新政権閣僚人事に要注目。リスク回避ムードを背景に南アランドは上値の重い展開か
今週(5/20−5/24)の南アフリカランド・円相場(ZARJPY)は、週初7.6209円で寄り付いたあと、リスク回避ムードの後退に伴う「円売り」に下支えされる形で、5/22には、約1週間ぶり高値となる7.7119円まで上昇しました。しかし、同水準で伸び悩むと失速し、@ハト派姿勢を滲ませた南アフリカ準備銀行(SARB)金融政策会合(詳細後述)や、A米中貿易摩擦の激化、B英国情勢の不安定化、C中東を巡る地政学的リスクの高まりなどが重石となる中、南アフリカランド・円相場は週後半にかけて急反落。5/23には、約2ヶ月ぶり安値となる7.5457円まで下げ幅を広げるなど、上値の重い展開が見られました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局7.5906円での越週となっております。
5/23に開催された南アフリカ準備銀行(SARB)金融政策会合では、市場予想通り、政策金利が6.75%に据え置かれました。しかし、@声明文において、2019年のGDP 及びCPI見通しが下方修正されたこと、Aクガニャゴ総裁記者会見において、「委員のうち2名が25bpの利下げを主張」「景気下振れリスクがある」との発言が見られたことから、市場ではややハト派的と解釈され、「南アフリカランド」を押し下げる材料となりました。
5/8に実施された5年に1度の南アフリカ総選挙(下院、定数400)では、ラマポーザ大統領率いる与党・アフリカ民族会議(ANC)が、57.5%(230議席)を獲得し、過半数維持に成功しました。前回2014年の62.0%(249議席)から4.5ポイント(19議席)減らしながらも、概ね市場予想の範囲内に留まるなど、ネガティブサプライズは見られませんでした。但し、野党第2党の急進左派政党で若年層からの支持が厚い経済的開放の闘士(EFF)が前回から議席を増やしている点には注意が必要です(6.4%→10.8%)。若年層や貧困層を中心に国民の不満の表れが透けて見えることから、5/22に再就任したラマポーザ大統領率いる新政権には引き続き逆風が吹き荒れると予想されます。こうした中、市場の関心は来週5/27に予定されている第2次ラマポーザ政権の新内閣閣僚人事に移っております。国内経済の停滞、高止まりする失業率、国営電力会社を巡る負債など問題山積みの中、南アフリカを巡る霧が晴れるのは当分先になると考えられます。
テクニカル的に見ると、強い売りシグナルを表す三役逆転が続いている他、24営業日連続でボリンジャー・ミッドバンドを下回る水準での推移が継続するなど、南アフリカランド・円相場の下落トレンドは相応に強いと判断できます。足元では、1/3安値と3/28安値を結んだサポートラインも割り込み始めるなど、更なる下落も警戒されます。ファンダメンタルズ的に見ても、ラマポーザ政権を巡る先行き不透明感は根強く、ANC勝利を受けたご祝儀相場は早くも終焉。今週には南アフリカ中銀による利下げリスクも台頭し始めました。5/27に予定されている新閣僚人事や、5/30の南ア4月生産者物価指数、5/31の南ア4月貿易収支を睨みながらも、南アフリカランド・円相場は来週も上値の重い展開が続きそうです。
来週の予想レンジ ZARJPY 7.35ー7.75
南アランド円日足
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