来週の為替相場見通し 『米長期金利の低下を受けたドル売り地合いが継続か』(6/8朝)

6/3週のドル円相場は、安値圏で乱高下するも、週を通して方向感を見出すには至りませんでした。

来週の為替相場見通し 『米長期金利の低下を受けたドル売り地合いが継続か』(6/8朝)

来週の為替相場見通し 『米長期金利の低下を受けたドル売り地合いが継続か』

6/3−6/7の振り返り

6/3週のドル円相場は、安値圏で乱高下するも、週を通して方向感を見出すには至りませんでした。週初108.38で寄り付いたドル円相場は、@トランプ米大統領によるメキシコ関税の引き上げを示唆する発言や、A米5月ISM製造業景況指数(結果52.1、予想53.0)の予想比下振れ、Bセントルイス連銀ブラード総裁による「近い将来利下げが適切になる可能性がある」との発言、CパウエルFRB議長やクラリダFRB副議長によるハト派的な発言、D米5月ADP雇用統計(結果2.7万人増、予想18.0万人増)のネガティブサプライズを背景に、週半ばにかけて、約5ヶ月ぶり安値となる107.82まで急落しました。

しかし、1/10安値107.77を前に下げ渋ると、その後は、Dナバロ米大統領補佐官による「対メキシコ関税発動は必要ない可能性」との発言や、E米5月ISM非製造業景況指数の予想比上振れ、F米政府がメキシコへの関税導入の先送りを検討しているとの一部報道が支援材料となり、週末にかけては、約1週間ぶり高値となる108.61まで急伸しました。もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと再び反落。H米5月非農業部門雇用者数(結果7.5万人、予想17.5万人)の冴えない結果や、Iトランプ米大統領による「合意に至らなければメキシコ関税を6/10に発動する」との発言も重石となる中、週末NY時間には、一時107.89まで下げ幅を広げました。引けにかけて反発するも上値は重く、結局108.20前後での越週となっております。

6/3週のユーロドル相場は、週を通して堅調推移が継続しました。週初1.1168で寄り付いたユーロドルは、直後に安値となる1.1155まで下落するも、同水準で下げ渋ると、その後は、@米5月ISM製造業景気指数の予想比下振れ、Aセントルイス連銀ブラード総裁によるハト派的な発言、BパウエルFRB議長やクラリダFRB副議長によるハト派的な発言、C米5月ADP雇用統計の冴えない結果、Dややタカ派寄りのECB理事会、EドラギECB総裁によるタカ派的な発言、F米5月非農業部門雇用者数の冴えない結果を材料に急伸し、週末にかけては、3/22以来、約2ヶ月半ぶり高値となる1.1348まで上値を伸ばしました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局1.1333付近での越週となっております。

尚、注目されたECB理事会では、@政策金利の据え置き、Aフォワードガイダンスの修正(政策金利の据え置き期間を「少なくとも2019年末まで」から「少なくとも2020年前半まで」に6ヶ月間延長)、BTLTRO3(貸出条件付き長期資金供給オペ第3弾)に適用される金利を最も低いケースでマイナス0.3%に適用することが決定されました。また、ドラギ総裁会見では、C「ECBは不測の事態に行動することを約束する」としつつも、「経済指標は悪くない」「経済見通しについて大幅な悪化は全く見込んでいない」等、欧州経済の先行きに楽観的な見方が示されました。市場では、BやCが予想ほどハト派的では無いと受け止められ、ユーロドルのショートカバーを誘発する結果に繋がりました。

6/10−6/14の展望

ドル円は、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B31営業日連続でのボリンジャー・ミッドバンド割れなど、テクニカル的に見て、「下落リスク」が意識されます。メキシコ関税を巡る「警戒感」が幾分和らいだことで、ボリンジャーバンド下限に沿って下落を続けるバンドウォークはひとまず終わりましたが、米中貿易摩擦や中東を巡る地政学的リスク、世界経済の減速懸念、英国情勢の不安定化、イタリア財政問題など、ファンダメンタルズ面での不安要素を考慮すれば、ここからドル円を買い進む展開には至らないと考えられます。

一目均衡表転換線が走る108.88付近では「戻り売り」が強まると見られ、事実、週末に上昇した際にも108.61をトップに伸び悩む動きが確認されました。来週発表される米国の主要経済指標(CPI、PPI、小売売上高、鉱工業生産、ミシガン大消費者信頼感指数)が冴えない結果となれば、「米経済の先行き不透明感→米利下げ観測高進→米長期金利低下→ドル売り」の経路で、ドル円が再び1/10安値107.77を試す動きも想定されます。米中貿易摩擦や米墨関税を巡るヘッドライン、米中の主要経済指標(来週は中国のCPI、PPI、鉱工業生産、小売売上高、都市部固定資産投資も発表される)を睨みながらも、ドル円の上値余地は乏しく、来週は、米国債利回りの低下に伴うドル売りと、リスク回避ムードの再燃に伴う円買いを背景に、「ドル安・円高」地合いが続くと予測いたします。

来週のユーロドル相場は、米長期金利の低下受けたドル売りと、ECBのハト派姿勢後退を受けたユーロ買いを背景に、上値余地を探る展開が見込まれます。テクニカル的にも、昨年10月以降続いてきたレジスタンスラインの突破や、90日移動平均線(1.1261)の上抜けに加えて、強い買いシグナルを表す一目均衡表・三役好転が射程圏内に入るなど、上昇リスクが警戒されます。来週は欧州の主要経済指標に乏しいことから、米ドルに振らされ易い展開が想定されます。ドル売りが強まる局面では、受け皿として「ユーロ」が選好される可能性が高く、余程力強い米国経済指標が見られない限り、ユーロ高・ドル安基調は来週も続くと予想いたします。

ドル円の予想レンジ:107.00−109.50
ユーロドルの予想レンジ:1.1200−1.1450

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ドル円日足

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