ランド円・トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「37.60レベルをサポートに、38.80レベルをレジスタンスとする流れ」を予想し、実際のレンジは安値が35.75レベル、高値が38.17レベルと大幅にトルコリラ安での推移となりました。
これは、5日のトルコリラ円の臨時レポートで指摘した通り、ダウトオール首相の退任観測が浮上したためです。トルコは、議院内閣制から大統領制への移行を巡り、首相と大統領が対立する構図となっていましたが、先週4日のNYタイムに首相と大統領は話し合いをもったものの、首相が党首を務める公正発展党は臨時党大会を開き首相が退任する方向となったためです。
これまでもトルコでは政情不安がたびたび市場のテーマとなっていましたが、今回の展開によって短期的に再びトルコは政治的に不安定な状況に置かれるリスクが高まっています。ただ、昨年の総選挙前にはS&Pが自国通貨建て長期債格付を1ノッチ引き下げる動きが見られたものの、今回同社は6日に格付けを維持した上で、アウトルックをこれまでのネガティブから安定的へと引き上げました。
つまり、クレジット・アナリストの視点では、短期的にはリスク要因となってはいるものの、長期的には心配に及ばずといったところでしょうか。これは、編集人K氏の見通しとも一致するところです。
ただ、これまでも大統領周辺からトルコ中銀に対して利下げ要求が行われていた中、先月には中銀総裁が大統領寄りと思われるチェティンカヤ副総裁が昇格する人事もありました。大統領寄りということから景気刺激面では好影響はあるのでしょうが、今後の中央銀行の独立性への懸念、あるいはそこから派生する通貨に対する信頼性低下という懸念は常に付きまといます。当面は、要ウォッチの状態になったと言えるでしょう。
それでは、チャートを見てみましょう。4時間足チャートを週ごとに四角で囲ってあります。
トルコ円四時間足
これを見ると明確ですが、先週3日にドル円が105.55レベルを付ける動きの中で、トルコリラ円はそれまで強いサポートとなっていた37円台半ばのサポート(ピンク色の線)を下抜け、直後に戻す場面も見られたものの、37円台半ばで抑えられてからの急落です。
短期的に先週安値35.75レベルは安値と考えることが出来ますが、37円台半ばは現状かなり強いレジスタンスになってしまったと考えざるを得ません。4月最終週の高値39.57レベルと先週安値35.75レベルの半値戻しも37.66となっていることも当面は戻りの限界点となりやすいことを示していると言えます。
今週は週報に示した通り、ドル円もいったんは下値を付け、その後の戻しを試しやすい地合いとなっていますので、トルコリラ円については36.00レベルをサポートに、37.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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