豪州中銀政策金利要旨（2019年7月2日公表）

今回、エコノミストの予想通りに前回に続き、利下げを実施しました。先々の金融政策変更はインフレ目標達成に向かって適宜調整すると述べています。また、GDPやインフレ見通しもこれまで同様に下方修正はしていません。

以下は豪州中銀の金融政策の議事要旨の抜粋です。

（議事要旨）
本日の会合で、委員会はキャッシュレートを25ベーシスポイント下げ、1.00％に決定した。
これは6月会合での同じ下げに続くものである。今回の金融緩和は雇用の伸びを支え、インフレが中期目標と一致に向かっていく事へのより強い確信をもたらすでしょう。

世界経済の見通しは、程良いままである。しかしながら、貿易やテクノロジー論争により高まった不確実性が投資に影響を与え、世界経済リスクを下方に傾けてことを意味している。ほとんどの先進国経済で、インフレは抑えられており、失業率は低く、賃金の伸びは上昇している。世界貿易の減速はアジアの成長を鈍化させている。中国では、当局が経済を下支えする手段を採り、一方で、金融システムのリスクを処理し続けている。

世界の金融状況は依然緩和的である。抑制されたインフレと世界経済への持続的な下方修正リスクにより、主要中銀による緩和見通しに繋げている。長期国債金利は一層下落し、豪州を含めて、幾つかの国では史上最低を更新している。豪州の銀行調達コストもまた下がり、市場スプレッドは昨年に起きた拡大から反転している。企業や家計の借入金利は歴史的に低い。豪ドルは最近、狭いレンジ内で下方水準に位置している。

今年3月末期までの1年、豪州経済はトレンド1.8％以下の伸びであった。長期に亘る低い所得の伸びや住宅価格の下落の影響もあり、消費の伸びは下がった。増加したインフラ投資がこれを相殺し、一部では豪州輸出価格の増加もあった。資源部門の活動上昇が予想通りだった。豪州経済の中央シナリオは依然程よいものであり、予想されるトレンドに沿ったものである。家計の可処分所得の伸びが消費支出を支えると予想されるものの、国内における不確実性は消費の見通しである。

雇用の伸びは引き続き強い。労働参加率は過去最高水準にあり、求人率は高い。幾つかの地域では、熟練労働の不足が報告されている。しかしながら、失業率は5.2％へと幾分上がり、最近の労働市場で、生産余力へ入り込んでいく状況はなかった。緩やかだが賃金の一段の伸びが予想され、これは今後の進展に対し歓迎すべきである。これらを合わせ、豪州経済が低い失業率・不完全雇用を下支えしていることを、労働市場の成果が示唆していると見られる。


インフレ圧力は経済全般を通して依然低いままである。しかしながらいずれ上昇し、原油価格の上げにより6月末期は上昇するだろう。現下のインフレシナリオの中央値は2020年に約2％、それ以降は幾分高い見込みである。

住宅市場の状況は、一部シドニーやメルボルンで価格が安定的となった一時的兆候はあるが、依然弱い。住宅貸し付けの伸びは最近安定してきた。投資家による借入需要は引き続き弱い。とりわけ中小企業にあてはまり、タイトなままである。不動産金利は歴史的に低く信用度の高い借入者に対しては強い競争力がある。

キャッシュレートを下げた今日の決定は、経済の生産余力に対し一層入り込んでいくことを助けることになろう。失業率低下の進展を一層早め、インフレ目標に向かってより確かな進展を手助けすることになろう。委員会は労働市場の進展を注意深く見守り、経済の持続的成長を下支えし、インフレ目標を達成するために、必要とあれば金融政策を調整していく。
（以上）

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

豪ドル米ドル相場は発表前は0.6975〜80米ドル付近で推移していましたが、利下げ実施に0.6959米ドルまで16ピップス程度売られた後、予想通りの内容に0.6987米ドルまで買い戻され、現在は発表前の水準で取引されています。
昨日シカゴポジション内で書いた0.6990米ドルの短期的なサポートは切れたので、昨日・今日は下押しになりました。しかし現状ではまだ0.6940〜50米ドルのサポートは守られているので、豪ドルの反発余地を残しています。上値は0.6990〜0.70米ドルの抵抗線を超えれば豪ドル安トレンドライン0.6835〜0.7090米ドルの上限までトライできる態勢に入り、0.6840米ドルを下回ると、先に下値模索の流れになります。（2019年7月2日15時20分、１豪ドル＝0.6981米ドル）