トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ドル円に引っ張られるイメージでトルコリラ円も一段のトルコリラ安を考え「18.65レベルをサポートに、19.25レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.82レベル、高値が19.42レベルと週初こそ下げたもののその後のトルコリラは堅調と言っていい動きを見せました。
先週のトルコリラは週初に発表されたCPIが予想より低めであったこと、PPIに至っては予想以上に低かったことから、インフレ懸念が遠のいたと判断されてトルコリラの買いに繋がってもよかったのですが、ドル円がリスクオフでドル安が進む中でトルコリラ円も円高の動きにフォローした流れです。その後はドル円でのドル安の動き以上にドルトルコリラでトルコ買いが強かったことからトルコリラ円は週末に向けてじり高の動きとなりました。
このトルコリラ買いは、正直なところ腑に落ちないのですが、細かな材料でトルコリラ買いにつながるようなものとしてはトルコと米国がシリアとの国境地帯に共同で安全地帯を設置することになったあたりが、S400購入以来米国とトルコとの間の関係悪化が懸念された中で好材料とされたという印象です。
しかし、9日にエルドアン大統領がトルコ中銀のチーフエコノミストら上級幹部ら少なくとも9人を解任したというニュースが入ってきました。今回解任された幹部は主に前総裁が外部から採用した人材とされ、前総裁だけでなくエルドアン大統領に反する可能性のある中銀幹部をも一掃したということで、週初からトルコリラ安かと思ったところ、週明けの市場は思いのほか静かでした。
これは、トルコが水曜まで犠牲祭りの大型連休で休場となることも影響していると考えられます。トルコ国内ではこの連休で民族大移動が起き、イスタンブール空港では一日の利用客数が過去最高を記録するなど、市場の休みは水曜までですが、それ以降も週内はお祭り気分という状況のようです。しかし、アジア市場後場から欧州市場序盤に入り、ドル円が105円を目指す動きを見せる中、ユーロ円等クロス円の売りが全般に目立ち、さらにやや時間が遅れてトルコリラにも売りが入り先週の安値圏に押す動きとなっています。
ファンダメンタル的には今週は動きにくいのですが、テクニカルには変調を来していますので、早速いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
4時間足チャート(トルコリラ円/ドルトルコリラ/ドル円)
先週(黄緑)とは色を変えましたが、青のサポートラインが年初来安値からの長期サポートラインで、先週の週初には何度かトライしてその後かろうじてサポートラインの上に戻りましたが、今週週明けのトルコリラの下げの動きで明確に下抜けてきていることがわかります。これは、3回目のトライでの下抜けで、もはやサポートとして使うべきではありません。
現在は先々週の高値を起点としたレジスタンスラインとそれに平行に引いたラインとで構成される下降チャンネル(ピンク)の中での推移に転じてきたと考えるべきだと見ています。そうなると、今週はこれまでの不思議なほど底堅かったトルコリラの動きにも変調を来す可能性がありますが、本邦個人投資家のトルコリラ買いポジションは高水準のままお盆休みに突入しています。多少の下げではポジションを減らすことが無いのも確かですが、3週前安値の18.64レベルを下抜いてくると思いのほか下げる可能性があります。
おそらくトルコリラが売られる動き以上にドル円が年初来安値更新といった円高の動きが影響してくるのではないかと思われます。また、今週のトルコリラ円はトルコの市場が週前半は休場となり参加者が少なくなるため、流動性低下から急な動きとなるリスクもあります。そうしたことも踏まえて、トルコリラ円は一段のトルコリラ安を考え、18.60レベルをサポートに、19.20レベルをレジスタンスとする週を見ておくことにします。
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