南ア中銀の独立性を巡る疑念と景気後退リスクの高まり
6/3−6/7の振り返り
今週の南アフリカランド・円相場(ZARJPY)は、リスク回避ムードの高まりを背景に、週後半にかけて急落しました。週初7.431円で寄り付いた南アフリカランド・円相場は、@国営電力会社エスコムに続いて国営航空会社南アフリカ航空のジャラナCEOまでもが辞任を発表したこと、A南ア・第1四半期GDP(結果▲3.2%、予想▲1.6%)が約10年ぶり低水準を記録したこと、Bマガシュル南ア・アフリカ民族会議(ANC)幹事長より「中銀の目標を拡大すべきだ」「中銀は物価安定だけでなく、経済成長と雇用拡大を目標にすべきだ」など金融政策への干渉を示唆する発言が見られたこと、
C南ア・SACCI景況感指数(結果93.0、予想94.0)が冴えない結果となったこと、Dムーディーズより「南アフリカは2019年にリセッション(景気後退)に陥る可能性が高い」との見通しが発表されたこと等が重石となり、週末には、2018年9月以来、約9ヶ月ぶり安値となる7.148円まで下げ幅を広げました。引けにかけて反発するも戻りは鈍く、結局7.235円付近での越週となっております。
6/3−6/7の展望
南アフリカランド・円相場は、1/3安値と3/28安値を結んだサポートラインを5/23に割り込んだことを契機に下げ足を速め、今週末には9ヶ月ぶり安値となる7.148円まで急落しました。強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転や、ボリンジャーバンド下限に沿って下落を続けるバンドウォークの発生など、南アフリカランド。円相場は、テクニカル的に見て「下落リスク」が強く意識されます。オシレータ系インジケータのRSI(27.8%)に一部売られ過ぎシグナルが見られるものの、トレンドが明確に出ている状況下、安易な逆張り(ロング・エントリー)は危険と考えられます。
南アフリカを巡っては、ファンダメンタルズ的にも、@景気後退リスク(リセッション入り)の高まりや、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B政府による中銀干渉を受けて、南アフリカ中銀(SARB)の独立性に疑念が生じ始めていることなど、南アフリカランドの重石となり得る不安材料が増えつつあります。今般発表された南ア・第1四半期GDPが弱い数字となったことで、与党のアフリカ民族会議(ANC)は今後SARBに利下げ圧力を加える公算が大きく、次回7/18に予定されている南アフリカ準備銀行理事会での「利下げ」も視野に入ります。以上の通り、南アフリカランド・円相場は、テクニカル的に見ても、ファンダメンタルズ的に見ても、下落リスクが意識されており、来週発表される南ア・4月小売売上高(6/12)など一連の南アフリカ経済指標が市場予想を下回った場合、「景気後退リスクの高まり→SARBの利下げ観測高進」の波及経路で、昨年9/5に付けた安値7.098円を試す動きも想定されます。来週も引き続き南アフリカランド・円相場の下落リスクに警戒が必要です。
来週の予想レンジ ZARJPY 6.90ー7.60
南アランド円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.03.29
東京市場のドルは151円台でのこう着、今晩のPCEデフレータで動く可能性も(24/3/29)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、グッドフライデーの祝日で、多くの海外市場が休場となっていることから方向感の乏しい地合いとなった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.03.29
ドル円 週間通して1円未満の変動、今年最小更新となるか(3/29夕)
東京市場は151円全台前半での揉み合い。本邦当局者からの円安けん制発言など、材料は決して少なくなかったが市場動意は限られた。
-
ニュージーランドドル(NZD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.03.29
NZドルWeekly 調整局面は継続、90円割れの攻防を迎える(24/3/29)
NZドルは、政府・日銀による円買い介入への警戒感が高まるなか、目先のサポートラインだった100日移動平均線や、一目均衡表の雲をそれぞれ下回る弱い地合いとなった。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2019.06.10
ランド円レポート月曜版(19/6/10)
先週のランド円は悪材料が続いた一週間となりました。4日に発表されたGDPが
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2019.06.03
ランド円ショートコメント(2019/6/3)
南アにとって中国は最大の貿易国であり、米中間の貿易摩擦激化は悪材料以外の何物でもありません。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。