トルコリラ円見通し 円安が支えるもドル高リラ安が重石で持ち合い(19/11/6)

11月1日からの円安基調は続いているのだが、対ドルでのリラ安がトルコリラ円での上値を抑える要因となっているようだ。

トルコリラ円見通し 円安が支えるもドル高リラ安が重石で持ち合い(19/11/6)

【概況】

トルコの軍事行動停止と米国の要請による停戦合意及び米国による制裁解除、ロシアとトルコの両軍による停戦領域における共同巡回等によりシリア情勢は一服している。10月24日のトルコ中銀による利下げも消化して当面する主要イベントを通過したために、トルコリラを取り巻く情勢は金融市場全般情勢のなかでのドルストレートの動向、クロス円の動向次第という状況でやや落ち着いている。
トルコリラ円は10月31日未明の米FOMC直後に19.08円まで上昇して10月29日夜高値19.05円を上抜いたものの、その後は米中協議への懸念や米連銀が早計な利上げへ姿勢転換しないとしたことで11月1日午前までクロス円全般で円高が進んだために1日夕刻安値で17.79円まで下げた。

11月1日夜から米中協議進展期待が強まって株高円安に転じたために11月4日には19.05円まで上昇して31日未明高値に迫ったが、高値更新には至らずに失速した。
ドル円は11月6日未明に10月31日未明高値へ迫るところへ続伸したが、その一方でドルストレートでのドル高がドル/トルコリラでの圧迫要因となったために円安効果が相殺されて18.90円台での膠着状態となっている。

【リスクオンの円安と長期債利回り上昇でのドル高の攻防】

NYダウは11月1日の米雇用統計が良好だった事をきっかけに同日に前日比301.13ドル高と上昇、11月4日も114.75ドル高と続伸して7月16日につけた史上最高値を更新、さらに5日も30.52ドル高として3連騰となった。7月高値以降の抵抗を突破しての一段高入りは、米中協議進展期待とともに金融市場全般をリスクオン優勢とするが、リスク回避感後退により債券が売られて米長期債利回りが上昇してくると今度はドル高となる。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は10月1日から下落基調で推移していたが、11月1日からは反騰に転じており、ドル/トルコリラも10月4日からのドル安リラ高の流れが11月4日から反転してドル高リラ安となり始めている。一方では11月1日からの円安基調は続いているのだが、対ドルでのリラ安がトルコリラ円での上値を抑える要因となっているようだ。

【60分足の三点天井?】

トルコリラ円は8月26日安値から反騰した後は9月13日高値や10月1日高値等で19円を超えても維持できずに来た。10月末以降も19円台を乗せても維持できない展開が繰り返されているが、60分足では10月31日未明高値を中心の頭として見れば、10月29日深夜高値と11月4日夜高値が両肩となる三尊天井型を形成しつつある印象となっている。この三尊天井型における10月30日夕安値と11月1日夕安値が切り下がりとなっているため、ネックラインがフラットとなる三尊天井型というよりも菱形の三点天井型を形成しつつある印象がある。
11月4日夜高値を上抜き返せば三点天井型を破っての一段高入りとして上昇に弾みがつく可能性もあるが、11月5日朝安値18.88円を割り込んでくる場合は三点天井形成の可能性が高まって1日夕安値試しへ進みやすくなると注意する。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

TRY/JPY60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月1日夕刻安値からの反騰で10月31日未明高値に迫ったために11月1日夕安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、4日夜から反落しているためにすでに31日未明と4日夜高値でダブルトップを付けてしまった可能性があるとした。11月5日朝安値の後は新たな安値更新を回避しているものの、11月4日夜高値を上抜く場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて11月4日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。4日夜高値を超えない内は6日午後から8日夕にかけての間への下落を想定し、4日夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして7日夜から11日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4日夜への上昇でいったん先行スパンを上抜いたが、5日未明へ反落した後は18.90円台での小持ち合いにつかまっているため概ね先行スパン内で推移している。また小持ち合いでの推移のため遅行スパンは実線との交錯を繰り返して方向感に欠ける。19円を下回る内は一段安余地ありとし、5日朝安値18.88円割れからは小持ち合い下放れとなるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、19円超えからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は小持ち合いのため50ポイントを挟んで指数自身も小持ち合いとなっている。60ポイント超えからは上昇再開感が強まるが、40ポイント割れから続落し始める場合は下げ再開を警戒する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月5日朝安値18.88円を下値支持線、19.00円を上値抵抗線とする。
(2)19円を超えない内は下向きとし、5日朝安値割れからは1日夕安値18.79円試しを想定する。18.79円以下は反発注意とするが、18.910円以下での推移中は7日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)19円超えからは上向きとして4日夜高値19.05円試し、さらに10月31日未明高値19.08円試しへ向かう可能性ありとみる。ただし19円台を維持できない展開はまだ継続しやすいとみて、再び19円を割り込むところからは下げ再開注意とする。

【最近のトルコ・シリア情勢推移】

10月07日 米国がシリア駐留部隊の撤収を表明
10月10日 トルコがシリアのクルド組織を空爆
10月14日 米国がトルコ国防省や閣僚3人等に対して経済制裁対象に指定
10月17日 エルドアン大統領が5日間の停戦を表明
10月18日 トルコとクルド組織で停戦違反の衝突、エルドアン大統領とトランプ大統領電話会談
10月22日 エルドアン大統領、プーチンロシア大統領と会談

10月23日 トルコがクルド組織への軍事作戦を停止し恒久的な停戦を受け入れたと表明
米国によるトルコ制裁を解除
10月27日 トランプ大統領、IS指導者バグダディ氏殺害を報告。トルコ軍も情報交換
10月29日 トルコとロシア、クルド人勢力の指定地域からの撤収を確認
      米下院によるトルコ制裁決議可決(上院の可決と大統領署名が必要)
11月01日 トルコとロシア、シリア北東部の合同巡回開始
11月02日 トルコが制圧したシリア北部で爆発、少なくとも13人が死亡、30人以上がけが
11月05日 トルコ・ロシアによる2回目の合同巡回実施

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