【概況】
米中協議進展期待やISMのサービス業景況指数が予想より良かったことでNYダウが3日連続の史上最高値更新となり、株高からの債券売りで米10年債利回りが上昇したため対ユーロを中心にドル全面高となり、ドル円は109円を突破して6日未明には109.24円をつけて10月31日未明のFOMC声明発表直後の高値109.28円に迫った。
10月のISM非製造業総合指数が54.7となり9月の52.6から上昇して市場予想の53.5を上回った。米経済指標悪化がドルにとっての重石だったため、11月1日の米雇用統計が概ね良好だった事とともにドル高円安要因となった。
米商務省が発表した9月の貿易赤字は前月比4.7%減の525億ドルで市場予想と一致したが、米中摩擦の長期化により輸出入ともに減少した。中国に対するモノの貿易赤字は前月比0.4%減の316億ドルで赤字額は9カ月連続で前年同月を下回った。
【NYダウは7月と9月のダブルトップ破りで一段高入り】
米中貿易協議では「第1段階」合意署名が月内にも行われるとの期待感が強まる中でNYダウは前日比30.52ドル高と続伸して前日に続いて史上最高値を更新した。11月1日の301.13ドル高、4日の114.75ドル高から3連騰となった。7月16日の従来史上最高値を9月12日への上昇では突破できずにダブルトップ型を形成しかけたが、10月3日への下落では6月3日から8月15日への底上げしてきた流れを維持したためにダブルトップ型というよりも抵抗線フラットな三角持合い型となっていたが、11月の史上最高値更新により持ち合い上放れで一段高に入り始めた印象だ。ダブルトップ破りないしは三角持合い上放れによりチャート上も市場心理からも高値を追及しやすい姿となってきている。
株高により債券は売られて米10年債利回りは一時1.87%台へ上昇して9月16日以来の水準となった。米長期債利回り上昇によりユーロや円がドルに対して大幅下落となった。メジャー通貨の加重平均であるドル指数は10月1日に99.67をつけて昨年来高値を更新した後は米連銀の利下げ姿勢や米経済指標の悪化によって下落基調で推移してきたのだが、11月1日安値97.16から反騰し始めている。株高に加えてドル高も加わったことがドル円を大きく押し上げ、ユーロを急落させたともいえる。
【米中の第1段階合意も大詰め?】
米中通商協議では「第1段階」 の合意を目指しており、合意形成へ楽観的な見方が強まってきている。中国側は米国が9月に発動した対中関税を撤回や、12月15日に発動予定の対中制裁関税拡大の取り下げで確約を取り付けたいとしているようだ。米国側は中国側に合意を順守させるために関税を人質としているところもあるが、大統領選挙まで1年を切った状況のなかで成果を急ぎたくもあるため、株式市場は特に合意形成へ楽観的で、これらの動きについても不安感よりも詰めの協議が進んでいるという受け止め方のようだ。しかし最終合意に至るかどうかはまだ不透明であり、昨年6月の閣僚級合意が土壇場でトランプ大統領により却下された経緯もあるので情勢が悲観に転じる可能性も抱えていると注意したい。
11月5日時点ではロス米商務長官が会見で「第1段階の合意に達することは米中の信頼構築に役立つ」とし、「同合意がさらなる協議の先駆けとなることを望む」と語り、「合意できるとそこそこ楽観している」としている。
中国人民銀行は5日に1年物中期貸出ファシリティー(MLF)金利を3.30%から5ベーシスポイント引き下げたが、5日の為替市場では人民元の対ドル相場が急伸して1ドル=6.9975元をつけて凡そ3カ月ぶりに7元を割り込む人民元高ドル安水準となった。米中通商協議の進展を意識して人民元安に中国側がブレーキをかけた動きと市場は好感しているようだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円60分足
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月31日未明のFOMCからいったん高値を更新してから反落したため、31日朝時点では31日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、11月1日午前安値からの反騰により5日朝時点では1日午前安値でやや短めのサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたとみて、トップ形成期を5日の日中から7日未明にかけての間とし、上値目処を109円前後試しとした。
11月6日未明に31日未明高値へ迫り、1日午前からの上昇も丸3日を経過しているので、10月31日未明高値とのダブルトップ形成から反落に転じる可能性があるが、109円台を維持するか、一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとみる。109円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、108.75円割れからは弱気サイクル入りと仮定して6日の日中から8日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1日夜の反発で遅行スパンは好転し、5日朝には先行スパンも突破したが、その後も両スパン好転を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなる点に注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。その際は先行スパンが下値支持帯となりやすいとみるが、先行スパンからも転落する状況となる場合は戻り一巡による下落の本格化を警戒する。
60分足の相対力指数は5日未明への上昇で80ポイントに到達し、その後も80ポイント前後で横ばいとなっているので弱気逆行型を形成している印象だ。60ポイント以上での推移中はまだ上昇余地ありとみるが、60ポイント割れからは反動安入りを疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.00円を下値支持線、31日未明高値109.28円を上値抵抗線とする。
(2)109円を上回るか、一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、31日高値超えからは109.50円前後への上昇を想定する。109円台を維持する内は7日早朝も高値を試す可能性ありとみるが、31日高値を超えた後の109円割れからは下げ再開を警戒する。
(3)109円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、108.75円割れからは弱気サイクル入りと仮定して6日の日中から8日午前にかけての間への下落を想定する。108.50円以下は反騰注意とするが、米中協議関連等で再び悲観論が強まる様な情勢変化がある場合は、11月1日安値107.88円試しへむかう揺れ返しの流れに入る可能性を警戒する。
【当面の主な予定】
11/6(水)
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 -0.6%、予想 0.1%)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前年同月比 (8月 -6.7%、予想 -6.3%)
17:55 (独) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 51.2、予想 51.2)
18:00 (欧) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 51.8、予想 51.8)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%、予想 0.1%)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 2.1%、予想 2.5%)
22:30 (米) 7-9月期非農業部門労働生産性 前期比 (前期 2.3%、予想 0.9%)
22:30 (米) 7-9月期単位労働コスト 前期比年率 (前期 2.6%、予想 2.3%)
22:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、質疑応答
23:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、質疑応答
29:15 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
11/7(木)
09:30 (豪) 9月 貿易収支 (8月 59.26億豪ドル、予想 51.25億豪ドル)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.3%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -4.0%、予想 -4.5%)
21:00 (英) イングランド銀行 政策金利 (現行 0.75%、予想 0.75%)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:00 (英) 英中銀イングランド銀行、四半期物価報告
21:30 (英) カーニー英中銀総裁、発言
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.0万人)
27:05 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演
29:00 (米) 9月 消費者信用残高 前月比 (8月 179.0億ドル、予想 156.0億ドル)
オーダー/ポジション状況
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