トルコリラ円見通し 10月31日高値超え失敗から戻り高値切り下がり基調(19/11/27)

トルコリラ円は11月15日未明安値18.77円から11月21日夜高値19.07円へ上昇して10月31日未明高値19.08円に迫ったがわずかに届かなかった。

トルコリラ円見通し 10月31日高値超え失敗から戻り高値切り下がり基調(19/11/27)

【概況】

トルコリラ円は11月15日未明安値18.77円から11月21日夜高値19.07円へ上昇して10月31日未明高値19.08円に迫ったがわずかに届かなかった。11月25日朝に18.92円まで反落したところから25日夕刻には19.06円まで一旦戻したのだが19円台を維持できずに25日深夜には18.92円まで一段安した。
11月26日は午前の円安を背景に19.00円をつけたが反落し、27日未明には18.87円をつけて21日夜以降の安値を更新している。

ドル円は米中通商協議の進展期待と株高を背景に11月21日からの円安ドル高を継続しているが、ドル/トルコリラではドル高リラ安であり、ドル円における円安効果よりもドル高リラ安による売り圧力が勝っている印象だ。ドル/トルコリラは11月21日安値から反騰=ドル高リラ安に入り、11月22日から26日まで日足は3日連続陽線で上昇している。
11月26日のイスタンブール100株価指数は前日比0.57%上昇で3日ぶりに小反発した。

11月26日はシリア北部ラスアルアイン付近で自動車爆弾によるテロ事件があり、トルコ国防省によると少なくとも17人が死亡、20人が負傷した模様。同地区は10月にトルコ軍がクルド人民兵組織YPGに対する越境軍事作戦を展開して実効支配下にあるが、この地域を含めてシリア北部で同様のテロ事件が相次いでいる。トルコ軍とロシア軍による合同の停戦パトロールも継続しているので喫緊の軍事的緊張が高まる状況ではないと思われるが、テロ事件がさらに続発してくるとトルコ軍による大規模な軍事作戦の再開等で情勢不安が再燃する可能性もある。

【エルドアン大統領、政策金利とインフレ低下に自信】 

11月26日にトルコのエルドアン大統領はTVインタビューに答える形で、「トルコの金利とインフレ率はあらゆる圧力にもかかわらず望ましい水準に向かっている」「低下傾向は恒久的なものになり、一桁台に低下すればトルコ経済と通貨は様変わりする」と述べた。また同大統領は「トルコ国民はドルを使わずリラを使ってナショナリズムを見せるべきだ」とも述べた。OECDがトルコの今年度の成長見通しを従来のマイナス0.3%からプラス0.3%へ引き上げ、2020年についても従来の1.6%から3.0%へ引き上げたことや、最近のトルコ経済指標の好調さについてもアピールした。

トルコの通貨安定への自信はトルコリラにとってはプラス要因だが、政策金利がさらに大幅低下してゆくとの見通しは為替市場としてはマイナス要因かもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円60分足


概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月25日朝安値から25日夕刻へいったん反騰した後に25日朝安値を割り込んだため、26日午前時点では25日朝安値を直近のサイクルボトムとし、21日夜と25日夕の両高値をダブルトップとして底割れによる弱気サイクル入りとした。また25日夕高値を超えない内は一段安余地ありとし、25日深夜安値を割り込む場合は28日朝から12月2日朝にかけての間への下落を想定するとした。
11月27日未明へ続落した後の反発もまだ鈍いため、引き続きボトム形成中とみる。26日夜の戻り高値18.97円を超える場合は強気転換注意とするが、新たな強気サイクル入りには19円乗せから続伸する反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では25日夕高値からの反落で遅行スパンが悪化し、先行スパンから転落したが、その後も両スパンの悪化が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは先行スパン突破を試すとみるが、先行スパンは18.90円台後半で抵抗帯を形成しているので突破してゆくにはドル円において円安が一段と進むことや対ドルでトルコリラが反発してくる必要があると思う。

60分足の相対力指数は26日深夜から27日未明への安値更新に際して指数のボトムが切り上がる小規模な強気逆行が見られる。このため50ポイント以上を維持して上昇する場合は戻りを試しにかかる可能性ありとみるが、50ポイント前後が抵抗となって40ポイントを割り込む場合は逆行の継続か逆行破れにより30ポイント台序盤へ低下する可能性があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月27日未明安値18.87円を下値支持線、26日夜高値18.97円を上値抵抗線とみる。
(2)18.97円を下回るか、わずかに超えても維持できない内は一段安余地ありとし、27日未明安値割れの場合は18.85円から18.80円にかけてのゾーンを試すとみる。18.83円以下は反発注意とするが、18.95円以下での推移なら28日の日中も安値試しを続けやすいとみる。
(3)11月26日夜高値超えから続伸の場合は上昇再開の可能性ありとして19円試しを想定する。19円では再び戻り売りにつかまりやすいとみるが、円安が加速する場合等で19円超えから続伸の場合は25日夕高値19.06円試しまで上値目処を引き上げる。また18.95円以上での推移なら28日の日中も戻りを試しやすいとみる。

【最近のトルコ・シリア情勢推移】

10月14日 米国がトルコに経済制裁発動
10月23日 トルコが米国提案の恒久的停戦を受け入れ、米国のトルコ制裁解除
10月27日 トランプ大統領、IS指導者バグダディ氏殺害を報告。
10月29日 米下院によるトルコ制裁決議可決
11月01日 トルコとロシア、シリア北東部の合同巡回開始
11月11日 トルコ政府、IS戦闘員の本国送還を開始
11月13日 トランプ米大統領とエルドアン大統領がワシントンで首脳会談
11月23日 トルコ国防相、米国がF35売らないなら別の道を選択 11月23日 第14回シリア保証国会議を12月10-11日に開催
11月26日 シリア北部ラスアルアイン付近で自動車爆弾による大規模テロ事件発生

【当面の主な経済指標等の予定】

11月28日
16:00 11月経済信頼感 (10月 89.8)

11月29日
16:00 10月貿易収支 (9月 -20.6億ドル)
20:00 トルコ中銀財政安定レポート

12月02日
16:00 7-9月期GDP 前年同期比(前期 -1.5%)
16:00 7-9月期GDP 前期比(前期 +1.2%)
16:00 11月製造業PMI (10月 49.0)

12月03日
16:00 11月消費者物価指数 前年同月比 (10月 8.55%)
16:00 11月消費者物価指数 前月比 (10月 2.00%)

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