラ円相場は、週初19.05円で寄り付いた後、早々に週間高値19.11円まで上昇しました。しかし、直近高値19.13円(11/21)を前に伸び悩むと、@トルコがロシア製ミサイルS400のシステムテストを開始したとの報道や、A上記@を受けた対米・対NATO同盟国との関係悪化懸念、Bポンペオ米国務長官による「トルコによるロシア製ミサイルS400のテストは懸念すべき」との発言が重石となり、週央にかけては、約2週間ぶり安値となる18.86円まで下落しました。もっとも、一目均衡表基準線に下支えされると、週末にかけて持ち直す展開に。米中合意期待を背景にドル円が約半年ぶり高値圏へ上昇する中、19.03円まで反発しての越週となっております。
来週の見通し(12/2−12/6)
今週のトルコリラ円相場は、一目均衡表基準線に下支えされる形で、週後半にかけて持ち直す動きとなりました。この間、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表転換線を上抜けするなど、テクニカル的に見て、「下値の堅さ」が確認されます。一方、上方向には強力なレジスタンス200日移動平均線が控えており、今週も終値ベースでの突破は実現できませんでした。来週はこれらのテクニカルポイント(上方向:200日移動平均線、下方向:一目均衡表基準線)を抜けた方向に相場が走ると考えられます。
ファンダメンルズ的に見ると、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀の追加利下げ観測、Cエルドアン大統領の求心力低下、D経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Eシリアを巡る地政学的リスク、Fロシアからの武器購入を巡る対米国および対NATO同盟国との関係悪化懸念など、潜在的な不安材料がたくさん燻っています。特に上記Bについては、トルコがカタールとのスワップ協定限度額を従来の30億ドルから50億ドルへ拡大したことを受けて、外貨準備減少懸念が一段と広がりを見せつつあります。また、上記Fについても、来週12/3−12/4のNATO首脳会議で関係悪化懸念が広がる恐れもあり注意が必要です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的に見て「保ち合い」状態が続いていますが、ファンダメンタルズ的な「弱さ」を考慮すれば、リスクは依然「下向き」と考えられます。12/2のトルコ・第3四半期GDPや、12/3のトルコ・11月消費者物価指数、同生産者物価指数(※物価上昇なら実質金利低下でリラ売り要因に)、12/3−12/4のNATO首脳会議、米中関連報道を睨みながらも、来週はトルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
トルコリラ円の予想レンジ TRYJPY 18.70ー19.30
トルコリラ円日足
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