今週の週間見通し
先週のドル円は週前半には底堅いものの動意薄の状況が続きましたが、木曜に東京市場で週間安値を下回ったあたりから売りが目立ち始め、NY市場では大幅利下げ思惑が広がったことと中東での地政学的リスクも加わって、一気に107円台前半へとドル売りが強まりました。しかし金曜には利下げ思惑が後退し、ほぼ25bpで固まってきたことと前日のにわかショートが週末前にポジションを閉じたこともあって108円近くに戻しての週末クローズとなりました。
今週は経済指標としては米国4〜6月期GDP速報値が注目されますが、ほぼ月末のFOMCでは25bpの利下げで固まってきたこと(FF先物の織り込み度でも77.5%が25bpを見込んで取引している)から、数字の直後には振れがあったとしても米国の利下げへの流れに大きな影響があるとは思えません。しかし、地合い的にあまりにも悪い数字となると、市場参加者の利下げ思惑拡大がドル売りにつながる可能性はありそうです。
また、中東ではイランと米国だけでなく英国との緊張が高まっていて、米英両国がイランに対して歩調を合わせる方向となると、当然イランもそれに反発となりますので、こちらも継続材料としてはリスクオフの円買い要因となりやすいと言えます。しかし、FOMCも中東問題も目新しいものではありませんし、海外のトレーダーも夏休みシーズンに入ってきていることもあって、今週もあまり大きな動きは期待できそうもありません。参議院選挙もほぼ事前予想通りとなったことで、本邦各市場への影響は見られません。
また唯一ドル買い材料となる可能性のある動きとして、25日にECB理事会がありますので、今回の理事会で追加緩和の方向性が見えてくるようであれば、ユーロドルの売りがドルとしては買い材料につながる可能性がある程度でしょうか。
次にテクニカルな観点から日足チャートを見てみましょう。
大きくは4月高値からの下降チャンネル内での動きを続けやすい流れにあると見てよいですが、7月高値が年初来高値112.40とその後の安値106.78の38.2%戻しにあたる108.93(青の水平線)で止められたことで、改めて現在は下降トレンドを再開したと見てよいでしょう。また、先週安値は6月安値と7月高値の78.6%(61.8%の平方根)押しで止められたため、短期的にはいったん踊り場形成を考えるチャートと言えます。
ただ、中期的には下降トレンドを継続となると、改めて先週安値を下抜け6月安値を試しやすいのですが、タイミング的には来週のFOMCに向けて先送りとなる可能性が高いように思えます。今週は基本的に先週のレンジの中でやや高値を切り下げる展開を考え、107.25レベルをサポートに、108.30レベルをレジスタンスとする週を見ておくこととします。
ドル円(日足)チャート
ドル円日足
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
7月22日(月)
24:00 黒田日銀総裁講演
7月23日(火)
22:00 米国5月住宅価格指数
23:00 ユーロ圏7月消費者信頼感速報値
23:00 米国7月リッチモンド連銀製造業指数
23:00 米国6月中古住宅販売件数
7月24日(水)
07:45 NZ6月貿易収支
15:45 フランス7月企業景況感
16:15 フランス7月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ7月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏7月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 南ア6月CPI
22:45 米国7月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国6月新築住宅販売件数
23:30 週間原油在庫統計
7月25日(木)
17:00 ドイツ7月ifo企業景況感
18:30 南ア6月PPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国6月耐久財受注
7月26日(金)
08:30 本邦7月東京区部CPI
15:00 ドイツ6月輸入物価指数
15:45 フランス7月消費者信頼感
15:45 フランス7月PPI
21:30 米国4〜6月期GDP速報値
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月15日(月)
東京が休場となった週明けのドル円は、海外取引所の225先物が上昇する動きに沿って円安が先行しましたが、先物株価が金曜高値を超えられなかった動きから反落、その後はNYの引けまでもみあいのままで終わりました。
7月16日(火)
ドル円は、東京市場から底堅い動きとなっていましたが、ザラ場チャートの収束パターンを下抜けできずに反騰という流れとなりました。その後欧州市場に入りポンドを中心に欧州通貨安の動きがドル円でもドル買いとなり、NY市場では108.38レベルまで買われ高値圏での引けとなりました。
7月17日(水)
ドル円は、NY市場に入るまでは108円台前半の狭いレンジの中でのもみあいを続けました。しかし、上値は重く前日のドル買いに対する調整といった流れの中、NY市場ではダウが下げる動きとともにリスクオフの円買いとなり、107.94レベルまで水準を下げての安値引けとなりました。ベージュブックはポジティブな内容であったものの特に反応は見られませんでした。
7月18日(木)
ドル円は、東京市場では寄り付きから売りが強かった株価に反応しリスクオフの円買いが先行、後場には107.62レベルまで水準を切り下げました。しかし、2週間前の安値をトライしきれなかったことや、株価も先物の夜間取引で上昇に転じたことから反転し、NY市場では強い経済指標も手伝って108円台を回復。NY後場にはFOMCメンバー2人から月末FOMCで50bpの利下げもあるのではと思わせる発言が相次いだこと、また米軍がイランの無人機を撃墜したニュースも重なって107.21レベルまで売られて安値引けとなりました。
7月19日(金)
ドル円は、NY引け後にNY連銀総裁発言がトーンダウンされ、ドル買い戻しが先行してのスタートを切りましたが、その後もドル買いの流れが継続することとなりました。東京市場では日経平均の上昇と米金利上昇が、海外市場に移ってからもユーロ売りがリードしてのドル買いとなり、NY市場では107.97レベルまで買われた後にやや押しての引けとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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