ユーロECB理事会後に乱高下 年初来安値更新
25日の海外市場でユーロは乱高下。ECB理事会後公表されたステートメントで、金利引き下げの可能性が明確に示されたことで、ドラギ総裁記者会見前には1.1102の安値をつけ年初来安値を更新しました。その後総裁の記者会見中には急速に値を戻し一時1.1188の高値をつける場面もありましたが、最終的には政策公表前の1.11台半ばに戻す荒い展開となりました。
ECBの今回のステートメントでは前回の「少なくとも2020年の前半までは政策金利が現状の水準のまま維持されることが見込まれる」との表記が「少なくとも2020年の前半までは政策金利が現状の水準のまま維持ないしは低下することが見込まれる」との表現に変更されており、さらに後半部分に「物価が継続的に目標を下回っていることに対し非常に緩和的スタンスをとることの必要性を強調する」「中期的なインフレ見通しが目標を下回り続けるならば、必要な行動をとる」「いつでも政策ツールを調整する準備はできている」などの部分が加わるなど、非常に緩和的なスタンスの内容でした。また従来インフレ目標の表現に使用されていた、「2%以下でありながらも2%に近い水準」という表現が単なる「目標(aim)」という言葉に置き換えられており、短期的なインフレの水準にかかわらず政策を変更する余地を確保した形となっています。
続くドラギ総裁の記者会見で同総裁は「経済は引き続き強い」としながらも「見通しはどんどん悪化している」とコメント、特にユーロ圏の製造業での悪化が目立つとしています。
また、インフレ目標の文言変更については実質的な変更は無いと説明。現状の低インフレには満足していないが、期待インフレの低下も考慮しなければならないと述べる一方で、一時的に2%を上回るような状況でも金融緩和政策が実施できるよう上限を設けない方針であるとのスタンスを示しています。さらに欧州圏の景気後退のリスクについては低いと明言しました。
今回の声明文、および記者会見の内容は好悪材料が入り乱れ、かつ、やや解釈の難しい部分が含まれており、より単純で緩和的なスタンスを期待した市場は一時的に「ハト派色が薄い」と判断、結果会見中にユーロドルは急速に買い戻される形となりました。しかし、その後はロイターが「複数の政策委員が9月の利下げを確実視している」と報じ、再度ユーロドルは下落。結局ここ一週間もみあった末に金融緩和を織込んだ1.11台半ばの水準に落ち着く形となりました。
結果としては「往って来い」の展開となった昨晩のユーロドル相場でしたが、チャート的には年初来安値を更新する重要な動きとなりました。
市場の関心は再び米国の経済動向と金融政策に回帰。その内容次第でユーロドルは今後どちらにも動きうる状況であり、本日東京時間はほぼ無風状態となっています。
しかし、テクニカル分析の観点からは安値更新に加え、ややいびつな形ながらヘッドアンドショルダーが完成しており、さらに本日は21日移動平均線が90日移動平均線をデッドクロスしかけてもいることから、下値を強く意識せざるを得ない状況です。
短期的には昨日踏みとどまった1.1100ラインを試す動きとなるか、また、中期では今年1月からの下落トレンドからの反発を再度否定した形となった現状、トレンド下限の1.10台前半を目指す方向となるか等、今後の動向が注目されます。
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