ユーロ週報 指標か理事会か、下抜けの可能性大(7月第4週)

先週は保守党党首選も関係してハードブレグジット懸念からポンドドルは2017年4月以来の安値をつけることとなりました。

ユーロ週報 指標か理事会か、下抜けの可能性大(7月第4週)

ユーロ週報 指標か理事会か、下抜けの可能性大

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは週初の1.12台後半からECB理事会における緩和思惑とハードブレグジットの懸念を改めて材料としたポンド売りの動きとが重なって1.12目前の水準まで下げる動きを見せました。しかしFOMCでの大幅利下げ思惑と中東の緊張の高まりからドルが売られると月曜高値に迫ったものの、その後大幅利下げ思惑が後退すると、まずは先のイベントとなる今週のECB理事会に向け反落しての引けとなりました。

しかし、1週間の値幅は84pipsに留まり、1.12台後半の売りと1.1200の買いに挟まれどちらにも動けないという流れが続きました。来週の米国FOMCでは、ほぼ25bpの利下げは確定と見られ、それ以上の大幅利下げはほぼ無いという見方が支配的です。いっぽうで、今週のECB理事会では、引き締めへの転換が無いままに再び追加緩和の方向性が示されるのではないかとの見方も強まっていて、仮に何らかの緩和策が出てくることになれば、まずはユーロ売りが先行、その上で来週のFOMC待ちということになるでしょう。

これまで、ユーロドルは1.12以下には買いオーダーがあって、下抜け出来ないという流れになっていましたが、先週は3度試して一度も1.12割れを見ることが無かったため、逆に今度1.12を割るとユーロ売りが強まるのではないかという地合いとなっています。またECB理事会の前にも主要国のPMI速報値が発表されますので、その数字が予想よりも弱い場合には理事会を前にして1.12割れという可能性も十分にありそうです。

今週はこの水曜のPMI速報値と木曜のECB理事会で今後のユーロドルの動きを占う週となりますが、先週ユーロの下げを先導したポンドも保守党党首選の結果が判明し、新党首(=首相)の発言次第では10月末のブレグジットに間に合うのかといった懸念が先週に続いて市場の話題となる可能性もあり、材料的にも売り材料につながるイベントのほうが多そうではあるもののECB理事会までは不透明な状況が続きそうです。

ただ、最近でこそ底堅いとも見られるものの、1.12割れはこれまでには何度も見てきた動きですから、ECB理事会という新たなテーマが加わってきたことを考えると、今週はこれまでのもみあいから下抜けを見る可能性のほうが高いように思えます。そのようなバイアスもかけながら、チャートも見てみましょう。

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ユーロドル日足

5月安値を挟んで年初からの下降トレンドが上昇トレンドへと転換したものの、7月に入ってからは上昇トレンドもまた転換し緩やかな下降トレンド入りになったか、といったところです。また短期的には1.1200と1.1300に挟まれて横方向へのもみあいとなっていますので、テクニカルには抜けた方向についていくのが本来ではあります。

しかし、6月の押しと7月安値を結んだサポートライン(ピンク)が今は効いているとはいえ、距離も近くいつ下抜いてもおかしくありません。まずは1.1200を下抜ける必要はあるものの、5月安値1.1107と6月高値1.1412の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.1172(赤のターゲット)を目指しやすい週と見ています。

今週は1.1150レベルをサポートに、1.1270レベルをレジスタンスと、どこかで1.1200を下抜け売りが強まる流れを見ておきます。

今週のコラム

先週は保守党党首選も関係してハードブレグジット懸念からポンドドルは2017年4月以来の安値をつけることとなりました。今週はポンドの長期チャートを改めて見てみましょう。


週足チャートをご覧ください。

	ユーロ週報 指標か理事会か、下抜けの可能性大 2枚目の画像

現時点では2017年安値と2018年高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとも重なる水準であることからいったん下げ止まっている動きではありますが、大きくはピンクの下降ウェッジで示したチャートパターンの中で下降トレンドを継続しやすい地合いであることには変化ありません。

英国保守党首が決まっても、議会でのブレグジット議論がそう簡単にまとまるとは思えませんし、これまでの空転状況を見るにつけ、ポンドもユーロ同様に今週は下げやすい週になると見ておいた方がよさそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

7月22日(月)
(特になし)

7月23日(火)
23:00 ユーロ圏7月消費者信頼感速報値

7月24日(水)
15:45 フランス7月企業景況感
16:15 フランス7月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ7月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏7月製造業・サービス業PMI速報値

7月25日(木)
17:00 ドイツ7月ifo企業景況感
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見

7月26日(金)
15:00 ドイツ6月輸入物価指数
15:45 フランス7月消費者信頼感
15:45 フランス7月PPI
21:30 米国4〜6月期GDP速報値

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月15日(月)
東京休場中のユーロドルは欧州市場昼前まではじり高の展開となっていましたが金曜高値を超えられませんでした。その後は25日ECB理事会における緩和思惑が重石となって日中安値を更新し安値圏での引けとなりました。

7月16日(火)
ユーロドルは英国の保守党党首選の行方と合意なき離脱の可能性が高まっていることを背景にポンド売りが強まり、その後はNYの引けまでポンドがリードする形でのユーロ売りが進みました。ポンドは2017年4月以来の安値をつけました。

7月17日(水)
ユーロドルは、欧州市場序盤に一時前日安値を下回りましたが1.12の大台を割り込まずに反転。NY市場では全体的なドル売りの流れの中で買い戻しが入りましたが、ユーロ円の売りも出たため値幅は伴わず方向感は出ないままでの引けとなりました。

7月18日(木)
ユーロドルは、欧州市場序盤までは前日からの買いの動きを継続していましたが、ECBがインフレ目標の見直し検討のヘッドラインに反応して反落、一時1.1204レベルの安値をつけました。しかしまたしても1.12の大台は割り込めず、NY市場後場のドル売りの動きから1.1281レベルまで反転上昇、そのまま高値圏でのクローズとなりました。

7月19日(金)
ユーロドルは東京市場ではドル円同様NY引け後の調整からユーロ売りが先行してのスタート、欧州市場では前日に買った向きのストップオーダーも重なって一段安の動きとなりました。7月FOMCにおける利下げが25bpで固まりつつあることから、NYダウは反落しましたがドル買いは引けまで継続し、ユーロドルは1.1204レベルまで押してから若干戻しての引けとなりました。

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