ご祝儀相場は早くも終焉。リスク回避ムードを背景に南ア・ランドの下落に警戒
5/27−5/31の振り返り
今週の南アフリカランド・円相場(ZARJPY)は、週初7.578円で寄り付いた後、早々に高値となる7.621円まで上昇しました。しかし、@米中貿易摩擦の激化を嫌気したリスク回避ムードと、A第2次ラマポーザ政権の組閣発表が当初予定より遅れたこと、BハデベCEO辞任を受けて国営電力会社エスコムを巡る負債問題の長期化懸念が強まったこと、C南アフリカ4月貿易収支(結果▲34億ランド、予想+13億ランド)が市場予想を大幅に下回ったこと等を背景に急落すると、5/31には、1/3以来、約5ヶ月ぶり安値となる7.327円まで下げ幅を広げました。引けにかけて反発するも上値は重く、結局7.423円で越週しております。
南アフリカ政府は5/30、第2次ラマポーザ政権の閣僚人事を発表しました。ポイントは大きく分けて以下の5つ。@閣僚数を公約通り36から28まで8閣僚減少させたこと、A市場から評価を得ているムボウェニ財務相やゴーダン公共企業相を再任させたこと、B閣僚28名のうち半数に女性を登用したこと、Cズマ前大統領の元妻ドラミニ・ズマ氏を企業統治担当相に任命したこと(←ズマ派への配慮)、D不正疑惑を抱えるマブーザ副大統領を留任させたこと。市場では@ABが好感される一方、CDが失望を誘う結果となりました。
6/3−6/7の展望
南アフリカランド・円相場は、1/3安値と3/28安値を結んだサポートラインを割り込むと下げ足を速め、週末にかけて約5カ月ぶり安値圏まで急落しました。強い売りシグナルを表す三役逆転や、ボリンジャーバンド下限に沿って下落を続けるバンドウォークも出現するなど、南アフリカランド・円相場の下落圧力は極めて強いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても同様で、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感や、A南アフリカ中銀(SARB)による利下げリスク、B国営電力会社エスコムを巡る負債問題など、南アフリカランドの重石となり得る材料は増えつつあります。今週は閣僚人事決定に伴うご祝儀相場が下値を支えましたが、こうした動きは長期化しないと考えられます。以上を踏まえると、南アフリカランド・円相場は、テクニカル的に見ても、ファンダメンタルズ的に見ても、下落リスクが警戒されます。来週は、南アフリカ第1四半期GDP統計(6/4)や、同経常収支(6/6)を睨みながらも、1/3に付けた年初来安値7.244円を試す動きが強まりそうです。
来週の予想レンジ ZARJPY 7.25ー7.65
南アフリカランド円日足
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